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第Ⅱ回 プラトン 「理性を育て、欲望に勝つ」

第Ⅱ回はソクラテスの弟子、プラトンについてみていきましょう。

プラトンソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師でもあります。『対話篇』という著作にソクラテスの対話を記録し、ソクラテスの言葉を借りて自身の哲学的思想を書き著しました。プラトンの思想は西洋哲学の源流とされています。


1、理性により感情をコントロールすべきだ

プラトン哲学の最大の特徴のひとつは、「理性」を最高の位置に押し上げている点です。

人生において、人は理性に背く欲望に打ち勝たなければならず、理性を人生の水先案内人にしてこそ幸福な人生が送れると主張しました。

人生の思考傾向を感情と理性に分類するなら、プラトンの思想はいかなる場面でも理性を重んじています。

人は生きていくうえで、理性により感情をコントロールするすべを学ぶべきだと主張しているのです(理性至上)

この思想はプラトン以降のデカルト、カント、ロールズなどにも受け継がれいまも人類の現在と未来の発展に影響を与え続けています。


2.人間の先天的な理性

「理性」とは論理を客観的に思考する本能のことを言い、問題に直面した時に感情に左右されない答えを簡単に導き出すことに役立つものです。

それは道徳教育のたまものだと言う人もいますが、その見解は恐らく間違いで、理性の多くは先天的なものです。

人は多くの場合、理性に従わなかったり無視することもありますが、理性の声が消え去ることはなく常に心の中に存在しています。

では「理性」とはいったいどういう存在なのでしょうか?

「理性」は、突然意識の中に浮かんできて私たちと対話をすることがあります。背徳行為に手を染めようとすると、「そんなことをしてはいけない」という心の声が聞こえてくるような気がします。

そんなとき、その声を聞き入れ生活の大部分を理性に従って行動することにすれば、人は理性主導で生きているという状態になります。


プラトンは、そういう状態こそが最も理想的な人生の形だと考えていたのです。


3.理性と欲望の戦い

生活の中では、常に理性に反する別の力が作用しています。プラトンはこれを「欲望」と称しています。食べる・飲む・遊ぶ・楽しむはすべて欲望に属します。

古来から欲望と理性の両社は心の中で戦い続けているわけですが、戦況はどうでしょうか。


4.普通だったら理性は欲望にはかなわない

禁煙や禁酒などを何かを辞められなかった経験のある人は、欲望の力に抗いようがないことは気付いているはずです。頭ではやめるべきだとわかっていても、知らないうちにはまり込んでしまうのです。


そのため、プラトンも欲望は人生における最大の力だとして、人は多くの場合欲望に支配され欲望に従って生活しているものと認めていました。

そういう視点で見ると、実は人間は理性的な動物ではなく、感情の赴くままに生きる欲望の動物なので、理性の力を立派に磨き上げないと、欲望には太刀打ちできません。

しかし人の心の中には欲望と理性のほかに、また別の強大な力が存在しています。


5.「気概」という強大な力が理性に結合すれば欲望に対抗できる

プラトンは人間の魂は、三つの性質に分かれると主張しています。理性と欲望、そして理性と欲望のどちらかを選んで結合する強大な力「気概」です。

「気概」とは簡単に言えば、人が欲望に操られたくないと思った時に湧いてくる怒りと理性が結合したものだとプラトンは言っています。

怒りと理性が結合すると強大な力が生まれ、そして自分を操っていた欲望を吹き飛ばし、理性が主導する人生へと転換しようとします。

「怒り」「意志」「勇気」などはすべて気概の魂に属し、大きな原動力を生み出します。しかしその力は、単独では存在せず、理性と欲望のどちらかを選んで結合します。

他人の説教に腹が立っている時や、他人に嫉妬しているときは気概の魂が欲望の魂と結合しているため幸せな人生とはかけ離れてしまいます。

欲望に対抗するために養わなければならないのはクリアでねじ曲がっていない理性的な思考力能力です。さらに理性に気概を操らせて、両方の力によって欲望に対抗します。


6.理性の力を養う

理性の力を養うために最も重要なことは、まず理性に従わなかった罪悪感という心の障壁を取り除くことです。

欲望に打ち勝てないとき、その罪悪感を抑えるために思考をねじ曲げ自由になろうとするのではなく、日常生活の中で言い訳を探さないことが重要です。

理性の力を養うことが出来ていると、憂鬱・焦り・恐怖などの暗闇から遠く離れたところに精神を導くチャンス路得ることが出来ます


7.欲望を否定しすぎない

理性に主導された人生は、達成感・充実感・難問を解く喜びなどを得ることが出来ます。
しかし、理性があまりにも強すぎると、欲望にまつわる楽しみを抑制してしまうことも確かです。

そこで、19世紀の哲学者ニーチェは、理性で欲望をけん制する方法に異議を唱えました。ニーチェによれば欲望を放任しすぎると人生に混乱を招くけれど、適度に放任しコントロールさえ失わなければ多種多様な人生を享受できるといいます。

彼は、真に美しい人生とは理性的な美しさだけでなく、感情的な欲望に酔う美しさも混じっているべきだと考えたのです。これはとてつもなく難しいことで、そんなことが出来る人がいるのかは疑問に思えます。


前回から哲学についてまとめていますが正直難しくて「なんやこれ、、、、」って感じです。ぼちぼちいきましょう。

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