まるで、散歩するかのように。
いざ、小説を書いてみようと決意して準備を始めたわけだが、その準備が整わぬうちから、「早く書きたい」という想いにせかされてきた。
だったら、いっそのことノープランで書いてしまえばいいのではないか。
そう思い、頭からいきなり書き始めることにした。
テーマも、構成も、何も決めず、頭に浮かんだフレーズから枝葉を伸ばし、気ままにずんずんとキーボードで文字を打ち込んでいく。まるで、行き先を決めずに歩きだした散歩のように。
どの道を行こうかな。
あっちには何があったかな。
そういえばあそこに行ってみたかったんだ。
歩き始めると、自然と好奇心や冒険心が顔をのぞかせる。それらに逆らうことなく素直に服従して歩みを進めると、程よい疲労感とともに満足感がやってくる。散歩を終えて家につく頃には、得も言われぬ幸福感で無意識に顔もほころんでいる。
書き終えた時にも同じような状態になっていればこの上ないが、そこを目指してしまっては「あてのない散歩」とは言い難い。あくまでも、「歩きたい・書きたい」から始めるものであり、「歩くこと・書くこと」そのものが目的なのだから。
それに、この散歩的執筆方法で失敗したところでどうってことはない。
誰かに依頼されているわけでも、締め切りがあるわけでもない。
最悪、満足に書き上げられなくとも、命が取られるわけでもない。
まずは、歩き出す。書き出す。
というわけで、散歩に行ってきます。
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