見出し画像

一級建築士資格取得で得すること

目次

  1. 一級建築士の資格について

  2. なぜ取るのか?

  3. 得することは?
    ・収入が増える
    ・信用力up
    ・リスクヘッジ
    ・転職が有利
    ・生活に活かせる
    ・資格者不足による仕事の確保
    ・その他

  4. まとめ

一級建築士の資格について

建築士は国家資格になります。種類としては一級、二級、木造の3種類があり、規模等の制限なしで設計ができるのが一級建築士になります。
学科と製図の試験に合格して登録をする(実務経験が必要)と、晴れて一級建築士の肩書きが得られます。

3年に一度定期講習があり、これを受講して終了考査をパスしないと継続できません。といっても難しいわけではないので、特に心配しなくても良いのですが、齢を重ねるにつれて面倒な講習と感じるのは仕方ないですね(苦笑

この資格には、独占業務とよばれる有資格者しかできない業務があります。
「工事監理」、「工事と設計図書との照合及び確認の結果報告等」及び「工事監理の結果報告」は、建築士法における、いわゆる「建築士の独占業務」に該当します。その他、インスペクター(既存住宅状況調査技術者)や監理技術者など建築士でないとなれないものがいくつもあります。

なぜ取るのか?

資格取得の目的は人によって様々ですが、よく耳にする目的を書き出してみましょう。

会社から求められた
業務上必要
独立起業したい
転職したい
給料が増える
直接は必要ないが(営業的に)知識として役に立つ

みなさんはいかがですか?
ほかにもいろいろとあるのですがとりあえずこれくらいにして、ぜひみなさんも考えてみてください。
さて、書き出した6つの目的の中で一番よく耳にし、また課題が多いのが「会社から求められた」になります。なぜなら自分の意思が薄いケースが多いからです。ほかの目的は資格を取った先のビジョンがはっきりしていたり、金銭的な収穫があるのですが、会社から求められたからというのは受動的であり、実際、この目的の人には仕方なく勉強するという姿勢が少なからず見受けられます。

ですので「なぜ取るのか?」を明確にするほど自然に合格に近づきますし、10ヶ月超に及ぶ学習期間のモチベーション維持にもつながります。

得することは?

資格を取る目的にも書きましたが、収入が増えたり転職が有利になったりします。なにより目的を達成することで「自己実現」につながります。また、目的を考えて設定した時には気がつかなかった効果などもあります。では、順に見ていきましょう。

・収入が増える

資格を取得したことで、役職があがったり資格給がついたりします。また、資格を持っていることで信用力が上がり(事項で触れます)仕事が増えることもあります。業務の幅が広がり仕事を得る機会が増え、結果的に仕事が増えて収入に結びつくわけです。
特に独立したい人からすると実績が少なく、大手企業のような会社名の看板を背負っていないことも多いので、一級建築士であるという看板は大切です。

・信用力up

収入が増えるで触れたように、資格を持っていることで信用力が上がります。国家資格者ですので、各種法令に抵触するようなことをすれば、罰則や免許取り消しなどがあるため、有資格者であるということは個人の信用も担保されると言えます。実際、個人の信用調査や住宅ローン・事業融資等の査定においても有資格者であることで有利にはたらいているといえます。

また、業務上も顧客に対して「一級建築士の〇〇です」といえることは、それだけで相手は資格から一定の評価をしてくれることが多くみられます。同様のことが弁護士や医師などの国家資格でも世間一般の評価としていえるでしょう。ですので、まだ年齢が若くて経験が浅くても、一級建築士であるということで信用してもらえるのはありがたいことですね。

・リスクヘッジ

これはあまり認識されていないことですが、一級建築士の有資格者であることでリスクヘッジになることがあります。

例えば社内で上司や営業などから要求されたことが、違法であったり納まりや維持管理的に不適切であるという場合、それを見抜く力になります。また、それを無理強いされそうになっても説明をして回避をはかれる可能性があります。有資格者の言葉と無資格者の言葉の重みは違いますね。

また、設計や監理においては当然にその知識から「これはまずい」と気付ける確率は高くなります。無資格者の場合の多くは、経験したことからの判断になりますが、有資格者であれば基本的な情報を持ち合わせているからです。特に法令関係は重要です。

そして、これは自分の身を守るだけでなく家族を守ることにもなります。業務のエラーで仕事を失ったり、場合によっては訴訟の当事者となるリスクを回避することは、家族を守ることにつながります。

ですので、建築の分野で仕事をするためにはどのような職種であれ、基本的に建築士の資格で学ぶ知識を持っていることにより身を守るリスクヘッジになるともいえます。

・転職が有利

一級建築士であることで採用に有利になるのはわかりやすいと思います。ただ、転職のタイミングで30代半ばともなってくると資格があるかないかはかなりの差となって出てくるのが現実です。

自分の体験として35歳で転職をしましたが、大手に勤めていたことと有資格者だったことでなんとか建築設計事務所に転職できたということがありました。(ほかにも理由がありますが、そのあたりの詳しい話は転職ノウハウにもなるので別に記事化したいと思います。)

また、このあとの話(資格者不足による仕事の確保)でもふれますが、有資格者が不足している会社が増えています。やりたい業務かどうかということもあるとは思いますが、仕事を得ることを最優先で考えるのであれば生活できる程度の月収が得られる仕事は実は結構あります。

・生活に活かせる

一級建築士の資格を取るために学んだ知識は、当然ではあるけれど住まいのことですので役に立つことはたくさんあります。部屋のレイアウトを変えたりリフォームしたいとか、照明の明るさや演出をかんがえたいとか、エアコンの効きがよくないので改善したいとか・・・。

まさに知識が活躍してくれるといえますし、たいていは知らない人と比べて希望に近い結果を生み出すだけでなく、費用も安く済ますことができるでしょう。最近はリフォーム・DIYが盛んになってきていますが、一級建築士であればまさにその中心にいるといえますね。
きちんと学んでいれば空調などの設備の知識や温熱の知識で電気代などのランニングコストも減らしていくことができるでしょう!

・資格者不足による仕事の確保

先ほども触れましたが、有資格者が足りないという状況が現在あちこちでみられます。建築の分野が好景気ということではないのになぜでしょう?

1つは高齢化により定年等による退職者が増えていることで、必要人員が不足しているという現実です。では人を増やそうということで新規採用をするときに、新卒を育てる余力がないところも多いため、どうしても即戦力が必要という状況が生まれます。
即戦力ということは、実務経験者(その会社で必要な実務経験)や有資格者(知識があるからすぐ即戦力になるだろうという期待値)がまずは対象になるわけです。

2つめは転職が割と普通になってきているということで、特に若い世代になるほどこの傾向はみられるでしょう。結果的に慢性的な人員不足もしくは所員が定着しないため、こなれたスキルが必要な実務レベルでの運用が心許ない状況になっていると考えられます。

3つめは特に現場での法令上の人員が不足しているということで、建設業法における主任技術者や監理技術者(施工管理技士や建築士などの資格がないとなれない等の条件がある。詳しくは計画分野の記事に書きます。)の設置などが必要な現場の人員が不足していることによる求人募集が多くみられます。
また、大手のゼネコンや公共工事関係を業務にしているところでは、会社の資格者数が入札条件で関わることもあり、資格者の確保は必須になります。

このように、一級建築士がいないと仕事ができない、有資格者がいないと業務獲得ができないなど、注意深く見ると資格者不足による仕事のニーズはそこここに見つけることができます。

・その他

一級建築士になることで得することをいくつか取り上げてみましたが、ほかにもいろいろな需要があったりします。
異分野の業種であっても、たとえば資産管理等のために建築士の知識を求めて求人していることがあります。
ほかにも、社内で建築を扱うわけではないが、自社不動産の運用の際に専門知識が必要であるとか、建設会社に改修等を依頼する上での交渉やマネジメントのために専門の人員を配置したり、BCPやレジリエンスの計画・運用のために専門部署を設置して建築分野の専門として人員を配置するなど、実は結構多岐にわたって建築士の需要はあります。

まとめ

長年(10年超やってます)、一級建築士の資格取得のための講座で講師をしてきていますが、「なぜ資格を取るのか」、「資格を取ると自分にとって何がいいのか(得なのか)」はとても大切だと感じています。合格される方ほどこの辺りが明確な方が多くみられます。

この記事を書いている時期(11月頃)に学習をスタートするのが、どこの予備校でも独学でも多いかと思います。そして10カ月超に及ぶ期間を費やして資格取得を目指すのに、なんとなくでは続かないのが普通です。

自分の意思で目標を持って取り組むことは合格へのはじめの対策になります。具体的な学習プログラムなどはコーチングの記事で詳細を書いていきますが、まずは一級建築士の資格を取って「何を実現したいのか」を具体的にイメージしてみるとよいでしょう。

令和6年学科本試験に向けて、このブログでは計画や環境設備の記事、特に皆さんからの質問が多い項目や、わかりづらいと言われている項目、超重要な項目を中心に記事発信していきます。また、今回からは学習プログラムについてなどのコーチングも取り上げていきますのでぜひご覧ください。


よろしければサポートお願いします。頂いたサポートはまちづくりの活動や情報発信の活動費に使わせていただきます。