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好きの強さを思い知った。『漫勉』を観て

NHK Eテレの「漫勉」が好きだ。一昨年の秋口から

放送されているこの番組。

漫画家「浦沢直樹」が、第一線で活躍している同業のもとを訪ね、

創作秘話や、漫画を描くときのこだわり、漫画家のバックボーンを

対談形式で引き出していくという趣旨のもの。


登場ゲストは、東村アキコや、浅野いにお、さいとうたかをなど

そうそうたる顔ぶれで、漫画に明るくない自分でも、

彼ら彼女らの創作現場を垣間みられるのは、

創作者の端くれとしては、もう生唾もの。


対談の中で、同業だからわかるポイントを浦沢氏がズバズバ突っ込んで

質問していたのも興味深かった。

浅野いにお氏の回では、

背景は水木しげるに影響を受けてるでしょ?

東村アキコ氏の回では、

人物の描き方は、横山光輝をめざしてるでしょ?などなど、

その質問どれもが的を得ていて質問された漫画家側も驚くほど。


そして、この「漫勉」は、シリーズとして何度か

放送されているわけだけれど、

いままで登場した漫画家すべてと浦沢直樹氏に

共通していることを見つけたのだ。

それは、「漫画が好きで好きで仕方がない」ということ。


漫画家なんだから、漫画が好きなのは当たり前と思うかもしれない。


でもそれは違うと思う。


商売として、お金を稼ぐ手段として割り切って、

苦しくても辛くても我慢して漫画を描いている漫画家は、

山のようにいると思うのだ。

むしろそっちの方が多いのではないかとすら思う。


しかし、第一線で活躍している人は違っていた。


思い通りの線が描けないことも、ネームが思いつかないことも、

締め切りや膨大な連載の量に追われて時間がないことも、

それらすべての悶絶するほどの苦しみを

「好き」に変換してしまっているのだ。


なぜそんなことができるのだろう。

もともと漫画の好き度が人並み外れているから、

売れっ子漫画家になったのか。

苦しみの向こう側を何度も経験するうちに、

漫画を深く深く愛せるようになったのか。


たぶん、その両方なのだろう。


私ごとに話をスライドさせると、まだまだコピーが好きで好きで

仕方がないレベルには到達していない。

でも、好きな瞬間はこの8年で確実に増えてきた。


東村アキコ氏が恩師に言われた言葉が胸を打つ。



「描け、描け、描け」。



そう、書くしかないんだ!

書いて、書いて、書いて。言葉を味方につけてやる!

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寺門ツネユキ
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