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映画「バビロン」は裏「ラ・ラ・ランド」だった❗️
狂騒と恍惚のハリウッド絢爛絵巻に酔う。

公開初日IMAXで鑑賞した。

ゴールデンエイジと呼ばれる1920年代ハリウッド創世記。サイレントからトーキーの移行期を舞台にディミアンチャゼル監督は「映画とは何か」を突きつける。

人はなぜ映画に取り憑かれるのか。 

人はなぜ映画に熱狂するのか。

その答えは3時間この映画を体験すればわかる。

「バビロン」映画レビュー
映画「バビロン」は裏「ラ・ラ・ランド」だった❗️
狂騒と恍惚のハリウッド絢爛絵巻に酔う。

ゴージャスでセンセーショナルな映像の洪水に呑まれる狂気のジェットコースターに乗せられて酒池肉林!猥雑!狂騒!恍惚!乱痴気パーティの長回し絢爛絵巻に酔う。ただ映像の奔流に呑まれるだけでいい。

でもパーティは永遠ではない。いつか終わる。その虚しさよ。それなのに、宴が終わってもなぜかジャズのパーカッションが耳にこびりついて離れない。終わりなきビートが今も脳内に響く。

マーゴット・ロビーが弾けまくって突き抜けている。破天荒で破滅的な圧巻の芝居に目が離せない。

ブラッド・ピットは面白い映画によく出るが、本当に作品を見る目が凄いと思う。レザージャケットを羽織り、サングラスをかけたスターのかっこよさと、トーキー到来に翻弄された悲哀の深さの振り幅が心を揺さぶる。栄枯盛衰は世の常。諸行無常の世の中で、永遠に続くものなど何もない。

それとトビー・マグワイアの怪演も凄かった。

報われないラブストーリーでもあり、儚い夢追い人の天国と悪夢と残酷な末路をこれでもかと描き、喜劇と悲劇が交互に入れ替わり畳み掛ける裏『ラ・ラ・ランド』とも言えるが、私は『ラ・ラ・ランド』のロマンティシズムに軍配を上げる。

ちなみに本作では『雨に唄えば』が象徴的に引用されているけど、『ラ・ラ・ランド』でもセブが電燈につかまりながら、ぐるっと回るシーンでオマージュしていた。チャゼル監督にとって大切な作品なのだろう。

蛮勇と野心に満ちた亡き映画人たちも今やこの世には誰もいない。そんな亡き映画人への鎮魂歌でもあり、映画に取り憑かれた人間たちの果てなき夢と欲望の愚かさと儚さになぜか涙が溢れ出す。

映画史を丸ごと放射するクライマックスは「2001年宇宙の旅」×「ニューシネマパラダイス」といったまるで死ぬ前の走馬灯の景色のよう。

ディミアン・チャゼル監督の狂気が迸る鮮烈な映像とサウンド描いた極上エンタテインメントなので劇場で是非見てほしい。

個人的にも私はこの映画を見て良かった。

映画と自分の取りたい距離感もわかった。

ハリウッドで夢と恋に溺れたメキシコ人の彼が最後に見た景色とあの表情が全てだ。

私は10年以上映画人として生きて、この映画の100分の1にも及ばないが映画の世界の華やかさとマジックを体験した日々を思い出していた。

「長く続く大きなものの一部になりたい」とメキシコ人の彼は映画の世界で生きるロマンを語ったが私もあの時、本気でそう思っていた。

でも今は夜明けまで映画を撮るより
早く家族のもとに帰りたい。

そんな、映画人ではなく普通人の自分をこの映画を見て改めて再認識した。

PARTY IS OVER

映画が終わり、人生が始まる。

そんな気がした。

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