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英文法解説 テーマ1「品詞と文型」  第1回 品詞を理解するのはコスパが良い!という話

品詞とは何か?

まず、「品詞」とは何でしょう?

 そう訊かれたら、おそらく、各単語を意味的に分類したもの、というイメージを持つ人が多いと思います。いくつか挙げていきましょう。例えば、「book(本)」「cat(ネコ)」「apple(りんご)」は名詞で、「read(読む)」「run(走る)」「eat(食べる)」は動詞ですね。さらに、「interesting(面白い)」「soft(やわらかい)」「delicious(美味しい)」は形容詞です。他にも、slowly(ゆっくり)は副詞、because(なぜならば)は接続詞、inやonは前置詞などです。日本語文法とは若干違いますが、大体こんな感じで把握している人が多いと思います。このように「品詞」について話し始めると、皆さんの頭の中にひょっとしたら次のような疑問が思い浮かぶかもしれません。

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 こういうところから、英語が苦手になってしまった人は、意外と少なくないのではないかと思います。言ってみれば、「英文法苦手な人あるある」です。

 もちろん、ある程度、英単語を品詞で分類することは重要なことですが、英単語によっては、同じ語形でもいくつかの品詞を持つものが多いので、すべてを完璧に分類して覚えることは難しいです(辞書を丸暗記するようなものです)。例えば、bookという英単語は、名詞では「本」ですが、動詞では「予約する」であるように、少なくとも、英単語と品詞は1対1の関係ではないので、すべての英単語を一つの品詞の中に押し込めて考えるのはそもそも無理な話なのです。実際、プロとして英語を教えていても、辞書を調べて「この単語ってこんな品詞もあるんだ!」と発見することもよくあります。

 また、「〇〇詞」という文法用語だけでもたくさんあって、それぞれの使い方を細かく覚えていくのも面倒くさいですよね。名詞や動詞ならまだしも、助動詞、代名詞、疑問形容詞、関係副詞…などなど、「こんな文法用語なんて知らなくても英語はどうにかなる!」と思いたくもなりますよね(^^;)。

はたらきからみた基本的な4つの品詞を覚えよう!

 もちろん、こういった細かい品詞を理解していた方が、英文法を深く理解できるのは間違いなのですが、そもそもスタート地点に立つ段階で英語学習にうんざりしてしまっては仕方がありません。といっても、基本的な品詞の理解を避けて英文法の説明をすることは実質不可能なので、まず英文法学習の基本中の基本として、まず次の4つの品詞の特徴を理解していくことから始めましょう!基礎から丁寧に解説していくので安心してください。

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 最初の話に戻りますが、「名詞」と聞くと、たいていの人は「本」「ネコ」「りんご」のように、辞書的な意味で「モノやことの名称」を思いつくかもしれませんが、英文法的には「英文法上のはたらき」でとらえることが大切なのです。「動詞」や「形容詞」や「副詞」に関しても同様で、「読む」「面白い」「ゆっくり」という辞書的な意味での品詞ではなく、「英文法上のはたらき」で考えてみましょう。

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 難しそうですか?英文法という世界の登場人物(しかも主役級)が、とりあえず4人でてきた、とイメージしてください。もちろん、いきなりこれらを丸暗記するのは大変なので、これからのさまざまな英文法についての説明を理解するための基本ルールとしてとらえて、分かりにくくなってきたらそのたびに戻って確認してください。あと、視覚的にわかりやすいように4色に色分けしておくので、何度も参照していれば、そのうち頭の中に定着するはずです。

基本品詞以外はどうするの?

 品詞の話はここまで簡略化できるのですが、それ以外は無視しても良いのでしょうか?「あれ、前置詞って重要じゃないの?」「不定詞とか動名詞とかたくさん勉強してきた気がする」とか思うかもしれません。でも、大丈夫です。実は、他の「〇〇詞」というのは、英文中での使い方(=はたらき)という点では、上記の、①名詞、③形容詞、④副詞のどれかのはたらきをするのです!(*②動詞としてはたらく語句のかたまりはありません)

 例えば、前置詞。前置詞は、基本的に単独では使わずに「前置詞+名詞」という組み合わせで使います。そして、「前置詞+名詞」は、「形容詞」か「副詞」のどちらかのはたらきになります。また、動名詞(動詞の原形+ing形)は、「名詞」のはたらきをします。

 実は、ほとんどの「〇〇詞」と名の付くかたまりは、英文中では、①名詞、③形容詞、④副詞のどれかとしてはたらくのです。つまり、その「はたらき」だけを突き詰めて考えれば、これら3つの基本品詞のどれかになるのです。

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 「前置詞+名詞」や「動名詞」以外にも「〇〇詞」というのは基本的には、①名詞、③形容詞、④副詞のどれかとしてはたらくことになるので、これからも、「名詞のはたらき」、「形容詞のはたらき」、「副詞のはたらき」という表現が再び登場することになりますが、その都度、それらがどうはたらいているのか?を意識して考えれば、どの文法事項も、理解も深まるはずです。

品詞から英文法を考えるメリットは?

 さて、ここからが重要なのですが、

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 それは、英文の構造パターンをすぐに把握できる、ということです。なぜなら、どんな英文でも名詞・動詞・形容詞・副詞といった基本的な品詞から成り立っているからです。つまり、どんなに複雑で難解な英文でも、それを構成している語句のまとまりのはたらきに注目すると、それらは名詞・動詞・形容詞・副詞のどれかなのです。英文を構成するための基本的な部品みたいなものです。

 そして、こういった基本的な品詞の組み合わせパターンは限られているので、初めて見るような英文でも、そのパターンを理解していれば、構造を把握することができるのです。いくら英単語の意味を調べても、なんとなくその意味を結び付けていただけでは読めないのは、このような構造パターンを理解していないことが多いからだと思います。反対に、基本的な品詞から英文の構造パターンをイメージできれば、当然、英作文にも応用できるようになります。

品詞を覚えることはコスパが良い!

 というわけで、とりあえずは「基本的な4つの品詞のはたらき」を覚えることはこれから英文法を学ぶ上でめちゃくちゃコスパが良いのです(^^)

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 「品詞って何?」というお題だけでいろいろ書いてきましたが、今回の説明を踏まえた段階では、まずは「英文法の中での『名詞』って何ですか?」と訊かれたら、「モノやことの名称」と答えるのではなく、「文法的には、主語・目的語・補語のいずれかとしてはたらく品詞」と答えられたり、「『形容詞』って何ですか?」と訊かれたら、「文法的には、補語としてはたらいたり、名詞を修飾(≒説明)したりする品詞」と答えられれば十分です!

 今回は、品詞を「文法的なはたらき」の面から考えよう、という話だったのですが、次回は、この「文法的なはたらき」を英文中でどのように意識すればいいのか、さらに一歩進んで、「文型」(要するに英文の基本的なパターンのこと)という仕組みの中で「品詞」がどのようにはたらくのかを解説しようと思います。ご期待ください!

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