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小川のほとりでマイペース万歳。

インド・オーロヴィル編-6

同世代のインド人青年・バス君と偶然カフェで出会い話の合ったわたし達は次の日、元々行ってみたいと思っていたオーロヴィルからバイクで20分程の彼の故郷である、ポンディシェリーという海沿いの街を案内してもらうことになった。

初めはインドに対して様々な噂や前情報が入りすぎていて「彼は待ち合わせ時間にちゃんと来たりするのだろうか…」とまで失礼にも考えてすらいた。(そもそも自分自身、時間に超厳格なタイプではない。)

しかし、実際の彼は早めに来てコーヒーを飲みながらDreamer’s cafeで待っていてくれたのだった。無事に合流。よし、いざポンディシェリーに出発…!と思いきや。

「ちょっとさ、一服してもいい?そこの川べりでよく一服するんだ。僕は慌ただしい気持ちで動くことが好きじゃなくて…。心を落ち着かせてゆったりさせてから行きたいんだ。」

という話だったので、Dreamer’s cafeから少し歩いたところにある、乾いた白土の土手にちいさな小川がちょろちょろと流れている場所の木のたもとで煙草を取り出したバス君の一服タイムとなった。

……が!!!

この一服タイムが結構長い。

あの、ポンディシェリーは…?聞きたくなるものの、彼の周りにあまりのゆったりタイムが流れていたため突っ込みづらく、自分は思ったよりせかせかした目的地ファーストな人間だったのだな…と思わされたのだった。

彼のスローな煙草タイムは続く。

「この川辺や世界にはさ、メッセージがあるって感じるよ。それを聞き入れ受け入れることができればね。例えば、この川辺の白い小石。これもメッセージを持ってるよ。」

『うん、そういう話は好きだよ。バス君からするとこの小石のメッセージは何なの?』

「この石はここにこういう窪みがあって、こういう感触があるでしょ。で、つまり……この石のメッセージはhomeだね。」

……うん。しかし、何故彼がhomeという結論を導き出したのか(で、つまり…の部分)その部分の英語が何度聞き返してもわからなかった…。

この手の話が好きなので一番聴き取りたかったところだったのだがこういう時、ほんとうに英語力の中途半端さが悔やまれる。

さらに日本文化についてやら話しているうちに、延々と一服タイムが続きそうだったので、流石に『そろそろ行こっか?』とついに声をかけて切り上げた。いざ、バイクに2人乗りしてポンディシェリーへ出発…!!

……と思いきや。

今度は、彼のバイクはオーロヴィル敷地内のあっちの道やらこっちの道やらを意味なくうろちょろ走っていて、これちゃんとポンディシェリーに向かってるの??!!という有様だった。

この子についていって大丈夫なのかな…一抹の、いや何抹かの不安や心配が首をもたげつつ『ちょっとちょっと!これポンディシェリーに向かってる??』と若干いらっとしながら聞くと、

「だいじょーぶ大丈夫!僕のバイクはどんな道を選んでいても、いつもポンディシェリーに向かっているよ!!」と無邪気に答えたのだった。

うん…そっか、わかったよ…本当にマイペースな人だな…そう思っている間に小雨が降り始め、さらには度重なるバイクの振動の刺激で胃腸の調子が…。終わらないインドの洗礼。悲。

わたしもマイペースな方だと思うものの、遥かにそれを上回るマイペース人間がいるものだなと驚きながら、小雨が降ってきたし腹も痛いし早く向かっておくれ〜と伝えると、彼のバイクはやっとポンディシェリーへの最短距離の道を選び始めたのだった。

オーロヴィル編-7『ポンディシェリーの街と違和感の問い』へ続く。

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