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心理的安全性 最強の教科書 - 簡易書籍レビュー

書籍 Advent Calendar 2023

書籍タイトル:
心理的安全性 最強の教科書

著者:
ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

ジャンル:
社会心理学

出版年:
2023/3/17
東洋経済新報社

要約:
エイミー・エドモンドソン氏が提唱した心理的安全性の説明から始まり、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏が考える心理的安全性も加えて説明されている書籍。
「心理的安全な状態とは、ぬるいフワフワ職場ではなく、自分の意見を率直に言うことできたり、反対意見が活発に議論されるなど、リスクにならない状態を指している」など、基本も抑えられている。
継続的に心理的安全性を担保するための考え方や、メンバーとの接し方など実践方法が紹介されている。
また、日本企業で間違って解釈され、おかしな事になっている部分も指摘されている。
社会心理学の本なので、職場だけではなく、ネット社会にも存在するアンコンシャスバイアスなど、心理的な部分についても説明されている。

良かった点:

  • 歪曲しそうな言葉の定義についてもきちんと説明されている。

  • 説明が問題定義から行なっており丁寧な解説。本の分厚さに納得の内容だった。

  • ベースとなる提唱と共に、自分の考えを上手説明した内容になっている。

  • 心理的安全性を高めるためには、自分起点ではなく、相手起点で考えて、行動する必要がある。

  • 「なぜ」を多用しないなど、無意識に相手にプレッシャーを与えそうな部分の説明が記載されている。

  • 日本企業で謝って解釈や行動されている部分が説明されている。表面的な優しさだけだと自己防衛的な対応、つまり忖度しか生まれない。日本企業では忖度が求められる職場が多い。

良くない点:

  • 心理的安全性の性質上、マネージャーとしての視点で書かれている。

  • ポジション(立場)によって書かれているため文章量が長い。

  • 文章量と説明が長すぎて、読み手によって誤解を与えかねない。

おすすめ読者:
ほぼ全ての組織で働く人、特に上司やリーダーなどの上役。エイミー・エドモンドソン氏の提唱する心理的安全性を理解しているのであれば直良。

総評:
336ページ定義と解説が書いてり、長いが読み応えがある。
基となる提唱を理解した上で、さらにどうしたらいいか?どう考えたら良いかが解説されていて非常に良かった。
著者が外国人にも関わらず、日本企業に見られる、表面的な対応が実際にはよくない組織風土になっている部分に着眼しているのも面白かった。

引用フレーズ:

  • 万能の特効薬はない

  • お互いに良いねとしか言わない職場は心理的安全性が低い恐れがあるので要注意!

  • 心理的安全性のベースとなる信頼関係の構築は、マネージャーのほんの少しの歩み寄りから始まります。

  • 人は環境の中に生きている

あくまで個人的感想:
「心理的安全性」関係の本では内容が濃く、読み応えがありました。2023年読んだ本の中で一番良かったです。
エイミー・エドモンドソン氏が提唱した心理的安全性と共に、著者の解釈が解説されており、率直にとてても良い内容だと感じます。
特に日本企業や日本人にありそうな、本質的ではない優しさが招く問題を説明しているのは、正鵠を射ており興味深かったです。
この書籍でも書かれている通り、物を見る時のフィルターやアンコンシャスバイアスについての説明を見て、リーダーや管理者は、最低限心理学や精神医学などを押さえている必要があると改めて感じました。

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