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アート独り言。(ミレーから印象派への流れ)

会期最終日のミレーに行ってきた。展覧会は9月5日から始まる予定が、宣言の為のびにのびて10月1日からとなった。

これはとんでもないことである。海外から多数の絵画を集めるのにずいぶんと大変だったに違いない。それが1ヶ月も会期が延長になってしまったのである。

宣言が明け、ようやく行けるかと思いきやあっという間に最終日。今日は近くの年金事務所に手続きの用事があったため、予約時間前の30分だけでも、一目だけでもミレーが見たい・・・小走りで入口へ向かう。

同時開催のアボリジニと不在の観測はまだ会期があるので改めてみるとして、急いでチケットを購入。入口には音声ガイドがあった。

嗚呼、なぜゆっくり見にこれなかったのだろう・・・

中に入ると平日の夕方にもかかわらず人が多かった。一つ一つの作品をじっくりゆっくり見られる方が多い印象だった。

ミレーが見たい!というわりに、さほど詳しくもなく、知識なんて全くない。知っているのは「落穂拾い」という作品ぐらい。でもミレーの作品から印象派への流れを作っていったということは、きっと刺激を受けた作家が多かったに違いない。よくわからないまま、絵画を一つ一つ鑑賞する。

色使いに華やかさはない。どちらかというと落ち着いた色。かなり古い作品なのでこれが劣化によるものかはよくわからなかった。

キャンバスや油彩など、じっくりみると絵の具がひび割れていたりはするけどこんなにも長い間この状態を保ち続けるのは大変だなと思った。入口で、作品保持のために室内温度がかなり低いので無理せず途中退室してもいいという案内があった。

裕福な女性の絵や、町の風景。なんだか海外の美術館に来ているような錯覚すらする。空気や音やにおいなど、脳が勝手にイメージを始める。この時代に生きた人たちの姿を見るのが楽しかった。中には、宝くじを当てて制作する環境が整った作家もいたりして、とても羨ましく感じた。

ミレーの他にルノワールやモネもある。

絵画のアングル?というのか構図というのか。カッコいいものが本当に多かった。

当時はやっていたコレラから疎開した場所で描かれたものも印象的だった。中には人が集まってなかなか見れない作品もあった。少し待ってようやく見れた絵は、色が暗い風景がだった。一体みんながこの絵の何に惹かれたのか・・・よくわからなかった。

途中、時間を見ると予約時間まであと10分。いくらほぼ隣にあるとはいえ急がなければならない・・・最後の方は駆け足だった。。本当もったいない・・

出口近くに来たら複製画があった。ほぼ原寸大。ミレーの印象的な絵画。「落穂拾い」や「洗濯女」など。目録には掲載されていなかったが、本当に素晴らしい作品だった。

貧しい人たちにスポットを当て、美しく描かれた作品たちに心を奪われてしまった。じゃがいもを掘るのは(いもを食べるのは貧しいものがすることと言われていた)下品だと言われても絵画に優劣はない、と貫く姿がかっこいい。落穂拾いも、畑の主ではないものが、こぼれた麦を拾いに来ている農婦の姿。旧約聖書の一説が含まれていたことも名画と呼ばれる理由だと書いてあった。

畑で穀物の刈り入れをして、 束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。必要な人に分け与えるためのようなことが書いてあった。

華やかでないものに光を当て、後世まで語り継がれるほどの名画を残したミレー。駆け足でも本当に見れてよかった。心がぐっと掴まれた。

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