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七夕だけでも夏だけでもない!素麺は季節問わず楽しめる。

まとめ

  • 平安時代、素麺は健康祈願のために七夕の行事食として食べられていた。

  • 都限定のご当地グルメから、伊勢参りを通じて、西日本を中心に、ご当地素麺が誕生した。

  • バラエティに乏しくなりがちな素麺料理、南の地域でご当地グルメが誕生しているだけではなく、料理系Youtuberによってバラエティ豊かになった。


7月7日は七夕、素麺の日

七夕は中国のおめでたい日(五節句)の一つとされています。奈良時代、宮中行事として伝わりました。平安時代には、貴族たちが本当に叶えたいことを祈るため、当時貴重な紙に願いごとを書いてお供え物と一緒に7月7日の朝に川へ流していました。健康を祈って七夕に素麺が食べられていました。

江戸時代、庶民まで七夕の風習が浸透しました。この七夕と素麺のエピソードから、素麺の認知度を上げるため、1982年、全国乾麺協同組合連合会が制定しました。

昨年、東北地方の七夕まつりの記事で、日本の七夕文化について詳しく書きましたので、ぜひ、お読みください。

夏の風物詩、素麺

2024年の七夕の記事の主人公は、素麺です。夏の暑い日、キンキンに冷やした素麺が食べたくなります。茹でた後、すぐに氷水でキンキンに冷やすことにより、つるっとしたのど越し、コシが増します。ちょうどよく水で薄めためんつゆを凍らせてから、かき氷器で削って素麺の上に乗せて食べると、シャリシャリ感とよりヒンヤリ涼しく感じられます。

素麺は、昔ながらの手延素麺と機械で作った素麺に大きくわかれます。今回は、手延素麺について取り上げます。それぞれのご当地素麺を紹介した後、公式ホームページのリンクを貼りましたので、ゆでかた、オリジナルレシピを知りたい方はご覧ください。

素麺とは?

素麺は小麦粉を塩水に練って作る麺です。小麦粉を塩水に練って作る麺は、太さによって名前が決まります。JAS規格(日本農林規格)によると、機械で作る場合、そうめんは太さ1.3mm未満、ひやむぎは太さ1.3〜1.7mm、うどんは1.7mmを超える麺と定義つけられています。手延の場合は、1.7mmを超えるものは手延うどん、1.7mm未満は手延ひやむぎ、または手延べそうめんと定義づけられています。手延べの場合は、ひやむぎとそうめんの違いが見られなくなります。ちなみに、平麺は幅4.5mm以上かつ厚さ2mm未満の麺を指します。

都から西日本を中心に広がった麺

素麺は奈良時代には作られていました。奈良県桜井市にある大神神社ゆかりの品です。大神神社の宮司の息子が小麦の種を蒔き、収穫した小麦で麺を作ったことがはじまりと言われています。

室町時代には、素麺の製法を確立しました。当初は、京都、奈良のみ作られていました。

江戸時代、伊勢参りが流行しました。伊勢神宮への旅のルートで大神神社を経由したときに、素麺に出会いました。製法を地元に伝えました。同時期に、川や水路に水車が多く設置され、小麦の製粉も発展したため、小麦粉が手に入りやすい状況でした。その結果、西日本を中心に素麺が広まり、農家の副業として発達しました。

手延素麺の製法

小麦粉に塩水を加えて練って生地を作ります。油を生地に塗り、寝かせて熟成させます。熟成した生地を細く長く引き延ばし、吊るして乾燥させます。
低温でゆっくり生地を寝かせることによって美味しくなるため、素麺は冬の食べものとされています。冬に出荷される素麺を新物といいます。

じっくり数ヶ月かけて乾燥させると、次第に水分が抜け、油が酸化し、小麦中のたんぱく質と結合して、コシ、歯ごたえが増します。高温多湿の梅雨時にはカビが生えないように、蔵の中で発酵熟成されます。梅雨を超えたものを「ひねもの」といいます。そうめんの保存期間は1〜3年です。

西日本に伝わった手延素麺

揖保乃糸

兵庫県は手延べそうめんの生産量が日本一です。揖保川流域の3市2郡(姫路市、たつの市、宍粟市、揖保郡、佐用郡)では、兵庫県手延素麺協同組合が管理することにより、品質を守っています。

揖保乃糸には7つの帯の色によって分けられます。三神→特級→上級のランクだけではなく、縒|《ヨ》りつむぎ、播州小麦、熟成麺、太づくりのように、麺の太さ、熟成期間、小麦の産地によって帯の色が変わります。帯の色関係なく、長さは19cmと決められています。スーパーマーケットで見かける帯の色は上級です。

詳しくは、こちらの動画をご覧ください。


小豆島素麺

江戸時代から作られてきました。ゴマ油を塗って生地を延ばし、天日干しで乾燥させることが特徴です。内陸並みに少ない降水量で、晴れる日が多いです。温暖とはいえ、冬も朝晩は0℃近くまで冷え込みます。ランクは黒帯、赤帯の二種類です。オリーブを練り込んだ鮮やかな緑色のオリーブ素麺もあります。

半田そうめん

徳島県つるぎ町半田地区で作られています。半田地区は剣山の麓にあり、冬になると、冷たく乾いた風が吹きます。庭干しされた素麺が冬の訪れを告げます。吉野川の良質な水で作られ、剣山から吹き下ろす寒風がコシの強い素麺を生み出します。

五色そうめん

愛媛県松山市の名物です。1635年から作られており、幕府へも献上されています。天然色素を使い、緑、薄茶、白、赤、橙の5色に染められています。緑は抹茶、薄茶は大麦、赤は梅、橙はみかんによって着色されています。味は一般的な素麺と変わりません。

島原手延そうめん

長崎県は兵庫県についで2番目の手延べそうめんの生産量を誇ります。島原手延そうめんは、長崎県南東部の島原半島で作られています。南島原市が定めた基準をクリアしたものだけが、島原手延べそうめんとして名乗ることができます。

小豆島から伝わったとされています。当時、中国と貿易していた長崎が近かったため、来日した僧侶が島原に寺院を建て、素麺の製法も持ち込んだという説もあります。

ご当地素麺グルメ

暑さから解放され、涼しい季節に入ると、素麺は余ることが、あるあるです。実は、年中楽しめます。温かいにゅうめん、冷やしたザルに偏りがちです。

リュウジさんなど、料理系YouTubeで素麺を取り上げることが多くなります。素麺を細麺に見立てて、豚骨ラーメンとして活用するのも良いです。南の地域で、素麺を使ったご当地グルメが揃います。


ソーミンチャンプルー

沖縄の惣菜屋さんでもお弁当の主役としても販売されていました。見た目はビーフンです。沖縄ではビーフンより素麺の方が手軽に入ったため、ビーフンの代わりに、素麺が使われたと考えられます。ゴーヤ、人参、ニラ、モヤシ、豚肉などを炒めてから、素麺を投入して絡めます。

大腸麺線

麺線は台湾のそうめんみたいな細い麺。カツオ出汁をきかせ、面を一緒ににこんだためか、とろみがついています。梅ニンニクを加えることにより、梅の酸味でさっぱりしつつ、ニンニクでスタミナもつきます。カキ、大腸(ホルモン)がトッピングとして人気です。もつ煮より輪切りにされ、一度油通ししたような食感です。

七夕の日にご当地手延素麺とご当地素麺料理を紹介しました。家で、手延素麺を食べ比べたり、新しい素麺料理に挑戦する夏にしようと思いました。

参考文献

  • 地球の歩き方編集室,(2024),日本のグルメ図鑑 47都道府県の名物料理を旅の雑学 (地球の歩き方W),学研プラス

  • 地球の歩き方編集室,(2022),世界の中華料理図鑑 (地球の歩き方W),学研プラス

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