[短編] きっかけ

引き金を引いた途端、立ち現れた。最初に目にしたのは、冬の枯れ木のように貧相で、薄い皮膚の下に青い血が通っている腕だった。手のひらがこちらに向けられ、指を開いて私に差し出された。その時、私は苛立っていた。学習を放棄したこと、親を裏切ったこと、裏切った親に私が子供であることを植え付けたこと。私は私自身に激しい怒りを感じていた。青白い小枝のような手を見た時、私は、誰がそっちに行くか、と手の甲で差し伸べられた手を祓い、その場を去っていった。私はこの時の選択を後悔していなし、むしろ自分自身のことを誇らしく思う。今まで生きてきた自分を肯定するために、今日を生きようと思う。

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