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vol.72 手紙を学ぶきっかけ【手紙の助け舟】

こんにちは。喫茶手紙寺分室の西川侑希です。
一気に秋がやってきました。朝晩は肌寒く感じる日もありますね。
体調を崩さないよう、ゆったりと過ごしたいですね。

手紙を書くきっかけ

今さらながらですが、あらためて、私と手紙について書きたいと思います。私は「手紙の書き方コンサルタント(※)」として手紙についての講座をしたり、アドバイスをする仕事をしています。
知り合った方に「手紙を仕事にしている」と伝えると、「きれいな字なのですね」や「子供の頃から好きなのですか」というコメントをいただくのですが、まったくそのようなことはなく、恐縮してしまうことが多いです。
文字については今は幾分マシになったほうで、小学生時代の習字の時間にはハナマルをもらっている友人がいる中、最高で二重丸しかもらったことがなく、ずっとコンプレックスを感じていました。
長年、文具には興味があり筆記具には情熱を注いできましたが、手紙にはほとんど縁がなく、よく書くようになったのは社会人になってからなのです。

(※)「手紙の書き方コンサルタント」は一般社団法人手紙文化振興協会の認定資格です

手紙を書くようになって変わったこと

社会人になってすぐ、広告代理店で営業職として勤務していたときに手紙を書き始めました。
具体的に決められた製品・サービスを売ることがなかったため、仕事を進めるためには信頼関係を築く必要がありました。これは広告業に限ったことではないと思いますが、当時の私にとっては大きな悩みでした。
取引先の担当者は全員10歳以上も歳の離れた方たちばかり。知識も経験も到底敵わないのです。悩んでいたある日、ある文具メーカーの「手紙」に関する広告が目に留まり、そこには手紙のあたたかさが記されていました。「私も手紙を書いたらよいのではないか」と思い至り、すぐに手紙の勉強を始めました。
最初の頃は、
「字がヘタだから笑われないかな」
「言葉の使い方を間違ってしまった」
「こんな時はどう表現すれば…」
など散々悩み、ハガキを1枚書くのに
文章の下書き→レイアウトの下書き→鉛筆書き→なぞり書き
と4回も書いていました。
失敗もたくさんしましたが、熱意だけは伝わったのか、取引先の方からよく連絡をもらえるようになり、会うときにはみなさんに手紙のお礼や励ましの言葉をかけていただきました。すぐには仕事に繋がらなくても、覚えていてくださり、数か月たってから連絡をいただいたこともありました。
手紙を書くことで最も変わったことは、私自身の気持ちでした。「先日はありがとうございました」「お変わりありませんか」だけの短いひと言でも、手紙を送ることでゆるく繋がることができていたので、精神的に余裕が生まれたように思います。

手紙を書くことは、面倒だったり不安に感じたりするかもしれません。しかし、その「面倒」「不安」を相手も理解しているからこそ、相手から自分の見方を変えることができたり、気持ちを動かせるのかもしれませんね。

古くて新しいコミュニケーションツール「手紙」に目を向けていただけたらと思います。

それでは、また来月お会いしましょう。
季節の変わり目、ご自愛ください。

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西川 侑希(にしかわ・ゆき)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
愛知県名古屋市生れの名古屋市育ち。広告代理店で営業職として勤務したのち、メーカーで商品企画と広報を担当。「文具店が開ける」と言われるほどの文具マニア。
1年間で手紙を書く枚数は500通以上。最近は読書と釣りが趣味。
Instagram  https://www.instagram.com/yuki__nishikawa/


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