質問082:スピンサーブ、スライスサーブが上手くいかない。どうしたらいい?
回答
▶サーブのイメージをインストールする
課題として習得を目指すスピンやスライスサーブの現実的なイメージを、まずは次の点に留意して、ご自身のなかにインストールしましょう。
スピンサーブがバウンドして高く弾み上がるのは、順回転するボールがサーフェスを噛んでキックする力によると、イメージされがちです。
だからこれから習得を志すプレーヤーはひたすらに(いたずらに?)、回転量を上げようとしがち。
もちろん、そのようなキックする力も働くのですけれども、一方ではスピンサーブというのは、高い弾道を通すからその「高低差」によりリバウンドが大きくなるぶん、高く弾む側面があります。
またスライスサーブは、横回転しながら曲がるイメージがありますね。
それは確かに間違いないのですけれども、一方ではサイドスピンであっても回転がかかっている以上、 空気抵抗が働いて「落ちる」イメージも、備えておくとバッチリです。
スピンサーブなら高低差を最大化できる「山なり」に、スライスサーブも落ちるから、もちろん打ち下ろすのではなく「打ち上げ」になります。
▶テニスに「公文式」を取り入れる
なので取り組みとして、まずは山なりに打ち上げて飛行する「ゆっくりのサーブ」を、あえて目指します。
ところが回転量を増やそうとするあまり、スイングスピードを上げようとしがち、ではないでしょうか?
しかし回転はかかるかもしれませんけれども、仰せのとおり、最初はなかなか「安定」はしませんね。
ですからむしろ、回転量は下げてみるのです。
そして飛ばすサーブも、ゆっくりに。
すると、自分の打った飛んでいくサーブの、スピンなら「順回転」が、スライスなら「横回転」が、見え出します。
視認しやすくするためにボールに「十文字」をマジックなどで描き入れたり、あるいはやわらかくて一層回転をかけやすく視認しやすい2色の「PLAY & STAY」を使ったりするのも、習得をサポートするうえで有効です。
実に効果的です。
そうやって、難易度を下げるのです。
公文式です。
ブレイクダウン、またはチャンクダウンするのです。
「ゆっくりなスイングスピードで回転がかかるのか?」などと、いぶかる向きもあるかもしれません。
それを確かめつつ、回転をかける感覚もつかめる練習法をご紹介します。
▶ラファエル・ナダルのラケッティング
ラケッティングによるボールつきです。
一般的なラケッティングでは、上から下へボールを地面についてポンポンポンとバウンドさせたり、下から上にボールをトントントンと突き上げたりする動作などを繰り返します。
ほかにも、片面に乗せたボールを、ラケット面をひっくり返しながらもう片面へ移動させたり、ラファエル・ナダルが披露するサイドフレームを使ったりするラケッティングなどのバリエーションもあります。
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▶小さくてゆっくりなスイングでも、回転はかかる
それはさておきここで取り組むのは、水平に保ったラケットを左右に振りながら、ボールを真上へ突き上げて回転をかけるラケッティングです 。
図示すると、下記のイメージです。
◯
↑↓
← 一一一 →
右利きの場合、フォアなら右から左へスイングしながらボールを突き上げたのち、落ちてくる間に右へラケットを引き戻しては、また左へスイングしつつボールを突き上げる運動を繰り返します。
スイングスピードが速くなくても、ボールには回転がかかります。
小さくてゆっくりなスイングでも、回転はかかるのです。
それを、自分の目で見て確かめるフィードバックが大事。
この作業により、目で見た情報を通じて回転のコントロールを再現する身体動作によるコーディネーション能力が培われます。
▶ナダルの「ハンド・アイ・コーディネーション」
ですから、自分が打ったサーブの回転を、自分の目で見て確認できる練習が、スピンやスライスサーブを習得するうえで有効なのです。
ナダルのラケッティングが続くのは、手と目による「ハンド・アイ・コーディネーション」が、高いレベルで協応しているからにほかなりません。
楽器演奏なら、「ハンド・イヤー・コーディネーション」。
自分が手で奏でる楽器の音を、耳で聞くからこそ、音色やリズムや強弱などが、ハイレベルで再現されます。
▶「回転の味見」をする
料理人が味見して、料理の完成度を高めるようなもの(ハンド・タン・コーディネーション)。
味わえなければ毎回当て推量となって 、特にこれから習得を志す初学者の段階では、味にバラつきが出るようなものです。
それと同じです。
世間では、「やり方」ばかりを教えようとしがち。
テニスなら、打ち方。
楽器なら、弾き方。
料理なら、作り方。
だけど、目で、耳で、舌で「確かめる」ことなくして、それが本当に効果的で、上手くいっているのか、あるいは自分に合っているのか、分からないのです。
なので、スピンやスライスサーブの習得にあたっては、「回転の味見」をする。
そんなふうに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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