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火曜日の美術館

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2020年6月の記事一覧

「画家が見たこども展」 【小説】火曜日の美術館

「画家が見たこども展」 【小説】火曜日の美術館

 わたしの心は、はしゃぐ。
 こどもたちのいろんな表情、仕草、洋服。
 かわいい! キュート! ラブリー! 猫ちゃん!

 都心に出たのは4か月ぶりになるだろうか。久しぶりの美術展。足を運んだのは三菱一号館美術館「画家が見たこども展」。

 ナビ派の絵画が好きなわたしは、コロナ騒動の前から足を運ぶと決めていた展覧会だ。観られないまま終わると思っていた。観ることができてよかった。嬉しい。

 チケッ

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美術館女子 【小説】火曜日の美術館

美術館女子 【小説】火曜日の美術館

 ふうん、それってわたしじゃん、と思いながらサイトを開いてみたのだけれど、ごめん、わたしじゃなかったね。

 美術館女子とわたしが聞いて、ぱっと思い浮かぶのはKIKIちゃんかな。雑誌の上では、そういう企画いくつもあったと思うんだけれどな。とはいえ、わたしが中高生くらいの頃の話だから、もう時代が違うのかもしれないな。

 小学生の頃、母に連れられてサイン会に並んだことがある。それがKIKIちゃんの『

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無理に覚めなくてもいい -統合失調症とわたし- 【小説】火曜日の美術館

無理に覚めなくてもいい -統合失調症とわたし- 【小説】火曜日の美術館

 昨日、半年に一度あるかないか、のような体調のよさに、つい浮かれてしまったわたしだ。午前中から振込やら引出やらの手続きを行い、午後には公園に撮影にまで出かけてしまった。

 今日は、起き上がることができず、午後になってもベッドから抜け出せずにいた。

 そして、夢を見る。
 今日の夢もまた、わたしを呑み込む。

 わたしはそこが夢の中であることを了解していた。それは珍しいことで、初めてかもしれなか

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イントロから好き 【小説】火曜日の美術館

イントロから好き 【小説】火曜日の美術館

 美術館がいよいよ稼働しようとしている今、わたしはずっと不安に絡まれて、起き上がることができないで眠っていた。

 なんども起きる夢を見る。これは本当に起きているのだろうか、と疑いながら、いつの間にか場面は夢の中で、また起きようとしている。

 夢の中に起き続けることを繰り返す。何十回と重ねる。
 まだ現実ではないと気づくたび疲弊してゆく。

 いつか夢の中に呑まれてしまうだろうと思う。
 今、言

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