【乳がん/3年目】今思うと生きる上で大事にしたいものが変わってた

毎年、このnoteを大体今の時期に、1か月くらいだけ開く。
定期健診どうだったかと、今何を考えているかを書くためだ。

そして大体定期健診から1か月が過ぎると、自分がそういう病院に行っていた事も忘れて、日々を過ごすようになる。
ある意味有難い事でもあるのだけども。

病気になる前は、何を考えていたんだろう…とふと思った。
自分の携帯の写真を見てみる。
行ったお店や食べた食事、旅行の風景、会社の飲み会やイベント。
仕事して、夜早くて22時、大体23時か終電後にお酒入れたご飯から朝まで飲む。土日も仕事が入る事が多かったけど空いた時間で自分のやりたい事をとにかくやってあんまり家にいなかった。
一緒にいる事で自分や自分の会社だけではできない仕事や成果を出せそうな組織にいる人との時間をとにかくたくさん過ごしていた。利害関係で繋がっているだけだけど（それは向こうも一緒）

軸が全部‟自分”。

かたや「帰ってくれば？」の何気ない両親のLINEもそっけなく返し、弟の家族が生まれても、家族で何かが行事があっても、行事までいかなくてもみんなで揃って食事をする機会なんかも、全て優先順位を最も下げていた。
あって当たり前のもので、今やる必要はないと思っていたから。
時間も有限というのは頭ではわかっていたけど、今が永遠に続くような気がしてしまい、とりあえず自分が死ぬことに実感なんて微塵もなかった。

人生において求めていたものも、漠然と「誰かより優位に立ちたい」だった。
出世したい、仕事で成功したい、周りの人より抜きんでたい。
さらに病気になる２～３年前の間は、夢だったやりたかった仕事が形になり、さらに何かを成し遂げたい…が強くなっていた。

病気になって、ステージもガンの知識もない時。
ガンといえばもう死ぬとしか思ってなかったので、働いてお金もらって、好きな時に好きな事をしたり、好きな所へ行ったり…が、できなくなる。
当たりまえに何十年も生きると思っていたけど、それができなくなるかも。

…と、思った時、今まで大切にしていた‟自分軸”のものが、途端にどうでも良くなった。

薄い人間関係も、やりたい事、成し遂げたかった事も、死ぬかもとなった時、今までの時間なんだったんだろう、何かどれもすごいどうでも良かったな、と私の場合は思った。

代わりに家族、今日1日、まさに今この瞬間、家にいる事…の時間が大事だなと思った。

病気になって休職して復帰してからは、定時で家に帰って朝と夜はみんなでご飯食べる、土日の稼働は断り（どうせ立ってるだけだったんだけども）、会いたくない人や嫌な事は徹底的に日常からなくして、とにかく無理をしない…に生活に切り替わった。

1日を、今を味わって過ごし、いわゆる仕事で周りとの競争から外れ、嫌な事をしない…で3年目。
大変ストレスフリーで良い感じの生活である。
仕事も以前の私だったら「負けた」と勝手にみていただろう。

でも勝手に勝った負けたと思っていただけで、何に勝って、何に負けてたのか。

結局自分が心地良ければ良い。他と比べる事自体、勝手に自分が何かと闘って、辛くなってただけなんだなと思った。

多分これは一旦3年前に立ち止まって、自分の時間が有限である事に本当に実感を持てなければ、気付かなければ事だろう。

今を味わう。死ぬ前に後悔しないであろう、大事にしたい事と時間の過ごし方。
病気になって良い事はないが、病気になったからこそ気付けた事は、ある意味人生のターニングポイントだったと確実に言える。

この先何年生きられるか分からないし、何があるか分からない。
実は今年、全く元気で健康だったお父さんが、朝ごはん普通に食べた1時間後に出かけた先の畑で突然倒れて亡くなり、夕方16時には葬儀会社で葬儀の日取りから、火葬の日にちまで決めて、月曜日にそれが起こって木曜日には骨…みたいな事があった。

最後に会ったのは朝ごはん食べた後、コーヒー飲みながらNHKの朝ドラ見ながら笑って、そのまま自然を扱った番組見て蟹の子がわらわらいるのを見て「カニすごいな～」みたいな話をしたのが最後。
仕事があるからそのまま上に引き払ってしまい、いつの間にかいつも通り畑に出かけていたのだが、出かけた事も気付かなかった、気にしなかったくらい。

病気でじわじわ人生のカウントダウンをされるのも恐怖だが、ここまで突然にぷつっと普通が終わる事もある事を知った。

本当に人生何があるか分からない。ますます今を味わって生きなければ。
死ぬ事は生きる事と繋がっている事をしっかり忘れないように。
今日1日、普通に平穏な気持ちで過ごせて、ご飯が美味しく、家族みんなで楽しく過ごせた。もはやそれがあれば十分。
前みたいに手に届かないもの欲しがって、戦って、毎日モヤモヤしてたのも今は一切ないし、大変じゃない。

それを思い返せるのが、毎年今の時期なのだ。
そういう機会を強制的に持てるのも、ある意味人生のターニングポイントを得た。

何が起こっても結果全て、良い方に人生は向かっていくんだろうなとも最近思う。