「コーチングとティーチングは二極化して考えるべきではない」と言う話

2023年1冊目の備忘録。

部下育成の観点から「コーチングとティーティング」の有効な活用の仕方について悩んでいた。
学習すればするほど分からなくなっていった。

というのも、コーチングを学びたいと思い手始めにキャリアコンサルタントの資格を取得した後から「教えてはいけない、気づかせるべき」「こちらの主張はせず、気付きや内省を促す関わり行動をする」「ティーチングではなく、コーチングが必要」という二極化した考えに取り憑かれてしまった。

資格取得の過程で「来談者中心療法」「非指示的カウンセリング」を授業やロールプレイングを通して何度も何度も意識したからだと思う。

「来談者中心療法」や「非指示的カウンセリング」を極端に言うと、「教えるな。自分の意見を主張するな。質問を通して相手の中にある答えを引き出せ。」と言うことだ。

だいぶ極端に表現しているが、キャリアコンサルタントの学習を通して、実務に役立った場面はたくさんあるので学んでよかった思っている。

そんな思い悩んでいる時、「フィードバック入門」という本に出会った。

・読後感を一言で

コーチングとティーチングの活用についてうまく言語化してくれた!と思った。

本書の中で

「冷静になって少し考えれば、コーチングかティーチングかなどの二極化した部下育成はうまくいかない」

とあり、その言葉を期待していたのか、納得したのと同時に恥ずかしさがこみ上げてきた。経験が浅い若手に対して「どうすればいいと思う?」とコーチングの手法を用いてどれだけ問いかけても、業務経験が浅い状態では答えようがないということだ。

経験が浅い部下や悩みや課題、問題行動に気づいていない場合にはやはりティーチングが必要になってくる。

・フィードバックのプロセス

著者が主張する部下育成のためのフィードバックプロセスはコーチングとティーチングを組み合わせたもので下記の通りとなる。
(※P73 注14でフィードバックをコーチングの内部に位置付ける考え方もある。筆者としてはそれでも全く問題ないと主張している点も配慮があって素敵だと思った。)

1 場の設定
・信頼感の確保
2 情報通知=ティーチング的
・事実通知(鏡のように情報を通知する)
・問題行動の腹落とし(対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる)
3 立て直し=コーチング的
・振り返り支援(振り返りによる真因探究、未来の行動計画作り)
4 期待通知(自己効力感を高めて、コミットさせる)

教えてはいけない、主張してはいけないと言うモヤモヤが晴れた気がした。
特に業務経験の少ない人に対しては、ティーチングの機会が必要だ。

キャリアコンサルタントの学習もコーチングの視点で有効に働くと思ったため、フィードバックのプロセスにキャリアコンサルティングの技法とプロセスを当てはめると下記の通りになると思う。

1 場の設定
・信頼感の確保
インテーク面談
2 情報通知=ティーチング的
・事実通知(鏡のように情報を通知する)
→アイメッセージ(私はこう見える)
・問題行動の腹落とし(対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる)
→関わり/傾聴技法(質問・言語的追従・要約・伝え返し)
3 立て直し=コーチング的
・振り返り支援(振り返りによる真因探究、未来の行動計画作り)
→関わり/傾聴技法(質問・言語的追従・要約・伝え返し)
4 期待通知(自己効力感を高めて、コミットさせる)

まとめると「客観的事実を集めて、その事実を伝え、対話を通して相手の考えを聞いた上で、理想と現実のギャップを埋めていくための計画を立てて支援していく」ということ。
そのプロセスの中で「相手の考え方を聞いた上で」と言うのが中々できない。キャリアコンサルタントの学習は「相手の考え方を聞く関わり行動」を学ばせてくれたと思う。

・フィードバックの教訓

事実を伝える時には必ず痛みが伴う。
管理職は嫌われて感謝される。
受容して攻める。そして負けて勝つ。
対話を通して≠を=にしていく作業がマネジメントの役割。
人は無能になるまで出世する。無能な状態にならないためにもフィードバックを待つのではなく、自ら求めに行く。

今日も良い言葉のシャワーを浴びれた気がした。
昔、上司から「マネジメント層はいい兄ちゃんでいたい!という思いは捨てろ」と言われたことを思い出したので、いい兄ちゃんではなく、手厳しい兄ちゃんでいようと思う。


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