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「告白」湊かなえを読み終えた大学生


何行目か読み始めて何の話か分からないけどただならぬ不穏な空気があった。

第一章目で物語の山を越えた。

息が上がり、不思議な気持ちになった。

まだ150ページもあるのにある担任によって、

とある事故の真相が告白された。

僕は困惑した。

それもそのはず物語の主人公と思われる担任が辞職し去っていった。

皮肉な置き土産を残して…


読み始めて2日目読書習慣もないこの僕が約270ページの本を読み終えた。    

一言でいうと完全犯罪。

物語全てを総括して言うと失敗でしかない。      

事件の概要はいたって単純なのだが

犯罪を犯した少年二人の深層心理は信じられないほど奥行きがあり

読者としてその底なし沼に沈んでいくことしかできない劣等感と安心感が錯綜していた。                      

明かされていく真実と並行してあらわになる血生臭い人間の心象。

僕らの常軌を越した事件なのに引き起こされた背景、動機などは僕らにも身近なものであり

決して珍しくはなかったということに気づかされた僕は軽く震えていた。

丁寧に重ね完成した事件の全体像は近くから見ようが遠くから見ようが狂気じみていてどこか見覚えのあるようなそんな感じがした。

決まった主人公というものが実はいなかったというのも驚きだ。

それぞれの登場人物の思惑、願い、絶望、勘違いが確立されていてこの意味ではだれもが主人公であると思った。
                                      歪み切った世界観の中で美しく花を咲かせようとする人々は

互いに絡み合いしまいに首を絞めあい、彼らの望む着地地点へと堕ちていく。                   

その姿は人間味があふれ、ひどく滑稽である。                

手掛かりは読み進めるごとに拾い上げられ丁寧に並べあげられる。 

完成した未完成のパズルは計り知れない幸福と絶望を与えてくれたのだった

            

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