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表裏

死への引力はとても強い。一時その抽象的な美しさが目に映ったならばどんどん引き寄せられていく。他の全ては遠のいていき、そこにしかないものに浸かっていく。

それに打ち克つためには、逆の引力、つまり生きていく方への力が必要になるけれど、なかなかどこにも見出せない。そんな中でもいちばん手っ取り早いのは性欲だと思う。

性への渇望は、死の淵に立とうとする人間を強制的に引き戻すものなんじゃないか。言動を責められ、孤立し、凡ゆる感情に苛まれた者だからこその快楽があると信じてやまない。 

性的な表現やコンテンツがそれを望まない人間にとってどれほどの暴力となるか、もしくは幼気な少年少女の人格をどれほど歪めてしまうか、そういった恐ろしさを理解しているつもりではいるけれど、それでも全てをはなから否定できないほどの多様性、受容の空気がそこにはある。

汚くて気持ち悪い俺でも、不純で悪い子なあたしでも、錘やら足枷やらを外され一瞬水面へ上がってくることが許されたなら、少しは誰かに優しく生きられるんじゃないか、それが無理なら今日という一夜くらいは生き延びられるんじゃないか。そんなユートピアになることを本気で夢見て、今日も眠ります。

(上記は過去のはてブロから転載しました)


今日のサムネはヒトリエのYUBIKIRIです。最高https://youtu.be/cDnNxj4s5Q4