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詩/短歌/その他

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#散文

【散文】日が暮れると安心する症候群4

【散文】日が暮れると安心する症候群4

山に登ってもいいけど私は助けませんよ

暗くなる才能

50キロ制限の道を
みんなが80キロで走るから
私もスピードを出した
きっともうすぐ私だけ死ぬ

後ろを走っているこの大型トラックは
私をぺしゃんこに潰そうと思えば
いつだってそうできるのだ
私は今、大型トラックに生かされている

美しさという威圧
聡明さという威圧

わかってるんだ
計算ずくの人間はかっこ悪い
計算できない人間はもっとかっこ

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【散文】日が暮れると安心する症候群3

【散文】日が暮れると安心する症候群3

幸せを受信するアンテナが
壊れているロボット
この社会ではそれを
「不良品」と呼ぶ

外でバーベキューしたい人たち
店で焼き肉を食べたい人たち
前者と後者を戦わせたら
圧倒的に前者が勝ちそうな気がするのは
なぜだろう
すでに僕らは気持ちで負けてるんだ
とぼとぼと炭を買いに出かける

嫌いなら嫌いと思っていいんだよ
ただ
それを周りに決して悟られてはいけない
うまく生きるためのアドバイスさ

三度の

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【散文】日が暮れると安心する症候群2

【散文】日が暮れると安心する症候群2

地を這っていたい私に
「どうして飛ばないの?
空はこんなに素敵なのに!」
と無邪気に笑いかける
圧倒的に正しい者たちの声
その声が煩すぎて
私は地に潜ってしまいたくなるのです

失敗者の叫びなんて
誰も聞いちゃいない

愛を教わらなかった子供が生み出せるのは
せいぜい愛もどき

他人を羨んで腹を立てたりしないけど
他人を羨んでるんだろうな、
と思われていることに腹が立つのです

私でごめんなさい

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【散文】日が暮れると安心する症候群

【散文】日が暮れると安心する症候群

良い大人であろうとしたけれど
私の中のダメな子どもがひょいと顔を出した

片付けても片付けても
僕以外のところから
次々ゴミが湧いてきて
もうどうしようもなく
全てが虚しくなったんだ

家族団欒を否応なく見せつける
盆と正月が大嫌いだった

鳴かぬならいらない
ホトトギス

糸はプツンとわかりやすい音を立てて
切れたりしない
気付いた時にはもうなくなってるんだ

ケガがきちんと治るまで
キズパワー

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