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車のトラブルが多い人生を送ってきました-車屋失格-⑳

「まもなく投機は出発します。」

綺麗なCAさんがマイクを持って話をしている。

自分の隣を見ると空席だけがある。
出発する前はワクワクな気持ちでいっぱいだったが
今は不安な気持ちで心の中はいっぱいだった。

今回の旅行は福岡→東京、東京→ハワイの
乗り継ぎが必要だった。

あっという間に東京に到着する。
正直飛行機内のことはあまり覚えていない。
「先輩は無事飛行機に乗れたのか」
「ハワイに着いても楽しめるのか」
そんなことを考えていると気づいたら
もう東京に着いていた。

乗り継ぎの間周りの社員は楽しそうに話をしている。
最近の仕事のことなのか、ハワイのことなのか
何を喋っていても自分が入っていく
気持ちは全くなかった。

「白田大丈夫か?」とうなだれている自分に
声を掛けてくれた。
ゆっくり顔を見上げると何度か面識のある
先輩がいた。

「大丈夫です。ただ、面識のない人があまりいないから不安ですね。」

「そうだよね。何かあった時には・・・」と話している時に
その人に対して他の人が声をかけ
「すまん、白田何かあったら話してね。」と言って
自分の元を去っていく。

また一人になってしまい
寂しさに心が折れそうになるので
イヤホンをつけて音楽を聞く。
iPodの画面をクリクリして自分が一番テンションの
上がる曲をセレクトする。


2~3曲ぐらい聞いた頃だろうか
曲に集中していた自分の肩をポンポンと叩けれる。
急いでイヤホンを外して振り返る。

そこには身長165cmの小柄、細めのメガネを掛け
鋭い目つきをした人が立っていた。
その人は自分より一つ年上で一番歳が近いのだが
正直目つきが怖い印象があるので自分から話掛けられなかった。

「おっしょっぱなから大変だね。」と話し掛けてくれる。
「まさかこんな展開になるとは思いませんでした。」
そう話すとどんどん自分のこと含めて
色々と話をしてくれた。

気づけば30分以上その先輩が話しに付き合ってくれる。
話す前のイメージとは違って実際に話をしてみると
色々と話をしてくれる。
あっという間に乗り継ぎの便の案内が流れる。

東京に着いた時は一人寂しくしていたが
乗り継ぎの飛行機に乗る時は気持ちも明るくなった。

飛行機に乗って座席を探す。
どこに座るかは入るまで知らなかったが
着いた瞬間に自分の隣には先程まで
話をしてくれていた先輩がいた。

「お〜偶然やね。」と声を掛けてくれる。
「ここから長い時間一緒ですけどよろしくお願いします。」と
笑顔で話す。

福岡を出発した際は不安な気持ちだったが
東京を出発してハワイに向かう際は
テンションも戻ってあとはハワイを楽しむだけとなっていた!

福岡で離れ離れになった先輩のことは完璧に忘れてしまい
隣にいる先輩と話すことに夢中になっていた。




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