見出し画像

Autify創業エンジニアが語る「どうやってユーザーが欲しいモノを見つけるのか?(PMF)」ガオトークvol5開催レポート

起業家エンジニアの生々しいトークが聞けちゃうガオトーク第5回目はなんと、な、な、な、なんと! アメリカのトップアクセラレーター Alchemist に初の日本人チームであるAIを用いたソフトウェアテストの自動化プラットフォーム「Autify」創業エンジニアのSamさんにご登壇いただきました。

ガオトークのコンセプトは「創業期の0→1を経験し、サービスグロースにも関わってきていたエンジニアの方を毎回お招きして、サービスの紹介と創業期の振り返り(どういうことをしていたか、大事だと思う点、反省点など)を語ってもらうトークライブイベント」です。そういった話を聞く機会って実はほとんどなく、既にそのような環境で成功されている方に特別ゲストとして創業期の振り返りトークをしていただいております。

今回のお話のタイトルは「どうやってユーザーが欲しいモノを見つけるのか?(PMF)」です。

Samさんの自己紹介

画像1

SamさんはAutifyの開発の仕事以外にも個人でプロダクト開発やOSS活動も積極的に行っており、中でもPR Triage は多くの著名サービスに利用されています。

Autifyとは

AutifyはAIでE2Eテストを自動化するサービスです。アメリカのトップアクセラレーター Alchemist に参画し生み出したプロダクトで、去年2019年10月に正式ローンチしました。

画像2

US TechCrunchにも掲載があり、既に多くのお客様がついているそうです。マニュアルでテストを行っている企業様は導入をご検討されてみたらいかがでしょうか?

スタートアップの9割が失敗する

ほとんどのスタートアップは失敗するという統計データが得られています。

画像3

この数値は大袈裟ではと思うかもしれないですが、実際にSamさんで過去失敗経験もしており、ご自身でこの数値感を体感していると語ります。Samさんはグローバルに影響力のあるプロダクトを作りたい気持ちが強く、失敗を通じてもチャレンジをし続け、現在のAutifyの事業に行き着いています。

なぜスタートアップは失敗するのか

画像4

スタートアップの失敗の理由の3割以上がPMFつまりプロダクトマーケットフィットの欠如であると知られています。

画像5

「PMFしないとスタートアップはうまくいかない」このようなフレーズはよく本などで出てくる話かと思います。ただしこれだけの説明では、PMFが何かよくわからない状態なので、何とも実感が湧かない印象になりがちです。多くの起業家は「PMFは大事と伝え聞いて理解しているものの、実現できない」のです。

ではPMFとは何なのか、そして、どのようにすれば実現できるのでしょうか。

起業家の陥りがちなミス = 「こんなものがあったら良いな」を作ること

起業家が陥りがちな致命的なミスは「こんなものがあったら良いな」というアイデアに縛られてしまうことです。

画像6

画像7

USのトップVCであるYコンビネーターによる解説では「Make something= 何かモノを作る」のではなく、より重要なことは「Make something people want=顧客が求めている何かを作ること」と説明されています。

PMFとは

Samさんの解釈するPMFの定義は「正しい顧客に正しいバリューを届けている状態であること」と説明されています。

画像21

この正しい顧客に正しいバリューを届けるためのPMFはどのように実現すれば良いのでしょうか?

仮説を立てて検証するフローチャート

正しい価値のデリバリーを検証するためには、「仮説を立てて、検証ができたかどうかを確認するサイクルを回すこと」です。検証ができていなければ再度仮説を立てて検証する。これらをユーザーインタビューなどのヒアリングを通じて行うプロセスが大事で、モノを作ることから始まってはいけません。

画像8

プロトタイプを作って顧客を獲得してから評価する方法でも、おそらくC向けのビジネスであればアプローチとしては良いと考えられます。一方B向けのプロダクトである場合、本当に顧客が望んでいるモノであればプロダクトがない状態(紙芝居のような状態)でもサービスを売ることができます。

仮説検証手順1: 「誰」の何の問題をどう解決するのか?

PMFでは「誰の何の問題をどう解決するのか」を考える必要があります。まずは「誰」に着目しましょう。

画像9

画像10

できる限り対象となる顧客は具体的に考えることが重要です。例えば「エンジニアを対象」だけではかなり曖昧で、そのエンジニアの方は社内でどんなポジションなのか、などできる限り細かくしていくのがオススメです。

仮説検証手順2: 誰の「何の問題」をどう解決するのか?

誰のためのものかを定めたら、次に「何の問題」を対象とするかを掘り下げていきます。

画像11

画像12

Autifyが解こうとしている問題の仮説は、「品質を担保する時間がなく、担当者を雇うのも難しい、と考えている企業の問題」を対象としています。こ製品にバグが含まれている状態でリリースすることは実際に金銭的な損失を伴ったりと、起こってしまうとまずいという状況に置かれている企業様の問題に着目しています。

顧客自身がペインを知っているわけでは無い

興味深いのは、企業の製品のQAに関する問題点をヒアリングしても、顧客自身が問題であると認識していないケースが多いです。したがって、ヒアリングを通じて、起業家側から顧客の問題を見つけることを深掘りしていく必要があります。

画像13

まれにお客さんが「こんなツールがあったら良いなぁ」と話されることもあると思います。それは愚直に作って提供したとしても実は買ってくれないという事実があります。

面白い事例を紹介します。

画像15

車のフォード社の創立者ヘンリーフォードを想定したスティーブジョブスのセリフです。顧客は何が欲しいかと聞かれたときに「速い馬車が欲しい」と答えるだろう、という話がありました。

これは、通常の顧客は現状の延長線上のアイデアで物事を考えてしまうからです。

重要なことはWhy(なぜ)を聞くこと

この早い馬車の例では、もう少し掘り下げてみると、彼らが実際に求めているものは、早く移動したいということであることがわかります。

早く移動したい(現状早く移動できない)という問題を解決するには馬車でなくても良いのです。顧客の求めるソリューションをそのまま鵜呑みにする必要はないが、Why(なぜ)を通じて根本の問題を探るためにヒアリングを行うことが大事です。

仮説検証手順3: 誰の何の問題を「どう解決するのか?」

画像14

解決方法の決定については実はその解決策をプロダクトとして完成させている状態でなくても構いません。実はFigmaなどで作ったようなモックで十分なのです。

本当に正しい課題を見つけられていれば、解決しないといけない顧客にとってはシステムとして動作しないモックであっても今すぐ欲しいという状態になります。

画像16

何か説明やデモをしたときに顧客の声が「いいねぇ」という反応程度である場合、それは購買検討の顧客には響いていないと言えるでしょう。

実はSamさん自身Autfiyを作る前に、お客さんが「いいねぇ」と言ったモノを実際にコードを結構書き実装しデモを見せた結果、買ってもらえなかったという経験をしています。

理想はプロダクトを作る前に契約を取ること

画像17

「プロトタイプを作ったのに買ってくれない」と試行錯誤していた時期にAlchemistアクセラレーターのプログラムのメンターから受けたアドバイスは「顧客は前のめりにならないと買ってくれないのは当たり前」でした。まずはプロダクトを作る前に契約を取れと指導され、Samさんのチームは再スタートを切ります。

これまで作っていたサービスを全てピボットをし、契約を取るまでプロダクトを作らないと決めて、最終的にAutifyのアイデアに着想しプロダクトがない状態で契約を取れました。

PMFしていたら絶対にわかる

画像18

PMFしたかどうかは感覚的なモノではありますが、Autifyはローンチ後に、世界中からデモリクエストが捌き切れないほど大量に届きPMFしたというのを実感した経緯があります。

PMF定量的な評価の可能性

上記で説明したメソッドはPMF実施するためのフレームワークという位置づけです。定量的にPMFを評価する場合には確実な方法は現段階では知られているわけではないですが、例えば以下Sean Ellisさんが説明されているような方法「製品を使用できなくなったらどう感じますか」という質問への「非常に失望した」という回答の量を計測することが有効であるというアイデアも知られています。

画像19

Slackユーザーへの調査の結果例は51%だったそうです。

画像20

この数値を見てどう思いますでしょうか?
世界中に利用されているSlackがこの数値であるというのは目安になると思います。

エンジニアであるSamさんとしては、このPMFの再現性と定量評価をどのように行うかという点が個人的に非常に興味を持っているポイントで今後も色々試行錯誤していきたいとのことです。

Samさんのおすすめの記事・動画・本のご紹介

・YC’s Essential Startup Advice

https://www.ycombinator.com/library/4D-yc-s-essential-startup-advice

・How to Find Product Market Fit

・How to Plan an MVP

・良い戦略、悪い戦略

Autify社は絶賛採用中!

現在はカスタマーサクセスエンジニアのポジションをメインで積極採用中のことですが、随時募集状況は変わると思いますので興味のある方は公式採用ページからご確認してみてください

・Autify採用ページ
https://autify.com/ja/careers

まとめ

いかがでしたでしょうか、PMFを再現性を高めて実現できるアプローチについての知見が多く非常に勉強になるトークイベントとなりました。ご意見などもしありましたらお気軽に @tejitak までお問い合わせお願いいたします。

これから起業する方・既に起業されている方は今回のPMFの話をご参考にしてみてください。質疑応答も多くの質問をいただき盛り上がりました、例えばエンジニア起業家こそがモノを作る能力に長けているので、作ることを優先してしまいPMFしない状態にハマってしまうのではないか(=エンジニア起業家の罠)、に関する話もありました。

後日もしかすると当日の動画をYoutubeにも配信しようと思っておりますのでもし動画掲載希望のリクエストがありましたらお知らせください!

最後に

以上。今回も質問も活発に飛び交いこれまでよりも参加者とインタラクティブに進行することができました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました!

次回はVol. 6を予定しております。

毎回登壇者として0->1とグロースを経験している素晴らしいエンジニアの方に登壇していただく予定です。できる限り月一くらいのペースで開催を進めていく予定です。次回も乞うご期待!

最後に、弊社GAOGAOではエンジニアの方、 0→1開発にお困りの方、双方募集中ですので @tejitak までお気軽にDMください!

「ガオトーク〜エンジニア起業家ライブ〜」過去レポート

・Vol1. 株式会社プレイドCTO 牧野さん
https://note.com/masumi_sugae/n/n46b9afa97263

・Vol2. note株式会社CTO 今さん
https://note.com/tejitak/n/nc03e4f45d2df

・Vol3. ストックマーク株式会社 CTO 有馬さん
https://note.com/tejitak/n/n9001313797a3

・Vol4. モノカブ株式会社 エンジニア 井上さん
https://note.com/tejitak/n/n6f1d1ff4bc29


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?