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マガジン限定記事「介護崩壊が絶対に避けられないもうひとつの理由」

 先日リリースした記事『忍び寄る徴介制の影』では、高齢者福祉の根幹のひとつである介護・福祉分野の人的リソースが急速に失われつつあり、その打開策が国を挙げて講じられつつあることを解説した。

 上掲記事では、いよいよ政府が万策尽きたことを確信したときには、「禁じ手」である若年層の実質的“動員”をしてでも人的リソースの不足を穴埋めするのではないか――という不穏な未来予測を書き、大きな反響を呼んだ。

 2040年代の要介護者の増加に対応するには、推計でおよそ60万人近い介護リソースの積み増しが必要であるわけだが、その時に世に新卒として排出される労働力は60万人前後がせいぜいで、新卒者全員が介護職にならなければ間に合わない計算となる。この時点で詰んでいるのだが、もとより少子化ですっかり貴重な資源となった若い労働力をあらゆる業界が我先にと奪い合う時代に、求職者にとって魅力の低い介護分野が選ばれるはずもない。

 人的リソースの枯渇はほとんど確定しており、破綻を避けようとするなら政治レベルで抜本的な改革(もしくは介入)が急務となってくるだろう。





  ……という話を先日の記事で書いたのだが、ちゃぶ台をひっくり返すようで恐縮なのだが、結局のところ政治家や自治体が今後どんな画期的な策を講じようが、この国における「介護崩壊」はもはや避けられないだろうと私は考えている。

 むろん人的リソース供給の絶対数がまったく足りないというだけでもすでに十分すぎるほど致命的だが、しかしそれ以上に深刻な問題がある。国も政府も自治体も介護事業者もまだそのことに気づいていない。

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 では「それ以上に深刻な問題」とはなにか?
 

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