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15秒で読める!140字創作小説
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2021年3月の記事一覧

【140字小説】ついで掃除

【140字小説】ついで掃除

朝起きて洗面所へ行くと、洗面台の排水口の暗い深淵から禍々しい目玉が一つ、こちらを覗いていた。

私は思わず熱湯モードで蛇口を捻る。

冷水が徐々に熱湯へ変わり、目玉は生臭い臭いを残していつの間にか消えていた。

私は念のためパイプユニッシュも塗布しておいた。
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【140字小説】恋する乙女は止まらない

【140字小説】恋する乙女は止まらない

恋する乙女は今日もひた走る。

彼の登下校時に偶然鉢合わせる為。
彼の部活の試合をこっそり観戦する為。
彼が好きな連ドラの時間に間に合う為。

…おーっと!たまに立ち止まる。

このパッケージ、彼に似てなくない?

恋する乙女はパケ買いしたミロを抱え再び走る。
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【140字小説】Tweet HOLIC

【140字小説】Tweet HOLIC

河原で石を投げる人がいた。

何をしているのか問いかけると、

「私はこのTwitterという大河にツイートという石を投げ続けているのですが、ゆらゆら沈みゆくばかりです。」

そう言って振り向いた虚ろな顔は正に私そのもので、怖くなり走って帰宅しその事を早速ツイートした。
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【140字小説】痺れ

【140字小説】痺れ

椅子に正座する癖がある。

そろそろ台所へ行き、起きてくる夫の朝食を準備せねばならない。

足が少し痺れていたがエイヤ!と気合で歩き出した。

コンロの前に立った時、丁度痺れはピークを迎え一人悶える。

夫「この目玉焼きピリピリするな」

…痺れ入りだからね。
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【140字小説】フリマアプリ

【140字小説】フリマアプリ

フリマアプリを始めた。

服を出品…っと。

早速コメントが届いた。

面倒な値下げ交渉じゃなきゃいいけど。

「初めまして。こちらは舞さんがいつ頃購入した服ですか?」

え………何で私の本名知ってるの!?

恐怖に震える舞だが、うっかり本名で登録した事を失念していた。
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【140字小説】真実

【140字小説】真実

近所にボロ家と素敵な新築一軒家が並んでてパッと見その落差がエグい。

でも僕は知ってる。

ボロ家の爺さんは猫や友人と毎日楽しく暮らしてる事。

一方新築の家族は家庭崩壊…かと言えばそうでもなくこれまた幸せに暮らしてる事。

僕が今から帰る家が一番最低で最悪な事。
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【140字小説】自分でも不思議

【140字小説】自分でも不思議

持込投稿10回目。

「君の作品は上っ面だけで浅いね。燃えるような恋とか経験した事ないでしょ?」
編集が偉そうにのたまう。

「だったら、俺と恋してみる?」
後ろからイケメンバイト君が茶化してきた。

「結構です!」
だって私は目の前の編集のおっさんが好きなのだから。
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【140字小説】隣の荷台

【140字小説】隣の荷台

信号待ちで停車。カーステでノリノリ。

曲と曲の間、音が一瞬途切れた瞬間に何か聞こえた気がした。

_消音。

隣に停まったトラックの荷台が内側から叩かれている…?

「あけて、だして、たすけて」

…え?

思った瞬間、信号は青になりトラックは山の方へ左折して行った。
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【140字小説】拡散希望

【140字小説】拡散希望

ハロウィンの夜の仮装行列に魔物が混じってる、っていうのは知ってるよね?

人混みに紛れてあなたを魔界に連れて行っちゃうの。

でもね、前3日間の内にカボチャ料理を食べてれば助かるんだよ。

この話、早めにみんなに広めてね。

…私?通りすがりの八百屋の娘だよ。
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【140字小説】金角銀角的な彼

【140字小説】金角銀角的な彼

「入ったら2度と出られない、人を堕落させる場所に行かない?」彼は炬燵に目をやりながら私に問うた。

「別にいいよ」と答えた瞬間、私の体は彼の隠し持っていた瓢箪に吸い込まれてしまった。

「今から僕も行くから、2人で堕ちよう!」彼の浮かれた声が降り注ぐ。
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【140字小説】乗ってたならお前も手伝わんかい

【140字小説】乗ってたならお前も手伝わんかい

雪にはまって立ち往生してるタクシーのおじさんが懸命にシャベルで雪かきしてたから、私もお手伝い。

タクシーは無事に脱出できたんだけど、後部座席のドアが開いて

「君のような優しい女性は今時珍しい!僕は地元企業Aの御曹司…」

って奴がチンタラ出てきたから雪に埋めといた。
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【140字小説】老女とハロウィン

【140字小説】老女とハロウィン

「Trick or Treat!」外で元気な声が響く。

ハロウィンの町内行事で、仮装した子供らが家々を回っているのだ。

普段篭りがちな私の家にも来るのだろうか。
いらぬ気を使わせて全く迷惑な行事だ。

__玄関で声がする。

老女は可愛く包んだ菓子を持ちいそいそと立ち上がった。

【140字小説】ほっとけない

【140字小説】ほっとけない

合コンにて。

幼馴染の夢子がグラスを倒した。

すかさず相手の男が言う。
「夢ちゃんてほっとけない可愛さあるよね」

夢子が言う。
「は?お前みたいな雑魚にそんな事言われてもキモいだけだわ」

殴りかかる男から夢子を庇い店を出た。
こういうとこがマジでほっとけない。
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【140字小説】試着

【140字小説】試着

「どうかな?」
と試着室から出た。

「…いや、デザイン安っぽいし微妙。」
スマホしながら彼は答える。

着替えていると外からチャラいカップルの声。

「いや超似合うし!そういうのも新鮮でよくね?」

「えー、じゃあ買う♡」

_何でかな、試着室の中で涙が溢れた。
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