質問093:きれいなスピンをかけて安定させるには?
回答
▶「スピンをかければ安定する」は情報のミスリード
きれいなスピンをかける方法はコチラになります。
ただしスピンをかけ(ようとし)たからといって、ショットが安定するわけではないということを、差し当たって踏まえておいてください。
まだショットを安定させられない初中級者であっても、スピンをかけさえすればショットが安定すると思い込んでいる人が、少なくありません。
これは、テニス市場に反乱する情報のミスリードなんですよ。
本もネットもDVDも、「スピンをかければショットが安定する」と声高に謳うものだから、そういう魅力的な話を聞けば、まだ安定性を欠く初中級者ほど、ラケットを垂直方向に振り上げたり、打点を不自然なくらい前に取ってインパクトのあたりを極端にカスレさせたりしがちです。
だけど、それでは当然安定しない(面のど真ん中を外しやすい)から、「もっとやらなきゃスピンはかからない!」とばかりに、ラケット面を伏せたり、ボールの上側を捕らえたり、手首をこねたりする、さらに極端なスイングをやらかしがち。
スピンを意識するせいで、フォームが不自然にもなる(バイオメカニクスとして不利になる)。
その裏では、たゆまぬ努力が続けられます。
「スピンをかければ、かけられればかけられるほど、いつかはショットが安定する」と信じて……。
▶『テニス上達のヒント』に相反する内容
物理の法則を踏まえて、前から飛んでくるボールに対してラケット面を垂直方向に振り上げたり、あたりを極端にカスレさせたりする方法では、ショットはむしろ安定させにくくなります。
飛んでくるボールとスイングのベクトルが、乖離しすぎるからです。
これは『テニス・ベースメソッド』でもたとえましたが、野球のキャッチャーが、ピッチャーから投げられたボールを、ミットを上へ振り払いながら捕球するようなハードモード設定。
あえて難しくして、どうする!?
捕りにくくて仕方がありません……。
テニスでもそんなやり方(打ち方)をすればするほど、インパクトは芯に来ないし、タイミングを取りづらくなる。
ともに「無料ガイドブック『テニス上達のヒント』」が説明する、「面の真ん中で打つ」「タイミングよく捕える」の、テニス上達のための2つのテーマに相反しています。
※厳密に言えば、ラケット面の真ん中でボールを捕らえられないエラーも多くの場合(空間認知に関するイメージのズレがない限り:武井壮氏の説明参照)、打球タイミングのズレに起因。
だからテニスでミスする原因はつまるところ、「この発見」に集約されます。
▶スピンで安定しない人、フラットで安定する人
スピンは、上手く打てば安定するショットではありますが、それは「上手く打てば」の前提条件を踏まえれば、実はフラットもスライスも同じです。
ですから冒頭でご指摘した「スピンをかければ安定する」という情報は、ミスリードなのです。
発展途上のプレーヤーが、スピンをかけさえすれば安定するわけではありません。
むしろラケットを地球の重力に逆らって振り上げる必要があるため体力を要するぶん、比較的大変と言えるから、当初は不安定になる恐れもある。
それが証拠に、自称スピナーだけどショットがとても不安定な人の例、フラットプレーヤーだけどショットがきれいに安定している人の例というのは、枚挙にいとまがありません。
▶デルポトロのショットがコートに突き刺さったワケは?
スピンは安定すると言い切る背景には、「フラットは危険」と言いたげな決めつけがありそうです。
いわく「強く打つと飛びすぎてバックアウトする」。
確かにこれも、常識的なテニス指導ではよく聞こえてきます。
だけど本当に、フラットは強く打つと飛びすぎるから危険なのでしょうか?
それは「強く打つと」、ではなく「打球タイミングを外すと」が真因。
それが証拠に、強く打つと飛びすぎるというのであれば、2009年USオープン覇者である、ファン・マルティン・デルポトロの強烈フラットが、ことごとくコートに突き刺さった理由が見つかりません。
https://www.youtube.com/watch?v=AlJFsGQpsas
錦織圭が、ビッグフォアの世界ベスト3に選出したうちのトップです。
2メートル近い上背を誇った大男デルポトロは、コートにフラットショットを収めるために、あえて力加減・手加減をしながら打っていたのでしょうか。
あるいは私たちの打つフラットが、デルポトロが打つよりもさらに強すぎるから、バックアウトするとでも言うのでしょうか?(@_@)
あるいはコチラでご紹介した、ピート・サンプラスのピストル・フォアしかり。
▶安定性の違いは次の2点
自称スピナーだけどショットがとても不安定な人の例、フラットプレーヤーだけどショットがきれいに安定している人の例、ともに枚挙にいとまがないと先述しました。
両者の違いは、次の2点。
打球タイミングが取れているか否か。
面の真ん中で捕えられているか否か。
タイミングよくラケット面の真ん中で捕えさえすれば、スピンの感覚を培えば(そのための「回転の味見」)、スピンをきれいにかけられるようになります。
その過程においては、あえてインパクトのあたりをカスレさせる練習も、「回転の味見」をするにあたって、試してみてもいいと思います。
ご意向に沿う回答ではなかったかもしれませんけれども、テニスの上達を心より応援しています。
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