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歌舞伎座

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歌舞伎を見に行った感想です。
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#着物

猿若祭二月大歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』で雨ゴートをウォッチング

猿若祭二月大歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』で雨ゴートをウォッチング

『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』勘三郎丈の十三回忌。勘九郎丈の佐野次郎左衛門と兵庫屋八ツ橋を七之助丈。いやらしい悪役に松緑丈、仁左衛門丈の魅了みたっぷりで、ハラハラ見守る女房おきつは時蔵丈。おっちょこちょいの下男に橋之助丈。その他、あのお役も、このお役も、豪華豪華。

今まで見てきた歌舞伎と違ってた。始まりは暗転。真っ暗な中に幕を引く音が聞こえ、バッとライトに照らされた舞台はお馴染み

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秀山祭九月大歌舞伎『祇園祭礼信仰記/金閣寺』で残暑の夏着物ウォッチング

秀山祭九月大歌舞伎『祇園祭礼信仰記/金閣寺』で残暑の夏着物ウォッチング

歌舞伎座で、夏着物ウォッチング。盛夏とは別の九月の夏着物。小物より、着物を変えれば安心ね!

はて、さて。一幕目の演目は中村歌六・米吉丈の『金閣寺』。桜の木に縛られた雪姫が、地面に集めた花弁に、爪先で、サササッと描いたネズミが現れて、縄を噛み切るというアレである。

人形浄瑠璃を元に創られた「義太夫狂言」。三色の定式幕が開くと、ドンと中央に二階建ての金閣寺。大ゼリにのっていて、最後のくだりで、建物

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八月納涼歌舞伎『新・水滸伝』お盆休みの歌舞伎座で、夏着物ウォッチングしてみた。

八月納涼歌舞伎『新・水滸伝』お盆休みの歌舞伎座で、夏着物ウォッチングしてみた。

先に、着物の話をサクッと書くと、歌舞伎座の夏着物はハードルが高かった。冷房のきいた部屋から、ドア・ツー・ドアで来られるような、つまりは車で来ているような人しかいない感じで、水色やレモンイエローの無自っぽい着物に、涼しげな絽のお太鼓柄の帯。汗もかかないような、スレンダーなボディばかり。当然、私はワンピース♪

演目の感想については、南座もあるので、ネタバレありとしておきます。

最初に、牢獄中の林冲

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壽祝桜四月大歌舞伎『義経千本桜』明治座の桜と着物をウォッチング

壽祝桜四月大歌舞伎『義経千本桜』明治座の桜と着物をウォッチング

三年ぶりに楽しんだ花見の宴も、そろそろ、終わりという四月の十一日、明治座の創業百五十周年記念講演『壽祝桜四月大歌舞伎』にて、片岡愛之助の『義経千本桜』を見ることができた。気分は桜づくし。

さっそく、着物ウォッチング。

ビッグヒットは桜の花弁の訪問着姿の女性。濃い地の着物に、コントラストで描かれた花弁が、襟元から、ハラハラと散らされている。名残惜しむような桜吹雪が、浜町公園の並木とタイミングがば

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三月大歌舞伎『身替座禅(みがわりざぜん)』で歌舞伎デビュー

三月大歌舞伎『身替座禅(みがわりざぜん)』で歌舞伎デビュー

着物や帯の織元さんと話すチャンスがあっても、着物の話をするには自信が必要だ。そんな私の言い訳は「三味線を習っているんですけど」。

そして、目の前に並ぶ、凝った柄の小紋(こもん)への言い訳は「着ていく場所が、三味線の発表会だけなもので。ウフフ…」

すると、北国の織元さんは笑って言う。

「私のトコは冬場、雪ばかりでしょう。着物で出かけようとしたら、近所のひとから『今日はお祝い事ですか』と聞かれて

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