午後ティーは、なぜスベったか(就活生とHRはこの炎上から何を学ぶ?)
午後ティーのPRツイートが炎上してしまった。
ご存知の方も多いと思う。まとめると。
・公式Twitterで女性の「実は痛い行動」をイラスト付きでツイート。
・女芸人の女性ディス芸みたいな感じになるはずが、女性ディスになってしまった。
・結果、投稿を削除し、謝罪。一部では不買運動にまで発展。
スベった理由は超シンプル
組織と人が、外気に触れることをサボり続けたからだと思う。
なんか変わらないといけないという危機感は伝わった。時代の流れに乗りたいのも伝わった。が、努力賞だけでは世の共感は得られなかった。
もう一度問う、なぜスベったか?
今までの自分がどう見られていて、どう変わればどうなるかのイメージがズレちゃったからなんだ。
例えば、学校のクラスで昨日までずっとまじめなやつがいきなりふざけたらどうなるか?自虐ならまだいい。が、無謀にも他者をイジる高難度な笑いを取りにいってしまったら。
何が起こるか?
クラスメートはおどろき、「わ、無理してるわー。」「つーか、笑いとるなら最初は自虐でボケろよ、センスないのに他のやつイジってツッコむなよ。」「完全巻き込み事故じゃん、かわいそー。」
となる。
超シンプル。
実は、テレビにも同じことが言えると思っている。
今日、妻が街頭インタビューを受けたらしい。
「旦那さんに対する不満はないか?」
妻は自然に思ったらしい。不満は当然ある。が、しかしだ。そもそも何でお前に教えないとあかんねん。てかまずお前誰やねんと。さらには何で誰が見るかわからん電波で愚痴たれてるとこ晒されなあかんねんと。
とはいえ、こんなの言えるタイプじゃないので、丁重に断り続けたが、しまいには「絵になるキレイな人の不満をとってこいと言われてるんです!お願いします!」と執拗に嘆願されたらしい。
完全なる巻き込み事故だ。
つか、誰が見たいのこれ。
これも、根本の原因は、発信者が視聴者との対話を数十年怠ってきたから。つまり、外気に触れるのをサボり続けたからだと思う。不倫とか離婚とかセックススキャンダルとかはやってるから、のっかっといたらどうせ見るやろと。
見ねーよ。
身内しか価値をおいていない視聴率という謎の数字の呪縛から抜け出せず、視聴者との対話をサボり続けた。否定されても、この笑いが理解出来ない視聴者が悪いと、どこかで思ってたんじゃないだろうか。
象徴的なヤバイ言葉がある。
テレビでよく聞く「素人さんなんだから!」「一般の方にそれ求めちゃかわいそうでしょ」という言葉はヤバイ。まじでヤバイ。だって、前提になってるけど、自分たちは何をもって「玄人さん」で「特別な方」なのか。そこに違和感を感じていない時点で、もうだいぶヤバイ。
結果、スベったコンテンツが増え、視聴者はテレビ番組に愛想を尽かし、ネットフリックスやスマホ上のコンテンツに時間の消費先を変えた。そっぽを向いちゃった。
そっぽを向かれた後、どうなるか? ここからは現在進行形の事象かつ予言だ。
広告費はどんどん減る→制作費もどんどん減る→金に依存した結果、少ない予算ではおもしろいコンテンツを作れない→視聴者が減る→広告費が減る
このループの先にあるのは、、
もう、言いたくはない。
本題、HR部門は、就活生の方は大丈夫だろうか
当然、僕はHR(人材領域)に懸けてる人間なので、HRで同じスベり事故が生まれないかを危惧している。
HR部門は外気に触れているか?
HRパーソンは外気に触れているか?
これまで、外(社内外)と対話をしてきたか?
・・・
スベる予兆はある。
特に、採用においては最近、「〇〇採用!」という奇をてらった採用のキャンペーンが増えてきた。
変わろうとすることは、いいと思う。
ただ、冷静に見て欲しい。それは自社のキャラ、築いてきたブランドとあっているか?今と過去はストーリーでつながっているか?延長線上のストーリーは見えているか?
わかんないけど、正直、すごく怖いんだ。
こちらについては、以前のnoteで書いた。
学生の方も。スベった結果、就活がうまくいかずに苦しんでいないか。
説教臭いけど、どうかおっさんの戯言をあと少し聞いて欲しい。
君は自分のことをわかってあげているか?
ちゃんと、「自分が当たり前にできてる得意なこと」を長所だといっているか?
もともと苦手なのに、努力の結果やっと人並みになったことを長所と言ってしまっていないか?
自分を少しでも大きく見せたいのは痛いほどわかる。僕もそうだったし今でもそうだ。でも仕事を始めてから求められるのは、「マイナスからゼロにできたこと」じゃなくて、「もともと100だったこと」だ。結果が求められるプロの世界では、努力賞はあくまで救済措置だ。
もともとの100を1,000にして尖ったほうが、結果も出るし、楽しい。楽しいから結果がでる。好循環が生まれる。
0は、、埋もれる。
でも、やっかいで、君の持っている「100だったこと」は意外と隠れてる。自分は当たり前だと思ってることで、実は自分にしかできないことは、意外と忘れてる。自分が一番知らなかったりする。
どうすれば自分の当たり前の100を知れるか?
とにかく対話して欲しい。
友人でも、親でも、先生でも、昨日会った人でも、できるだけたくさんの人と腹割って話して、「言うの恥ずかしいけど、お前実はここ天才だよね、真似できねーわ」と一番多く言われたことに対して胸を張って欲しい。きっとそれが、あなたが天から与えられた才だから。
そして、そのあなただけの才能でどう輝いてきたか、その才能をどう輝かせたいかを伝えて欲しい。
これ、すごく大事なんだけど、ここに一番遠い人たちがいる。「あいつとは価値観が違う」「ロールモデルがいない」が口癖の人だ。最近多い。ちょっとした違いで他者を見切り、遠ざけ、腐敗への道まっしぐら。同質で傷を舐めあい、モノカルチャーの中で腐っていく。
つまり、外気に触れなくなってしまう人だ。
ロールモデルなんて存在しないよ。こんだけ多様化した時代に完璧に一致する正解なんてもうない。自分でかき集めてつくるしかないんだよ。
そして、その渇きは癒えない。狂ったようにアイデンティティを探し続け、死と隣り合わせ。延命の為に、しまいには違いを陰から攻撃する。群れる。
そして、たいてい「じゃああなたの価値観って、ロールモデルってなんなのさ」という問いについて答えられない。フィーリング?とかいってしまう。
いつか、凝り固まった自分に気づいて、変わんないといけないという焦りがでたときに、今回のように、盛大にゲロスベりしちゃうと思うんだよな。もったいないよ。絶対もったいない。
まとめ
個人も、組織も聴いて欲しい。
冒頭から偉そうに本当に申し訳ない。そもそもまずお前誰やねんと。
僕はHRの人間だ。お茶もテレビも笑いもわからん。
HRしかわからん。
でも言う。
キャラじゃないギャグは、スベるし悲劇を生む。仮にマグレあたりしても、ストーリーがブランドと一回ずれると、一発屋への片道切符だ。オーディション(面接)でだけウケるギャグに普遍的な価値はない。
きっと、ずっと売れ続けている芸人は、自分がどう見られていてどう変化すれば笑い(価値)を生み続けられるかがわかっている。これは結局のところは「どれだけメタ認知できているか」なんだと思う。
繰り返しになるけど、奇をてらうこと自体に対しては反対じゃない。変わろうと努力してるから。ただ、自分を知らずに場当たり的にやった奇策はだいたいスベる。
結局、なにが言いたいか
勇気を出して、自己を知り、相手を知り、自分は何者で、何者に映っているのかを、慣れるまですごくしんどいかもだけど、どうか、たくさんの「違い」を受容して、たくさんの「他」と対話して、見つけて欲しいのだ。
恐いと思う。でも今からでもぜんぜん遅くない。むしろ早い。
外気に触れてくれ。
違いを受け入れ、楽しんでくれ。
対話をしてみてくれ。
そして、自分を知ってくれ。
年食ってから、ゲロスベりしないように。
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キャリアや組織、採用、教育について、いろいろ書いてます。ご興味ある方は是非御覧ください。
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