和風一年生

趣味は長唄三味線と陶器集め。着物に学び、己を知る

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    着物好きさん、大集合! 着物エッセイや着付けとコーデのハウトゥ本

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    歌舞伎を見に行った感想です。

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PN「和風一年生」です。長唄三味線を習っています。発表会でのしくじりから、着付けに再チャレンジ。成長行事ナシ、仕事での着用ナシ、お稽古事で着る機会は年一回の私が、どうやって着物を楽しんでいるか。成長の記録をエッセイに綴っています。ちなみに、noteを始めたのは一年前。正確には、二年生です きもの本棚 → 着物の本の紹介 歌舞伎座  → 観劇&演目のやや、大袈裟な感想 長唄の聖地をゆく → 長唄の曲紹介と旅のエッセイ #自己紹介

    • きもの本棚㉕すなおさんの『楽しくなる着付け 100のコツ』 お太鼓は手直してナンボだよ

      コロナ禍にチャンネル数がグッと増えたが十年前に着物YouTuberといえば、木綿着物のトントンさんとはんなり系着付け講師•すなおさんだった。どちらも、進化を続けている。今回はすなおさんの本を片手に八寸帯の正方形のお太鼓にチャレンジしてみた。 さて。猛暑が続く今日のコーデは縞の縮みに合わせる帯揚げを駅ビルで買ったワインレッドに変えて定番の秋の色目。 襟、よーし! 脇、よーし! 続いて、おはしょりの線を整え、余りを帯にねじ込んで後ろのおはしょりのダボダボを前のおはしょりの内

      • きもの本棚㉔『六十代は、きものに誘われて』 木綿と紬、着るか着ないか問題

        『六十代は、着物に誘われて』は津田塾大の教壇に着物で立ち続けた三砂ちづる先生の新刊だ。時代が時代だけに、林真理子さんのような大人買いはない。「毎日、着物」「雪の日も着物」「飛行機での出張も着物」という執着に三砂さんの着物熱の症状は出たという。前著『きものは、からだにとてもいい』は新書っぽい傾向があったが、『六十代は、…』は着物初心者への気遣い、優れた言葉の選び方が見られ、読後感がよろしい。「着物は人を強くする」と書かれていた。 三砂さんは二年目を過ぎてから、木綿着物を愛用す

        • きもの本棚㉓『着物の悦び』『着物をめぐる物語』 着物は何枚必要か? 

          ある帯屋さん曰く、歌舞伎座に来ているお客さんは着物に対して真剣なのだという。この夏の歌舞伎座では、雨対策の洗える着物や綿紅梅、原色緑の小紋など、話題のお着物をウォッチングすることができた。これら全部を揃えるとしたら、着物は何枚必要だろう。「一脇」さんの木草履のお客さんはどの方も三十年以上は着物を楽しんでいる様子だった。おひとりは和菓子屋の娘だったけれど、他の方も特種な家庭環境に生まれついているのだろうか。『美しいキモノ』の特集にあるようなファッションの延長線で着物を楽しんでい

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          八月納涼歌舞伎『狐花』の小説版を楽しんでみた

          NHKの番組『百鬼夜行』に出ている京極夏彦さんの姿しか知らなかったので、小説を拝読。なかなか、おもしろかった。 驚いたことに小説なのに地の文がちゃんとあるのは数箇所だけで、状況説明も誰かの語りとして会話の中で進んでいく。独特だ。「 」の中の言い回しや言葉のテンポが美しい。中でも、舞台では深掘りされていない近江屋と辰巳屋の娘ふたりの開き直り→そして、破滅のくだりが特におもしろかった。一方、ラストシーンは舞台の方がインパクトがあったし、ガクンってなるところも、比較的、サラッと書

          八月納涼歌舞伎『狐花』の小説版を楽しんでみた

          三味線はスポーツだ

          十年前から、三味線を習っている。ジャンルは長唄三味線。歌舞伎でかかる曲のひとつだ。お教室には他にお琴や三線、津軽三味線のコースがある。カルチャーの教室なので、誰も名取にはならない。 教室には夏と冬、年に二回の発表会があってやったことのない曲にチャレンジしている。どの曲にも弾けない箇所が必ず出てくる。今は『吾妻八景』を稽古していて、ウラハジキに泣かされている。 西洋音楽と違い、和音のない三味線は多彩な音色を持つ。音の出し方には三種類あって、通常、糸の上に振り下ろすところの撥

          三味線はスポーツだ

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』 歌舞伎座では浴衣より、綿絽や綿紅梅でカラフルに

          災害続きでコワイです。我が身と皆様の御無事を祈っております。さて、歌舞伎座前は流水が涼やかです。 また、風鈴の音は激しく! 京極夏彦さんが「歌舞伎の台本を書いた」と話題の『狐花』を見てきました。曼珠沙華の多面的な解釈には言葉に対する執着を感じ、結末にはやられたと唸る。 作家は刃物でなく、言葉で相手を突くのです! 幸四郎丈へのインタビューにある通り「京極歌舞伎」は会話劇なんです。ほぼ、現代語です。沢山、人が死ぬけれど立ち回りはごく、わずか。台詞を聴き取るのが大変です。キ

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』 歌舞伎座では浴衣より、綿絽や綿紅梅でカラフルに

          きもの本棚㉒『きもの語辞典』 イラストレーター岡田知子さんの着物愛にほっこり

          noteの記事で説明できるように紋様の名前を覚えたいと考えて、Amazonでお取り寄せしたイラストレーターの岡田知子さんの本。岡田知子さんは『七緒』他、着物の専門誌でお馴染みのお方。ひとつひとつの用語にイラスト(一部、物撮り写真)が添えられていて、説明文にある、着物歴30年の著者が書き添えたちょっとした工夫やアドバイスを「そうだったんだ」と気付化される事もあれば、「ほら、やっぱり!」と公認された気持ちにもなれる。 もちろん、辞典として使っているが、なにかの占いのようにランダ

          きもの本棚㉒『きもの語辞典』 イラストレーター岡田知子さんの着物愛にほっこり

          きもの本棚㉑『大人の着物コーディネートブック』 帯締めのポイントカラーはどうやって選ぶのか?

          主婦と生活社のムック本。お宅拝見の家の代わりに自前の着物を見せて貰ったよという内容。ギャラリー店主が多数登場し、箪笥の中の『作品』と呼びたくなるような帯を紹介する。 江戸小紋を愛用するギャラリーオーナーさんは「無地っぽい江戸小紋には、大柄やカラフルな大胆な柄の帯」を合わせて「大きめの柄には、正統派の名古屋帯」で柄を抑えている。こうした法則は知っているはずなのに、いざ、売り場で選ぶとトンチンカン。買い直したつもりが、似たようなものを選んでしまう。 呉服屋さんの家に生まれたギ

          きもの本棚㉑『大人の着物コーディネートブック』 帯締めのポイントカラーはどうやって選ぶのか?

          七月大歌舞伎『裏表太閤記』 梅雨明け前の夏着物は、化繊に自然布の帯が鉄板か?

          「和服姿でエライ」と言いたくなるような荒れたお天気の日。澤瀉屋の『裏表太閤記』を松本孝四郎が再演するということだけを知り、予習もせずに観に行った。描くのは太閤秀吉の出世の裏で起きたドラマだ。「想定外」の連続に驚き、クチをあけて楽しんだ。歌舞伎座ではタブレット式字幕も扱っていて、歌舞伎なのに史実の役名なのも、インバウンド対応なのだろうか。ちなみに、新春にやる忠臣蔵は役名変わらずなのね。 序幕の一場で、明智光秀の素性が父親(中車丈)によって語られ、二場『本能寺の場』で、信長の理

          七月大歌舞伎『裏表太閤記』 梅雨明け前の夏着物は、化繊に自然布の帯が鉄板か?

          きもの本棚⑳ 『青嵐の庭に座る』『老いてお茶を習う』 お茶の世界にびっくり

          茶道の本! リサーチのキッカケは愛読書のコミック『銀太郎さんお頼み申す』。主人公のさとりちゃんが「大寄せの茶会」に初参加する話があったのだ。着物が着られて、お抹茶が美味しくて、風情のある場を見学できる茶会って、楽しいの? 私でも、自宅で珈琲を淹れるかわりに、お茶を立てられるの? か? そんな折に時間潰しに入った駅の書店で、興味深い本と出会った。 『青嵐の庭に座る』は森下典子さんの書籍を原作にした映画『日日是好日』のメイキングを記録したエッセイで、タイトルの「青嵐の庭」とは

          きもの本棚⑳ 『青嵐の庭に座る』『老いてお茶を習う』 お茶の世界にびっくり

          長唄の聖地をゆく③『吾妻八景』に見る江戸の名所

          長唄『吾妻八景』は歌舞伎舞台ではかからない、御座敷用の演奏曲として作られた曲のため、『勧進帳』の弁慶や『鞍馬山』の牛若丸のような主人公がいません。描かれているのは、江戸の名所です。キッチリとした構成で、春夏秋冬、江戸のインスタ映えスポットを追いながら、「本調子」「二上がり」「三下り」と転調していきます。 曲の出だしは格調高く、日本橋から見る日の出の景色です。明け方の空の色の表現が「江戸紫」とは驚きです。咲き乱れる桜の向こうに、富士山が見えます。花見の舞台は御殿山。御殿山はお

          長唄の聖地をゆく③『吾妻八景』に見る江戸の名所

          夏着物で恥かいた話

          ある日の着付け教室。 夏着物といえば、上布とちぢみ、麻の着物だ。私は昨年、ひょうたん堂で購入した麻のちぢみを冬の間に馬喰町の駅チカの問屋さんに頼んで、サイズ直しして貰った。サイズ見本として、長襦袢も一緒に預かってくれたので、ピッタリに仕上がった。和装バッグにそれらを詰めて、いそいそと着付けのお稽古に。 「先生、私『美しいキモノ』を見たんです!」 2024年春号の『美しいキモノ』の巻頭特集は、別荘ライフを着物で楽しもうという企画。道中から、滞在先でのお呼ばれまで、シチュエ

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          六月大歌舞伎『山姥』 初の全幕観賞と初の推しグッズ

          今月の歌舞伎座も残すところ、あと四日。先週、縁あって、夜の部を観劇することができました。五月は昼の部&幕見席でしたが、六月は昼の部&夜の部。お初なんです。 特に役柄の違いが印象的だったのは米吉丈で、昼は貫禄だったのに、夜の部は十五、六の初々しい娘役。一幕目『南総里見八犬伝』の娘浜路です。「あれ~」と帯を解かれる場面があって『八犬伝』はなかなかのエンタメ。山中で出会った、後の八犬士の面々が闇の中で牽制しあう「だんまり」では、誰を注視していようかと目線がウロウロ。巳之助丈は別格

          六月大歌舞伎『山姥』 初の全幕観賞と初の推しグッズ

          きもの本棚⑲『浅草でそろう江戸着物』で夏仕度。浅草でバレッタを手に入れた話

          江戸時代、芝居小屋の移転でスタートした「芸能の街・浅草」。今も和装とは縁が深い。そこで、伝法院通りにある履物屋『辻屋本店』の四代目女将が2018年に出した『浅草でそろう江戸着物』を頼りに浅草の和装品の店を周ってみた。 仲見世は平日でも、かなりの人出。大半が外国人だ。アーケードにあるレンタル着物の店は、行く度に数が増えている。そんな中でインバウンドの大波をどこ吹く風とかわし、浅草の老舗は力強く店の歴史を積み上げている。無くなった店もある。元気な店もある。但し、変わらない店は無

          きもの本棚⑲『浅草でそろう江戸着物』で夏仕度。浅草でバレッタを手に入れた話

          六月大歌舞伎『妹背山婦女庭訓』 舞台の熱気で雨は滝のよう。人生初の雨コート

          先週の土曜日に初日を迎えた歌舞伎座。昼の部、中村時蔵丈と梅枝丈の劇中口上が行われる襲名披露狂言『妹背山』を3階席で、観て参りました。歌舞伎座の入口では、「萬屋」の屋号を白く染め抜いた半纏の男性陣がお出迎え。真っ赤な祝幕は千住明の滝の絵。幕が開き切る直前までは片方の腹に腕に貯めておくらしく、少しずつ、幕の開いていく側に美しいドレープの重なりが出来ていました。乱れ飛ぶ「萬屋」「播磨屋」の声。客席には紋付の着物姿を幾人もお見かけし、お祝いムード。いいですね〜 一幕目『上州土産百両

          六月大歌舞伎『妹背山婦女庭訓』 舞台の熱気で雨は滝のよう。人生初の雨コート