見出し画像

転職して約1ヶ月後の話。

今年の初めに復職・転職してから約1ヶ月が経とうとしている。
休職していた期間が長く各所に心配を掛けていたというのもあり、友人に会うたびに調子はどう?と聞かれるのだがお陰様で今のところ順調だ。



身近に転職を経験した兄弟や友人がいらっしゃる方は耳にタコができるほど聞いた話かもしれないが、新卒から8年間勤めてきた前職との文化の違いに日々カルチャーショックを受け続けている。きっと転校生ってこういう気持ちなんだろう。
会社の文化と一言で言っても、前職と比べて服装から社員の性格まで何から何まで違いすぎて、正直なところ消化するのにしばらく時間がかかった。


私服通勤推奨、とは聞いていたものの流石に入社直後は様子を見ておきたく、初日はユニクロで買ったオフィスカジュアルで出社したのだが、職場にはスーツどころかワイシャツを着ている人も全くおらず、みんなすごくラフな恰好をしていた。金髪や青髪、緑髪など、いろんな色に髪を染めている人も結構いる。こうなるとむしろきちっとした服装の方が逆に浮いている感があって、ほどなくして私も普通の普段着で出社するようになった。
前職ではズボンの裾と靴の間から見える靴下が柄物だっただけで上司から呼び出されて指導を受ける、地毛が茶色がかっているので黒染めを命じられるなどといったトンデモエピソードもあったが、今ではダボダボなスウェットパンツで出勤しても何も言われない。
子供の頃のささやかな夢が「スーツを着ない仕事」だったりしたので、(別にそれ目的で転職した訳じゃないものの)今日来ていく服を選ぶ楽しみを感じるのが新鮮な毎日だ。髪も頃合いを見計らって染めてみたいなあと思っている。


あとみんな出勤時間ギリギリに出勤してくる。これまで業務開始の30分前に自席についてないのは社会人として如何なものかという教育を受けてきたのでびっくりした。そのため入社2日目にして出社時に会社全体の施錠解除をすることになった。



というかそんな話は割とどうでもよくて、前職の経験で最も懸念していたのが職場での人間関係だ。
業界やら会社規模やら、環境がガラッと変わる以上、前職よりも精神的に過酷な仕事場になるかもしれない可能性に対して一応の覚悟を決めて入社したものの、これまでのところ前職で感じたようなストレスを感じる気配がなくとてもホッとしている。


新卒採用がほぼなく、社員のほとんどを転職組が占めているのもあるのかもしれないが、本当に様々なバックグラウンドの人たちがいて、かつそれをお互いに受け入れ合う雰囲気を感じている。先程の服装や髪の色もそうだが、会話の内容やデスクの周りの装飾の好みなども本当に人様々だ。
いろんな分野の経歴の人達が多数いて、全く知らなかった業界の物凄い経験談を聞くたびに慄くものの、私は前職でパワポで社内や客先に見せる資料を作る&プレゼンすることが日常業務で、何の変哲もなく強みもない営業職のスキルだと思っていたことを褒めてもらえるなど、嬉しいことも多い。一方で私がこれまでの業界と畑違いである背景も受け入れてくれていて、具体的な業務に関しても本筋に直接関係ないtipsも含めて、時間を割いてとても丁寧に教えてくれるので本当にありがたい。



話が少し飛ぶが、前職で新卒1年目の時に「社長を囲む会」的な飲みの場に参加した時のこと。私は新人の頃、本当に何も出来ないダメ社員だった。
「社長とメンバーがフラットに話せる飲み会」という事前の触れ込みは体裁だけだろうとは思っていたが、予想通り社長から日頃の業務についてこっぴどく叱られるという公開処刑の場となった。言われていることはごもっともなのでその場でひどく落ち込み黙り込んでいたのだが、私のそのリアクションを面白がった社長が「お前、自殺するなら会社の寮以外の迷惑の掛からん場所でやれよw」と笑いながら言ってきた(そして周囲の人達も笑っていた)ことを今でも忘れることができていない。
それから私はいわゆる「偉い人」が苦手になって、そういう人を前にした時、「しなくていい緊張」をしたり、少しでも詰められると頭が真っ白になるタイプの人間になった。暴言を吐かれたのはもうだいぶ過去のことだし、今後関わることのない人の話なので今更気にしてもしょうがないのだが。


そういう経緯もあり、入社翌日に勉強も兼ねて社長のチームのアシスタント業務に就くと聞いた時、かなり身構えた。
「偉い人」であり、しかも面接の時にかなりそっけない印象だった社長である。そして私は前職のドライな態度や雰囲気に耐えられなくて心を病んで休職している。
また同じことを繰り返したくない。会社規模的にも、いずれは日常的に社長と関わることになるものの、できればもっと心の準備が出来てから臨みたいと思っていた。


が、社長も私に業界の知識や経験がないことを踏まえた上で、(業務上の指摘はきちんと受けるものの)こちらの疑問に対してとても深掘りして教えてくれたり、おそらく業界では知ってて当然レベルの単語の意味なども、蘊蓄を含めてしっかりと説明してくれる。ミーティング内の報告でこちらが多少言葉に詰まったりしても前職の人達のようにイライラを態度に出したりしない。


先日エレベーターで社長と2人きりになった時のこと。天気の話題くらいしか浮かばない中で私は少し気まずい気持ちになっていたのだが、こちらが黙っていると向こうから話を振ってくれて、その後も冗談を交えながら軽く談笑した。そっけないと思っていた態度も、一度口が開くと実は結構喋り好きだった。


たったそれだけのことなのだが、私はひそかに感動していた。
少し話しただけだろと言われるかもしれないけど。ちょっと転職したからって調子に乗ってんじゃねえよと言われるかもしれないけど。


でも社長が仕事のことをきちんと教えてくれて、普通の話を普通のテンションでできるのだ。
私にとってこのことは凄く大きな事実だった。
もう、偉い人を前にして「しなくていい緊張」をしなくていいんだと思った。


転職しても、また人間関係で心を病んで休職してしまうのではないかという不安がずっと拭えなかった。まだ1ヶ月しか働いてないし、この会社に転職して正解だったと答えを出すにはあまりにも早すぎる。今後自分の能力の無さに落ち込むことがあったり、もしかしたら会社の悪い面が見えてしまったりすることもあるだろう。
でも絶対に前職よりは格段にいい環境だし、今関わっている仕事も今後関わる仕事も、ひたすら業務を回していただけの頃とは違ってとても興味を持って取り組めそうだ。


転職サイトとかでよく言われる「自分らしく働く」、という言葉を少し馬鹿にしていた節があったけど、もしかしたら今自分はそれに近いことを感じているのかもしれないと思った。(労働意欲が上がったり意識が高くなったりしているという話ではない、念のため)
これまで殺伐とした環境で働いてきて、周囲から自分はどう見られているんだろうとか、与えられた役割をきちんとこなさなければ、ということだけにしか目を向けられなかった。とにかく仕事をする上で余計な自我を出すべきではないと思っていた。だから会社の人を前にするたびに比喩ではなく息が詰まる日々を送っていた。
転職して単純に環境がリセットされただけの話かもしれないけど、少なくとも新しい会社には色んなタイプの人がいて、新入社員として入ってきた今の私を優しく受け入れてくれている。いずれ戦力となるために仕事を覚えて頑張らなければいけないのは当然なんだけど、別に変に取り繕ったりしたりせず、このままの私でいていいんだと思った。それに気づいた時にとても心が軽くなったのを感じた。転職してよかったと思った。



あの頃何考えてたっけ、と思って休職していた頃に書いた記事を読み返してたら、『周囲がどうとかではなく、何よりも私が「正しい」と思って行動することで自分の居る意味を作れる場所を見つけたい。』と書いていた。
この会社で今後もずっと同じことを思い続けられているか、それはその時になってみないと分からないけど、少なくとも今は以前よりだいぶ前向きに生きていけそうです。
昨年東京に戻ってきて以来、ようやく土日もちゃんと遊べそうな体調になってきたので、お友達の皆さんいろいろ誘ってくださるととても嬉しいです。5年ぶりにDJも復活したいな。バドミントンもますます楽しむぞ。檸檬堂もまた飲もうね。



とりあえず前職の会社は早く退職金支払ってくださいお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?