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【展覧会レポ】 国宝 雪松図と能面×能の意匠(三井記念美術館)

こんにちは, 手のひらに和をです.
今回は, 12月8日から三井記念美術館にて開催されている「国宝 雪松図と能面×能の意匠」という展覧会を, プロジェクトメンバー4人で観覧してきました. 

 この展覧会は, 能面と能の意匠をテーマとしており, 室町時代に作られた能面や能装束のほかに, 能にまつわる茶道具, 蒔絵が施された楽器, 国宝である「雪松図屏風」などが展示されていました. ここに掲載している写真は全て撮影OK(展示室4と入口のみ)とされていたものです. 能面は重要文化財に指定されている物が多数ありましたので, こちらは全て撮影禁止でした. 👇のリンクより展示されている能面の画像と詳細がご覧いただけます.


~能面の魅力~

 皆さんは能面に関心を持ったり, 能楽を見たことが有るでしょうか?
般若のような形相というのは耳にしたことがあるのではないでしょうか?個人的に思う般若のシチュエーションは, 「般若相の妻に詰問される夫」です笑. 般若とは嫉妬と恨みを表現した女性のお面です. 特徴的なのは額に生えた長い角と口元の鋭い牙, 乱れた髪など女性らしさを残しつつ上半分は悲しみの面相を, 下半分は怒りの面相をしている点などです.

 本来なら能面は,古来より続く伝統芸能の能楽で使用されており, 能面単体で見られる機会は滅多にありません. 会場で見て頂くと分かりますが, 表面は白くて裏面は漆で黒く塗られています. また翁や女性の面などの優しい表情の面や先述の般若など激しい表情をした面など表情が様々です. 正面からマジマジと見るのも良いですが, 会場ではガラスケースに入っていて360度見ることができるので, 私たちのおススメは斜めから見ることです. 理由は能面に施された表情は一つ一つが異なっており, 表面の凹凸や顔の構成が良く分かるからです. 匠の技の違いや表情の違いを見つけて比較して見ては如何でしょうか?見つけることが出来たら, この能面の魅力の答えを導き出せるハズです.

~能装束~

様々な色と模様の能装束

 能面と同様に魅力を語る上で外せないのが能装束です. これらは登場人物の役柄や性格, 時代背景に合わせてデザインされています. 能装束と雪松図屏風のある展示室4では全て撮影が可能ですので, 皆さんもお好きな模様を撮影して手元に残すことができます. 会場には赤色・朱色・紅色・紺色など様々な色地に桧垣菊折枝や菊菱扇面など様々な模様と刺繍が施さられており, 花や動物の刺繍を探すのも楽しいものです. 

能装束に描かれている絵

展覧会を鑑賞したpjメンバーそれぞれの感想

M.K
 「能」と聞いて,皆さんはどのようなイメージを持たれるだろうか。格式が高く,とっつきづらい印象を持っていた私は,正直この展覧会を心から楽しむことができるか不安があった。しかし,先に展覧会へ行かれた方のお話を伺ってから,そんな不安は「楽しみ」に変わり,実際に訪れてみると,その何倍もの「わくわく」を得ることができた。
  まずはなんといっても「能面」である。なんとなく「怖い」「不気味」な印象を持ってしまう能面だが,近くで見るとその表情の繊細さに驚かされる。正面から見ればただ「怖い」お面かもしれないが,身をかがめて下から覗くとそこに少しの悲しさや哀愁が見て取れる。逆に,思わず笑ってしまうようなお面でも,角度を変えればたちまち威厳と脅威を感じさせる人物に様変わりする。よく人物画で「見る角度によって表情が異なる」なんてものがあるが,その比ではない。立体なのもあり,一種の生々しさまで感じさせる「彫り」の技術には驚嘆した。普段は決して見ることができない,「お面の裏側」も必見だ。演者さんの視界を体験できる機会はなかなかないだろうと思った。また,至近距離で見られたからこその細かな発見もある。例えば,ほとんどの面は二重なんだなぁだとか,1つひとつ異なる口紅の色や眉の形などである。微細なことかもしれないが,毎日化粧をする身としては,顔の細かなパーツに注目せざるを得ない。演技をする人など,「表情」が重要となってくるものに関わっている人が見ても,面白い発見があるのではないかと思った。
 さらに驚いたのは能の衣装である。まさかここまで華やかでポップだったとは。「かわいい」ものが好きな人には心躍る空間が待っていると私は思う。想像以上に明るく,遊び心溢れる配色はもちろん,高尚な模様に紛れるころっとしたモチーフに気づいてしまったら,もう目が離せない。
雪松図屏風の雪の美しさも,近くで見て初めてわかる秘密があった。

 今回の展覧会はまさしく「能の世界」への入り口になるものだったと私は思う。自分とは全く関係のなかった,少々敷居の高い世界に,何も知らない状態でも楽しめる,発見がある場は貴重である。この経験をきっかけに,今まで受け流してしまっていた「能」に関係する情報を覗いてみたいと思った。

N.S
 室町時代に製作された能面は,表情が一つ一つ異なっており,優しい表情をしたお面は凹凸が少ないのが特徴で,表情が激しいお面は凹凸が多いという面白さに気付いた。また,毛髪が一本一本手描きで美しく描かれており,髭には動物の毛を使用しているという点に匠の技を感じた。能装束には様々な模様と色で構成されていることから飽きることが無く,描かれている絵柄や模様を考えながら見るのがとても楽しかった。全体を見終わった頃に思ったことは,展示を見るだけでは無く,実際に動きを付けた能舞台を見て初めて実感できる物であるということ。

C.C
 人生で初めて能に触れました。元々、「お面を被って演じるものって面白いのかな?」と思っていたのですが、今回の貴重な機会を通して、能面の表現方法の豊かさに感激しました。細かいシワの滑らかさや能面の色のコントラストの付け方で、大きく表情や年齢感が変わっていてとても驚きましたし、人ならざるものは本来は白目の部分が金色になっていたり、歯を金色にすることで高貴な身分であることを表したりなど、能面がどんなに表情豊かなものであるかも実感しました。 口元の筋肉や力加減の表現にも感動しました。丸みを帯びていながらその奥にしっかり筋肉があり、能面自身が力を込めている表現がとにかくすごいと感じました。 また個人的に、般若の顔は恨みや憎しみが溢れている表情だと思っていたのですが、実際によく見ると怒りの感情だけではなく悲しみの感情も強く感じられて、今まで人間の最大の憎しみを表していると思いこんでいたからか、般若の表情の奥にはどんなに複雑な感情があるのだろうととても興味をそそられました。 今まで能面は「昔の感性で作られた昔の芸術作品」という認識でしたが、様々な表情の能面を見ているうちに「現代の漫画でも見たことあるなぁ…」と感じる表情が多々ありました。能面が多く作られた時代と現在はそれぞれ別の表現技法を持った芸術だと今までは感じていたのですが、根本的な表現技法は変わっていないんだな、昔と今は確かに繋がっているんだなと、とてつもなく感動しました。

S.D
 今まで触れてこなかった「能」という世界. 純粋に面白いと感じた. 色やパーツの形にある意味, 一つ一つの能の表情, それを彫る技術. あそこまでの至近距離で見る機会はなかったので, その細部まで見ることができて非常に興味深かった. 能装束についても, その様々な種類の中で, 組み合わせや着方によって配役の性格を表すということの驚いたし, 何よりその刺繍や色合い, 模様がとても綺麗だった.
 漆器に関して自分自身は関心が強いので, 笛に施された蒔絵を見たときは, その煌びやかな色合い, デザインに強く惹きつけられた. 
 能に関する知識を自分は持ち合わせていなかったが, 終始楽しみながら観覧する事ができた.

おわりに

 なおこの展示会は, 2024年1月27日まで開催されていますので, 興味のある方はぜひ足を運んでみて下さい!!三井記念美術館についての情報はこちら👇

三井記念記念美術館

  • 銀座線三越前駅A7出口すぐ

  • 三井本館7階

  • 開館時間:10時~17時

  • 休館日:月曜日

  • 入館料:一般¥1000, 高校生・大学生¥500, 中学生以下は無料


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