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【節分】千葉県に行けば節分に必要な食べもの全部そろう説

 2月3日、節分。節分と言えば、鬼役の方に向かって豆をまいて、別にとってある豆を歳の数だけ食べる風景が浮かびます。2010年代から、恵方巻も食べるようになりました。
 節分の風習から、ふと思いました。
「千葉県に行けば、節分の食べ物がそろうのではないか?」
 
今回は、節分を掘り下げながら、このテーマについて検証します。

節分とは?

 そもそも、暦とは何か?暦は、日の出日の入り、月の満ち欠けなど、周期から、時間の流れを表したもの。農業で種まきや収穫などのタイミングを知るために利用されました。飛鳥時代に太陽太陰暦という暦が伝わり、1873年、現在のグレゴリオ暦に切り替わるまで1000年以上にわたって利用されていました。太陽太陰暦は、月の満ち欠けを基準にした太陰暦をベースに、太陽の動きを考慮して誤差を小さくした暦のこと。しかし、暦の上の月日と季節がずれるという欠点がありました。その暦の上の月日と季節のギャップを埋める手段として、二十四節気を導入。二十四節気とは、太陽が最も低い位置にあり、昼の時間が短い冬至を基準として1年を24等分した方法。これを4等分にして四季を春夏秋冬と定めて季節の始まりを、立春、立夏、立秋、立冬、季節の終わりを節分としました。さらに、春夏秋冬の各季節を6等分して3つの月に分割しました。1つの月には節、中を設けました。
 すなわち、2月3日の節分とは、暦上、冬の最終日ということなのです。

節分の風習

魔よけ

 節分は、冬の最後の日。暦上の春の訪れの前に魔除けをします。2月3日の夕方、焼いたイワシの頭をヒイラギの枝に刺して、枯れた豆がらと一緒に束ねて軒先や玄関に置きます。ヒイラギは、トゲトゲした葉っぱから、花言葉のひとつに「保護」があり、トゲの痛みがあります。また、漢字で「柊」と書きます。冬の木。トゲトゲのヒイラギとイワシの焼いたにおいで鬼を払い、魔除けになると信じられていました。この風習から、「イワシの頭も信心から」ということわざも生まれています。このことわざの意味は、一旦信じてしまえば、どんなものでもありがたく思えるということです。

豆まき

 室町時代から豆まきの風習は始まりました。豆まきは鬼打ち豆として煎った大豆、殻付の落花生をまきます。
 豆で鬼を追い払うのではなく、豆を撒くときに発生する豆の落ちる音によって鬼を追い払う効果があるといわれています。家の中に撒いた豆を自分の年齢の数だけ食べて無病息災を願います。

恵方巻

 関西では恵方巻を食べる文化があります。恵方を向いて無言で食べると縁起がよいとされています。今年の恵方は、南南東。元々、大正から昭和時代にかけて、大阪の花街でお客さん、芸子が節分に芸遊びしながら、商売繁盛を願って食べていた「丸かぶり寿司」が発祥。全国に広まったのは2000年代。最近では、全国のコンビニやデパート、お寿司屋さんでも販売されています。現代では、予約が主流ですが、数年前、大量に販売するため、売れ残った分を廃棄することが、社会問題になりました。

千葉県に行けば節分に必要な食べもの全部揃う?

落花生

 英語でピーナッツ。千葉県の落花生の生産量、12500t(2021年)。全国の85%を占めています。千葉県で落花生の生産が盛んな理由は、土壌。千葉県北部に広がる下総台地は富士山の火山灰によってできた関東ローム層。火山灰でできた土壌は、やせていて水はけが良いのが特徴です。千葉県は、明治時代に落花生が伝わり、栽培が始まりました。当時は、ピーナッツオイルを生産し、イワシのオイル漬けとして利用するために作られました。   
 現在では、ピーナッツソフト、ピーナッツ味噌などお土産にもぴったりです。
 全国的に煎った大豆を豆まきに使用するのが一般的です。しかし、ウェザーニュースによると、北海道、東北、信越地方、宮崎県、鹿児島県で落花生が多数派。昔は、全国的に大豆を撒いていました。しかし、1950年代以降、北海道から落花生を撒く文化が登場して南下して雪国を中心に広がりつつあります。一方、鹿児島県は、かつての落花生の産地だったため、近い宮崎県とともに豆まきに落花生という習慣が根付いています。落花生の豆まきのメリットは、粒が大きいため、見つけやすく拾いやすく、掃除が楽なこと。殻に包まれているため、粗末にならず、衛生的で拾って食べても安心できること。歳の数だけ豆を食べるとよいですが、ピーナッツの場合、殻の数だけ食べられます。殻の中には、2粒の豆が入っているものが多いため、大豆の約2倍の数を食べることができ、お得です。

イワシ

 千葉県はマイワシの漁獲量、全国2位で5.3万t(2020年)。1位が隣の茨城県、20.7万tで全国の漁獲量の37.2%を占めます。茨城県、千葉県の太平洋沿岸で盛んにマイワシがとれる理由は、沿岸を流れる黒潮。黒潮には、エサとなるプランクトンも豊富。そのため、魚がたくさん集まります。節分のころのイワシは、産卵のために沿岸に近づいてくるので大漁にとれ、安価で脂のりがよいです。千葉県では、銚子を中心に九十九里一帯でさかんに獲れます。1700年代、紀州の漁師が出稼ぎで九十九里を訪れ、イワシ漁の基地にしたことが始まりと言われています。現在も煮干など干し物類の加工場が海岸沿いで多く見られます。
 イワシ料理といえば、南蛮漬、甘辛煮などがありますが、千葉県のイワシを使った郷土料理といえば、「なめろう」、「さんが焼き」。なめろうは、新鮮なアジ、イワシ、サンマなど青魚を頭、尾、皮など除き、生姜、ネギなどの薬味と味噌を混ぜて叩いた料理です。船上の猟師が手早く作った料理が発祥。味付けに千葉県名産の醤油ではなく、味噌を使う理由は、船上だと醤油はこぼれやすいから。なめろうに、玉ねぎ、味噌、砂糖をまぜて焼いたものが、「さんが焼き」。名前の由来は「さむかわ」なまってサンガになりました。「なめろう」が「ユッケ」なら、「さんが焼き」は「ハンバーグ」。団子状にして似たものがつみれ。なめろうから料理のバリエーションが広がります。
 干物の種類も多種で、男性は漁に出て女性は家を守るため、みりん干し、目刺し、煮干、イワシのごま漬けなどを生産して販売します。
 また、千葉県九十九里漁港には、いわし資料館があります。そこでは、いわしの大群が泳ぐ姿が圧巻です。最近では、イワシの大群を見せる水族館が増えています。
 ちなみに、北九州市で食べられている郷土料理がイワシのヌカ味噌炊き。ぬか漬けの糠をひとつまみいれて甘辛く煮込んだ料理。イワシ特有の青臭さを消すために、ぬか漬けの糠をひとつまみいれます。糠の独特のにおいが青魚の生臭さを包み込んで、感じさせなくさせます。さらに、糠がアクを吸着する効果もあります。「糠漬けの糠を入れたから、しょっぱいのでは?」と思いましたが、甘辛い味噌が勝って、糠の塩味は感じにくかったです。糠漬けのときに使われた唐辛子、山椒も入っているため、辛味、風味が合わさり、ご飯がすすみました。北九州の台所と呼ばれる旦過市場でも販売されていました。

銚子駅近くの「銚子セレクト市場」で食べた洋風のつみれ汁
北九州市小倉で食べられているイワシの糠味噌炊き

節分の過ごし方の結論

 千葉県で節分に必要な食材が揃うことが分かりました。隣の茨城県を訪れることで鬼に金棒です。
 イワシの頭を焼いてからヒイラギの枝に刺して玄関に置きます。イワシの身は、千葉県の郷土料理、なめろうを作り、なめろうから、さんが焼き、つみれ汁に広げます。主食に恵方巻があれば、イワシの節分定食の完成。
 豆まきに使う豆を落花生にすることで、掃除もしやすく、殻を割れば食べられるため、フードロスも防げます。歳の数だけ殻付落花生が食べられるため、大豆の2倍以上おトク。
 節分に力を入れると、ここまで広がるのです。

参考文献

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