暗黒メモ「ズレた善人」
この記事を書いているのは2023年11月16日の昼頃なのですが、昨日からタイムラインもトレンドも「マフィン」の話でもちきりになっています。
最初は「巷でそんなにマフィンって流行っていたっけ?」と思ったのですが、どうやらそうではなかったようです。都内で11日~12日に開催されていたイベント「デザインフェスタ(通称デザフェス)」に出店していたとある菓子店が販売していたマフィンで食中毒が発生してしまったことに端を発していました。
厚生労働省の危険性のクラス分類において、もっとも死亡リスクが高い食中毒に指定されたということもあり、凄まじい勢いの炎上騒動となっていました。マフィンを製造した菓子店のアカウントに大勢の人が詰め寄ったり、あるいは過去のレビューや写真などが掘り起こされるなど、炎上参加者のもとに次々に「燃料」が投下される状況で、まったく収拾の見通しがついていません。
以下のように、すでにtogetterにもたくさんのまとめ記事ができており、これがある種の「呼び水」になって次々と新しい炎上参加者が出てきている様子です。
もっとも危険性の高い食中毒に分類されたこともあり、けっして些末な出来事ではないのはそのとおりだと思います(今回の食中毒事故を矮小化する向きはないことも最初にはっきり断っておきます)。
――とはいえ「深刻な食中毒事故の発生」という事の重大性を差し引いたとしても、いまペケッターランド上では、乱立するtogetterや非難の投稿を見てもわかるように、いくらなんでも過剰ともいえる峻烈な処罰感情の奔流になっているように見えました。
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今回のマフィンに対しすさまじい規模のネット上の怒りの奔流が発生したその背景について、ネット上では
という、昔からある「食べ物の恨み」系のネットの定説が挙げられていました。
今回の炎上の原因としてそうした側面がゼロであるとまでは言いませんが、しかし個人的にはそれだけでは十分に説明できるものではないだろうと感じており、そして私には別に「本当の理由」があるように思いました。
そのせいで私は、いまネットで大合唱になっている「けしからん!」という怒りの流れにどうしても乗ることができず、むしろ哀しさというか、いたたまれなさを感じていました。
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では今回、食中毒を起こしてしまったマフィンおよびその製造者に対してすさまじい怒りの声が向けられている「本当の理由」とはなにか。
世の中の人がじつはマフィンが好きだったからとか、日本人は食べ物の恨みが深いからとかではなく、おそらくは――
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