vol.81 伝える と 伝わる【手紙の助け舟】
こんにちは。喫茶手紙寺分室の西川侑希です。
街路樹も葉をすっかりと落とし、いよいよ冬を迎えますね。
いかがお過ごしでしょうか。
きみの体は何者か
ラジオ局、文化放送の番組「武田鉄矢・今朝の三枚おろし」をご存知でしょうか。俳優、歌手など幅広く活躍されている武田鉄矢さんがテーマに添った本とトークを届ける番組です。先月、伊藤亜紗(2021年)『きみの体は何者か なぜ思い通りにならないのか?』筑摩書房、という本が取り上げられていました。
トークを聴いていて、こちらの本に興味が出たので読んでみました。
作者の伊藤亜紗さんには吃音という個性があるのですが、教授という職業柄、講義をしたり講演会をしたりと人前に出て話すことが多いそうです。そのような場合には「言いかえ」を用意しておいて、つまずきそうになった場合は「いのち」→「生命」のように言いかえで対応されているそうです。
言葉がとっさに出てくることにも感心しますが、日常のこととなると言葉のストックの多さに感服します。
より「伝わる」ために「伝える」技術を習得されていったのでしょうね。
言葉の選び方
「伝える」技術が必要なことは、誰にでも当てはまることで、本の中でハッとしたのは、以下の文章を読んだ時でした。
著者が自分の体と対話し、自分の体に起こっていることを言語化して観察するためにメタファーを使うと良いと提案をしている際の文章です。
このことは、体と向き合うためばかりではなく、より自分の気持ち・感覚を正確に伝えるために様々な視点をもって、相手に「より伝える」ためのポイントでもあるのではないかと思うのです。
言葉は難しいもので、似たような意味の言葉でもタイミングや相手によって「伝わり方」は異なるものです。相手と同じ角度で物事をとらえ、同じ感覚でいられたら幸せですが、現実はそうではないですよね。
「伝える」は一方的に内容を伝達することで、「伝わる」は双方向のコミュニケーション。
なかなか「伝わらない」と感じるときは、もしかしたら相手は違う角度から見ているため、表現がしっくりきていない状態なのかもしれません。
そんなときは、言いかえ、メタファーを使って違う表現で伝えてみるのも方法のひとつではないでしょうか。
言いかえによって新しい表現方法を知ることもできますし、言いかえの単語に触発されて考えがまとまる、広がるなんていうこともあるかもしれませんね。
新しい言葉に出会って、みなさんの人生がより輝くことを願って。
それではまた。
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