[短編] 断層

暗記をしている。理解には程遠い行為を繰り返している。理解とは、地中に水が染みていくように、頬に皺が刻まれていくように、葉が茂り枯れて土に還るように、時間の親友であり共同体である。私は彼らを無理やり引っ剥がして、結果を網膜に映し、それを口で読んでいる。叶うならば、覗いてみたい。幾つもの死体が折り重なってできた、万華鏡のような断層を。まずはホームセンターでスコップを買おう。いや、手でいいか。


この記事が参加している募集

#私の作品紹介

97,883件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?