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車のトラブルが多い人生を送ってきました-車屋失格-⑯

お客さんの納車予定の新車の鍵がない・・・
あり得ない状態が起きている。

お店全体が自分の状態を知って集まってくる
平日の日中だが偶然スタッフがお店にいた。
自分の現状を周りのスタッフに共有する。

「他の拠点でもこういう時は鍵出てくるから
 とりあえず落ち着いて探そう。」
と経験の長い先輩が声を掛けてくれた。

その言葉を聞くだけで少し気持ちが楽になった。
普段だったら探さないような部分も
スタッフ10人でくまなく探す。

30分・・・1時間・・・
大人数で探したこともあり
ほとんど探せるとこは探した。

「今まで出てきたから大丈夫!」と自分に
話をしてくれた先輩の表情も変わってくる。

「とりあえず白田の自宅にあるかもしれないし見てきな」
そう言われて自宅に鍵がないか確認しに行く。

自宅に帰って慌てて家の中を探す。
探しても探しても鍵は出てこない・・・
”もしかしたら”と期待して行ったが
見つけることは出来ず会社に戻る。

半日かけて探しても何も変わらなかった
店長と改めて話をする。
「ナビがない時点でお客さんは怒ってる」
「時間が経てばより悪化する素直に話そう。」
そう話してる時に店内にお客さんが入ってくる。

受付の人が自分を見て
「鍵が見つからないお客さんが来店された。」と伝える。
その言葉を聞いた瞬間頭の中が真っ白になった。

「とりあえず行ってきなさい!」
店長に言われてお客さんの元に向かう。

「ナビの件どうなった?あとこれ納車前につけることできる?」
そう伝えられたので焦りながらも
「かっ確認してきます・・・」と伝え
再度店長に相談をした。

「もうお客さんも来てるし正直に話そう。」
そう言って店長と一緒にお客さんに
納車前に鍵がないことを伝えた。

ナビの件があってかなり怒られると思っていたが
想像を超えていたのか怒るというよりは
呆れた感じで話を聞いていた。

「じゃあ納車はいつになるの?」
「早くて1ヶ月かかります。」
少し沈黙があった後

「何か会社から対応してもらっていい?」
その話が出た後店長は事前に考えていたのか
対応策を話することになった。

數十分話をしてお客さんの車に
用品を付けることで話は収まった。

お客さんを見送った後でとりあえず自分は
再度納車出来るように会社の人に
協力をしてもらいながら手配を進めていった。

1ヶ月後
見た目は変わらないが
無事に鍵がある状態で納車が出来た。

「白田くんこれからは問題なしで頼むよ!」と
言われたが少々苦笑いの状態で
「はい!任せてください!!」

そう伝えてお客さんは新車に乗って帰っていった。

後々確認したのだが自分が鍵を無くしたことにより
鍵の再作成とユニット交換が必要だったらしく
費用は50万以上かかっていたと聞いた。
社会人1年目からいいことがあまりない
生活だったがようやくそんな自分にも
嬉しい出来事が起きるのだった。




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