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小説

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#私の作品紹介

[小説] あんたブスだね

 「あんたブスだね」  レミーは口をぽかんと開けてそう言った相手を見つめた。  「でも私は…

丸膝玲吾
6時間前
1

[小説] 転校生の田中くん

 「今日から転校してきた田中くんです。みなさん仲良くしてあげましょう!」  担任に連れら…

丸膝玲吾
2日前
10

[小説] ショパンと告白

「付き合ってください」 差し伸べられた手を見てジューンは一瞬思案してそばにあった木を指差…

丸膝玲吾
2日前
6

[小説] ダンボールの家

 お尻から喉から血が出るわ出るわ。脛は痛いし目は霞むし。頭は働かなくて、目が合った女性が…

丸膝玲吾
5日前
9

[小説] 嘘つき小倉くん

 「下らないね、そんなの」  小倉くんはサイダーの缶を開けて一気に喉に流し込んだ。小倉く…

丸膝玲吾
9日前
8

[短編] 素敵な海岸

渚に立った。白砂青松の圧倒的な美しさに、私は息を呑んだ。ここは街から外れた、大きな岩に囲…

丸膝玲吾
2か月前
8

[短編小説] 藤倉教授

「言葉の応用」初回の授業、藤倉教授が講義室に入ってくる。中肉中背、眼鏡をかけていて髪は短い。大半の人がそうであるように、彼がいるだけで場が華やかになる、ということはなく、学生たちは談笑を続けていた。チャイムがなり、藤倉教授が教壇に立って口を開く。 「君たちは学生である前に大人です。大人とは自分自身で責任を負う人たち、彼らのことを指します。あなたたちに少年法は適用されないし、契約も保護者の同意なくすることができます。あなたちの行動、人生の責任は自分たちで持つことが要求されるので

[短編小説] 不死身人間

私が不死身であるという噂がたった。その噂の発生元は私ではない。いつの間にか青い空を灰色の…

丸膝玲吾
3か月前
6

[短編小説] ひどいじゃないか!

 階段を上がる。心臓がドクンドクンと波打つ。この鼓動の原因は最近の運動不足と、もう一つ、…

丸膝玲吾
3か月前
6

[小説] 金魚と夏祭り

 私のポケットの中には金魚がいる。  それは小学校四年の夏休みのこと。近所の仲の良い子た…

丸膝玲吾
5か月前
7

[短編] 卵が割れた

手が滑って床に卵が落ち、割れた。割れた卵のかけら、一つ一つに名前をつけた。一番大きいのを…

丸膝玲吾
5か月前
11

[短編] 結婚

祖母の見舞いに行った。母親の話ではそう長くはないらしい。病室には特有の諦めと、死を受け入…

丸膝玲吾
5か月前
10

[短編] 断層

暗記をしている。理解には程遠い行為を繰り返している。理解とは、地中に水が染みていくように…

丸膝玲吾
5か月前
6

[短編] きっかけ

引き金を引いた途端、立ち現れた。最初に目にしたのは、冬の枯れ木のように貧相で、薄い皮膚の下に青い血が通っている腕だった。手のひらがこちらに向けられ、指を開いて私に差し出された。その時、私は苛立っていた。学習を放棄したこと、親を裏切ったこと、裏切った親に私が子供であることを植え付けたこと。私は私自身に激しい怒りを感じていた。青白い小枝のような手を見た時、私は、誰がそっちに行くか、と手の甲で差し伸べられた手を祓い、その場を去っていった。私はこの時の選択を後悔していなし、むしろ自分