フトコロに飛び込む
「もっと懐に飛び込むといいよ」
10年ほど前にチームリーダーを任された頃、当時の上司から頂いたアドバイスです。
ちょうど上司から取引先を引き継いでいる時に、取引先との関係づくりに苦戦している私を見ての言葉でした。
確かに、担当が上司から私に変わった後も、取引先からの連絡はまずは上司の方に行き、私はなかなか入り込めていませんでした。
それを見かねてのアドバイスだったのですが、「別に入り込めていなくてもいい。仕事が処理できれば問題無い」と私は素直にアドバイスを受け入れようとしていませんでした。
なぜなら当時は、「懐に飛び込む」というスタイルになんとなくネガティブな印象を持っていました。
しかし今振り返ると、「懐に飛び込む」というアドバイスは全くその通りで、当時の状況を的確に現していました。
懐に飛び込む
「懐に飛び込む(懐に入る)」とは、次のように書かれていることが多いです。
しかし、このフレーズの難しいところは、前後の文脈によりニュアンスが変わることです。
「賞賛」としても、「皮肉」としても使えるのですね。
懐に飛び込む→心を開く
アドバイスももらった頃の私は、「懐に飛び込む」とは、相手の機嫌をとったり忖度したりして「取り入ろう」とするイメージでした。
「泥臭い営業スタイル」を取ってまで気に入られたく無いなと思っていたのです。
しかし、言葉の由来や類義語を調べると、印象が変わりました。
また類義語には次のようなものがあります。
逆に反意語は次のようなものがあります。
今思うと、
「取引先に入り込めていない自分を認めたく無い」というプライドが邪魔をして「斜に構え」、「天邪鬼」な態度を取っていたのですね。
それを見かねた上司が(もしかしたら取引先の方も)、「心を開いて」「懐に飛び込んでいいんだよ」と言ってくれていたのでした。
懐に飛び込む→本来の自分を表現する
上司の意図を自分なりに理解してからは、「とりあえずフトコロに飛び込んでみよう」と決めて行動を変えました。
とは言え、決して取り入ったり、忖度したり、媚びを売ることは必要無いと考えました。
斜に構えず、できないことや分からないことは素直に認めて、相手に相談すればよいのです。そして、なにより本来の自分を素直に表現すればよいと考えたのです。
当時の私は営業スマイルは苦手でしたが、データを分析するのは得意でした。
商談の度に何かしらのデータを持っていき、相手の要望を探りながら心を開いてもらえるように努めました。
「理屈っぽいなぁ」とか、「政治家みたいなこと言ってんじゃないよ(笑)」とよくからかわれましたが、自分のキャラクターも理解してもらうことで関係を作っていくことができたのでした。
最近、入社3年の若手が先輩との関係に悩んでいるのを見て「フトコロに飛び込むといいよ」とアドバイスしました。本来の意味を理解するには時間がかかるかも知れませんが、自分を見つめ直すきっかけになれば良いと思います。
ありがとうございました。
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