英文法解説 テーマ4「不定詞」 第2回 準動詞って何?② ~不定詞の形容詞用法~
どうも。プロ予備校講師のタナカケンスケです。本日も英文法の解説をアップします!
前回は、準動詞とは?という話から入り、不定詞の名詞用法までを説明しました。今回は、不定詞の形容詞用法についてです。少し長くなりますが、頑張りましょう。まずは「形容詞のはたらき」からおさらいしましょう。
「テーマ1 第1回「品詞を理解するのはコスパが良い!」」や「テーマ1 第2回「文型って要するにどういうこと?」」で解説したので、忘れてしまった方やまだ読んでいない方は是非、そちらの方も確認してください。
C(補語)としてはたらく形容詞用法(SVC)
では、まずは不定詞の形容詞用法がC(補語)としてはたらくケースから行きたいと思います。前回、説明したように、名詞用法の不定詞もC(補語)としてはたらくことができますが、その場合は「S=C」という関係が成り立ちます(例えば、My hobby is to watch movies.など)。
一方で、形容詞用法の不定詞がC(補語)としてはたらく場合は、She seems happy.の形容詞happyのように、S(主語)の様子や状態を表します。seemやappearといった自動詞の補語としてよく用いられます。ちなみに、補語としてはたらく形容詞の使い方を「叙述用法」と呼びます。
例えば、Mary seems to be happy about my present.という例文において、to be happy about my presentがC(補語)になっていますが、この場合、to beを省略しても、Mary seems happy about my present.のように、第2文型として成立します。つまり、to be happy about my presentもhappy about my presentも同じ働きをしていることが分かります(ニュアンスは多少異なりますが)。
C(補語)としてはたらく形容詞用法(SVOC)
次に、第5文型(SVOC)のCの位置にも不定詞が用いられるケースの説明にはいります。これは、「SVO+to V」パターンとして一般化できる形で、「テーマ1 品詞と文型 第7回「SVO+to Vパターン」」でも解説しました(この構文におけるto Vも形容詞用法の不定詞だと考えられます)。その際にも解説したように、この文型のポイントは、OとCに「隠れたSV関係」があるということなので、そこに注目してもう一度おさらいしましょう。
例えば、I want Tom to say the truth.「トムには本当のことを言ってほしいと思う」のto tell the truthが形容詞用法の不定詞になります。あまり形容詞用法の不定詞だと意識しなくても、V+O+to Vパターンの動詞の語法として処理してしまうのが得策かと思います。
以上が、C(補語)としてはたらく形容詞用法の不定詞になります。他にも、be to構文などもありますが、形容詞用法の話から逸れてしまいそうなので、ここでは割愛します。
名詞を修飾する形容詞用法
次に、「名詞を修飾する形容詞用法の不定詞」の説明にいきましょう。英語の場合、修飾語句を修飾される名詞の前に置くケース(=前置修飾)と修飾語句を修飾される名詞の後ろに置くケース(=後置修飾)の2通りがありますが、不定詞の形容用法の場合は、「後置修飾」になります。ちなみに、名詞を修飾する形容詞のはたらきのことを「限定用法」と呼びます。
よく文法の教科書に形容詞用法の不定詞は「~するための」と訳すという説明が載っていることがありますが、必ずしも「~するための」とは限らないので注意してください。あくまでも、「名詞を修飾(=説明)している」というはたらきが分かるように訳せばOKです。いくつかのパターンがあるので例文で確認しましょう。
「飲み物」「手伝ってくれる人」「遊ぶ友達」「女優になるという夢」など、どの例も「~するための」という訳し方をしていないのに注目してください。繰り返しますが、後ろから名詞を修飾している、ということが分かるような訳し方をすればよいのです。そう考えれば、訳すことに関しては難しくないと思います。
しかし、置かれている位置が位置だけに、次回説明する、「副詞用法の不定詞」と勘違いしてしまうことがたまにあります。例えば、(4)では、仮にShe has a dream.で文が終わっていても、SVOが成立しているので、to become an actressは、あってもなくてもいい語句、つまり副詞要素と誤解しても仕方がないかもしれません。
そこで、副詞用法の不定詞と形容詞用法の不定詞を識別するために、上記の4つの例文に見られる「ある特徴」に注目してみたいと思います。
気付きましたか?実は、修飾される名詞と修飾する不定詞の間には、なんらかの「意味関係」があるのです。例えば、(1)では「VO関係」、(2)では、「SV関係」、(3)では「V+『前+名』関係」があり、(4)では「イコール関係」があります。これが、副詞用法の不定詞と大きく異なる点になります。
副詞用法の不定詞の場合は、例えば、I called him to ask about the homework.「私は宿題について聞くために彼に電話した」のように、himとto ask about the homeworkには、以上のようななんらかの「意味関係」はありません。むしろ、called himという「V+O」にかかっていると考えられます。
まとめ
不定詞の形容詞用法に関してかなり細かい点まで解説してきましたが、前回に引き続き今回も大切なのは、「するための」と訳せるから形容詞用法の不定詞なのではなく、C(補語)として用いられていたり、名詞を後置修飾したりしているから形容詞用法の不定詞だと気付くことです。
このように、文法的な視点を持って英文に取り組むことが重要です。次回は、副詞用法の不定詞について解説していきたいと思います。ご期待ください!
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