マガジンのカバー画像

火曜日の美術館

12
運営しているクリエイター

#美術館

「画家が見たこども展」 【小説】火曜日の美術館

「画家が見たこども展」 【小説】火曜日の美術館

 わたしの心は、はしゃぐ。
 こどもたちのいろんな表情、仕草、洋服。
 かわいい! キュート! ラブリー! 猫ちゃん!

 都心に出たのは4か月ぶりになるだろうか。久しぶりの美術展。足を運んだのは三菱一号館美術館「画家が見たこども展」。

 ナビ派の絵画が好きなわたしは、コロナ騒動の前から足を運ぶと決めていた展覧会だ。観られないまま終わると思っていた。観ることができてよかった。嬉しい。

 チケッ

もっとみる
美術館女子 【小説】火曜日の美術館

美術館女子 【小説】火曜日の美術館

 ふうん、それってわたしじゃん、と思いながらサイトを開いてみたのだけれど、ごめん、わたしじゃなかったね。

 美術館女子とわたしが聞いて、ぱっと思い浮かぶのはKIKIちゃんかな。雑誌の上では、そういう企画いくつもあったと思うんだけれどな。とはいえ、わたしが中高生くらいの頃の話だから、もう時代が違うのかもしれないな。

 小学生の頃、母に連れられてサイン会に並んだことがある。それがKIKIちゃんの『

もっとみる
詩を描く 【小説】火曜日の美術館

詩を描く 【小説】火曜日の美術館

 しばらくの沈黙。わたしは働きに出ることもできなくなって、家に篭っていた。今も絶賛休業中だ。COVID-19のせいではない。持病がずいぶんと悪化している。

 そんな状態になる前にふたつの展覧会に足を運んだ。ひとつ目はnoteで知ることができた、冬野小音さんの『詩のない詩 絵のない絵 展』。とても風の冷たい夜だったけれど、夜の吉祥寺は、今でもやっぱりわくわくする。

 ghostのうごめく様をつぶ

もっとみる
choucho 【小説】火曜日の美術館

choucho 【小説】火曜日の美術館

 もしかしたら、許されるのじゃないかと思っていた。この展示に足を運べたら、苦しむけれど、もう一度洋服を作ることに向き合えるのじゃないかと思っていた。でも、わたしの体が拒否をした。ううん、これは与えられた罰なのだ。

火曜日の美術館:choucho

 本当なら、今頃、わたしは東京都現代美術館にいるはずだった。開催中の「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展を鑑賞するために。だけれど、わたしはまだ自分

もっとみる
「永遠のソール・ライター」展 【小説】火曜日の美術館

「永遠のソール・ライター」展 【小説】火曜日の美術館

 わたしはたやすい。たやすく変化してしまう。それができる自分で、よかったのじゃないかなって思っている。心をやわらかくすること。そして新しいアイデアを試してみるのだ。

火曜日の美術館:「永遠のソール・ライター」展

 雨にうたれるのが嫌だったわけではない。機能的なレインブーツも手に入れていたし。もしかして、雪だったら出かけていたかもしれない。その時はビーンブーツを履き、ざくざくと積もった雪を踏みし

もっとみる
「ハマスホイとデンマーク絵画」展 【小説】火曜日の美術館

「ハマスホイとデンマーク絵画」展 【小説】火曜日の美術館

 その絵はもっと不穏なものが隠されているのだと思っていた。実際に観た時、それは思いのほか優しく、静かで、時折、無意識のハミングが聞こえるようだった。

火曜日の美術館:「ハマスホイとデンマーク絵画」展

 コートの襟を立て、マフラーを巻き、最寄りの駅へと向かう。耳にはAirPods。リーガルリリーの最新アルバムから先行配信されている曲を繰り返し聴いている。
 今日は風が強く、冷たい。それでも出かけ

もっとみる