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青いいのちの詩(折原みと著)


世界でいちばん遠い島。
東京から約千キロ。
小麦色の肌の女の子。
小笠原諸島。
父島。
母島。

実は、ひとに紹介したい本を思い浮かべたとき、「青いいのちの詩」というタイトルを思い出せなかった。
幼い頃、確かに感動して記憶に残っているのに、それは散り散りになって埋もれているのだ。本来あるべき場所の本棚に、ちゃんと片付けられないように。すぐ読むだろうからと枕元やテーブルに置きっ放しにして、どんどん積みあがってみえなくなってしまうように。
さぁ、思い出せ。私はちゃんと知っているんだ。タイトルも内容もろくに覚えていないのになぜ一発目にこの本だ。だけど、覚えてないけど忘れられなかったんだ。ふと、急に、断片的に思い出すんだ。小笠原諸島を舞台にした、海の話。小麦色の肌の女の子。強烈に残っているのが、この女の子の描写だ。小麦色の肌の、女の子。そして、一体化したような青い空と海の表紙。

世界でいちばん遠い島。
東京から約千キロ。

ずっと記憶にこびりついているのがこの一文と、情報だった。当時は島なのに都会の東京、という驚きがあって、だけど千キロの距離にぴんとこなかったりして、世界でいちばん遠い島、というのは、物理的にということじゃないのはわかっていた。そうだ。きっとタイトルは「世界でいちばん遠い島」だ。そうして記憶を辿りながらアマゾンで探索した。全然ちがった。でもサブタイトル的なものだったから、ニアミス。

正しくは、「青いいのちの詩ー世界でいちばん遠い島」だ。

レビューじゃないので内容については書かない。そもそもあまり覚えていないわけだし、タイトルを思い出すくだりを書いたら満足してしまった。誰かに読んでほしいけど、大半は自分を満たすために書いている。私の思い出の一冊。

覚えていなくても心には残っているものだ。
覚えていなくても、ふとした一文が蘇るものだ。
その一文に今でもじんと込みあげてくる感情があって、あのとき本を読んで感じた気持ちが、確かに存在していたんだと教えてくれる。
胸が熱くなった瞬間は、忘れない。ずっと。




青いいのちの詩ー世界でいちばん遠い島
△折原みと著
△ポプラ社
△児童文学

不登校児のユウは、親元をはなれて、小笠原という南の島で暮らすことになった。大きな海や自然が、ユウに教えてくれたのは……。(ポプラ社HPより)


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