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車のトラブルが多い人生を送ってきました-車屋失格-㉔

夜の23時。明日の仕事に終電に合わせて

急いで家路につく人もいる時間・・・
南区の居酒屋の中で自分は先輩と言い合いをしていた。

「おい白田なんなんその態度」
「周りの人もいること考えろよ」
チャラ男の先輩は自分の態度を見て
睨みながら声を大にして話をしてくる。

23時の店内には珍しくお客さんが多く残っており
まだまだ賑わっている。
自分たちのテーブルがどうなっているか
周りの人も気にはなっていない状態だった。

自分の中ではこんな状況は望んでいたわけではないが
確実に自分の発言のせいで空気は最悪の状態だった。

先輩はお酒が入っているのか
自分が何も返答しない状況を見てあからさまに
イライラしているのが分かる。

「おい白田何か言い返して来いよ!」
チャラ男の先輩は自分をまくしたてるように声を荒げる。

2~3分ぐらい自分たちのテーブルに沈黙が続く

正直最初から何もかも相談をしたかった。
だが、営業の仕事をしていると他人に弱みを見せるのが嫌だった。
数字の世界に生きていると例え後輩でも台数の違いでも
給料にも大きな差があった。

同じ職場で働いている”仲間”というより
”自分を邪魔するライバル”という印象だった。

自分の不安な点は同じ拠点の先輩に相談出来ないと思っていた。
こんな状況を招いたのも自分のせいだし
そう思い重い口を開いて話始めた。

「自分の将来のこと」「先輩と店長の対応を見て思ったこと」等
自分が悩んでいたことを話をした。

さっきまで怒っていた先輩も少しづつ
顔の表情が変わっていく。
「じゃあお前は将来何したいの?」
急に来た質問に心が動揺した。

正直今の不安ばかりで将来の事を考えている時間がなかった。
という言い訳ばかりが頭の中を駆け巡る。

「いや・・・特に何かやりたいとか・・・今のところは」
所々詰まりながら答える。

「今お前何年目だっけ?」そう伝えられる。
「・・・3年目です」
「一番悩む時期やな・・・俺も同じだった」
そう言われてチャラ男の過去の体験を話を始めた。

そこから周りの先輩たちも
自分の経験をどんどん話をしてくれる。

「勝手に一人で悩むな!」
「なんかあったら相談しろ!」と言われる。

勝手にライバルと思い避けていたのは自分だった。
周りは自分のことを言葉にしないが心配してくれてたと気づいた。

その瞬間我慢してたものが溢れ出るかの様に
自分の両目からはボロボロと涙が出てきた。

「泣くなよー」と周りの先輩たちは自分を見ながら笑う。
「泣いてないですよ」とあからさまに泣いている自分が答える。

一時期は険悪な雰囲気だった空間も
深夜0時過ぎみんなが笑顔になり
そこから「乾杯ー」と大声で騒いでいた。


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