見出し画像

『BLUE GIANT』(アニメ映画)

視聴環境:U-NEXT

※多少ネタバレします。

【内容】
東北でジャスサックス奏者を目指して上京した青年の宮本大は、ジャスバンドを組み名門ジャスクラブ「SO BLUE」での公演を目指すこととなるのだが…

ビッグコミック連載の漫画作品を原作としたアニメ映画。


【感想】
公開当時、随分と話題になっていた長編アニメ映画で、U-NEXTで配信が始まっても、かなりの期間有料配信されていました。
つい先日から、サブスクの見放題の方に降りて来たので早速観てみること…


視聴した感想としては…
演奏シーンが凄く良い!
楽曲がどれも良いし、なにより演奏シーンのアニメーションも良かったです。
一つ一つの演奏シーンが、ちゃんとドラマに合わせたものになっていて、目の前で現実のライブに立ち会ってる感がありました。

ストーリー自体は、キラ星のような才能を持った主人公が、努力と根性とその人間性で周りを巻き込みながら、才能を開花させていくというもの。
昭和のスポ根ものなどにもあるような、努力、友情、勝利といった至ってシンプルな構造のものでした。
とはいえ、大人の世界、芸事の世界ということもあり、そういうところは単純な少年漫画とは違った味わいがあるました。
チームスポーツもののようでもあり、スタートアップ企業もののようでもあり…
何層にもいろんな要素が積み上がりつつも、ちゃんとドラマとしてまとまっていると感じました。

以前、映画監督の三宅隆太さんがこの作品に、スクリプトドクター(脚本のお医者さん)として脚本に参加していたとのことを、ラジオなどで当時のことを語られていました。当初は脚本作りがかなり難航していて、三宅さん自体も脚本を書いたりもしたとか…
そう思って作品を思い返すと、所々トリッキーに登場人物のが後年インタビューに答えているようなシーンが挿入されていたりして、こうした作品としては所々歪な所があったことを思い出したりもしましたり


たまたまこの作品を観た直後に、アニメシリーズ『けいおん』の曲を耳にしたのですが、ある種対極にあるような作品と感じつつも、同時代性も感じたりもしました。
どちらも10代後半の主人公が活躍する音楽ものであり、バンドを組みといったところまでは一緒ですが…
どちらもかなりハイクオリティな日本的なアニメーションであるという面では共通しているし、どちらにも恋愛対象としての異性の存在が皆無であったり、家族や日常生活に関する描写があまりないといったことも共通していると感じました。
年齢層と10代の『BLUE GIANT』は世界一のジャスサックス奏者を目指す青年の話であり、『けいおん』は高校生の部活の音楽活動の話ですが…
なにか現代的な物語の裏表の関係にあるような物語だと感じました。


幾つかの音楽をテーマとした映像作品で、『響けユーフォニアム』のことも思い出したりもしました。この作品は高校生の吹奏楽部についての作品で、弛まやぬ努力の先に、別にプロにまでなろうという人間はほぼおらず、先が見えていながらも必死に頑張り、友情を育んでいくといった話でしたが…
努力ではどうしょうもなく乗り越えられない演奏家としての壁や、日常生活を営んでいくために超えられない制約など、リアルに描かれていて…
この作品も『BLUE GIANT』とは裏表の関係にある作品なのだと感じました。


『BLUE GIANT』を観た後に、たまたま観に行った『マティス』の展覧会を観ていて、気付いたのですが…
演奏シーンのモチーフは、マチスの切り絵の作品『JAZZ』から持ってきているなあと。
薄らとは思っていたのですが、実際の作品を観ていると諸にアニメショーンでマティスの『JAZZ』的なことをやろうとしているなあと…
脚本段階でもかなり難航したようですが、アニメにおける演奏シーンをどうするかという時に、これしかないだろうなあといった話になったんだろうなあと…
アニメーターやCG班の作った動画に、後から相当拘ってエフェクトなどを足していった感じが伝わってきました。
大変な作業ではありますが、そこまでお金掛けずに人力パワーでクオリティー上げるやり方としては、ここら辺のやり方が有効なのだろうなあと思ったりもしました。

https://bluegiant-movie.jp/#modal

この記事が参加している募集

アニメ感想文

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?