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夏休みの自由研究★反省会ー外国につながる子どもたちー

外国につながる子ども(小学生、以下A君)の補習をボランティアで行っている。
この記事では、夏休みの自由研究を手伝った際に感じたことや反省点を書いていこうと思う。

A君については以下の記事でどうぞ。


自由研究 is 何?

夏休みの宿題の定番、自由研究。
読者の方も一度は取り組んだことがあるだろう。

改めて考えてみると、何なんだろうか、この宿題は。

歴史的な経緯

歴史を遡ると、1947年、戦後初の学習指導要領に盛り込まれたのが始まりらしい。
当初は教科の1つという扱いだったようだが、ほどなく改訂された学習指導要領から消えた。
・・・が、いつ頃からか「夏休みの宿題」として復活、今に至るという。
高度経済成長期のような詰め込み教育ではなく、子どもの関心を伸ばしてあげたい、という先生方の願いは多かれ少なかれあるのだろう。

何でもいい、が一番困る

観察、実験、工作、何でもいいらしい。
まとめ方も指定なし。
完全に自由。フリーダム。

・・・難易度高いなあ。

小学生が大人の手助け無しで完遂できるのだろうか?
日本で教育を受けた保護者ですら厄介だと思うものを、外国で教育を受けた保護者が手助けできるのだろうか?

考え始めると公教育とは何ぞや、となってしまうので、ここでは深入りしない。
ただ、日本人の子どもにとっても外国につながる子どもにとっても、保護者の関心の程度によって振れ幅が大きくなる宿題である、と改めて思った。

世の親子は何をやっているのか

まず大事なことは、先行研究の確認。
インターネットでいくつかのサイトを調べた。
まあいろいろあること・・・。

自力では思いつかないようなものばかりだ。
そして、難しいものや面倒なものに興味を示されると厄介だな、と思った。

本人の興味・関心

現実的に、大がかりな実験などはできないので、調べた内容は伏せることに。そして、本人に聞いてみた。
「身近なことで、不思議に思っていること、何かある?」
すると、家で飼っているペットに関して、気になることがあるという。

生物!理科っぽい!いいね!

ということで、テーマが決まった。
観察がメインの調べ学習だ。

自由研究の手順

①観察して気になったことを書き出す
②気になったことを調べる
 ・保護者に聞く
 ・図鑑で調べる
 ・インターネットで調べる
③まとめる

①観察して気になったことを書き出す

絵が上手なので、イラストを描くことに。
また、ペットの色や形、模様を言葉にして書いてもらった。
狙いは「対象をよく観察すること」そして「日本語の表現力を上げること」。
これはスムーズにいった。

②気になったことを調べる

はい。
ここで失敗した。

観察し、仮説を立てさせる。
その上で調べる。
という手順を踏みたかった。

が、本人はさっそく保護者に気になったことについて質問し、答えを教えてもらったのだ。
仕事が早い。疾きこと風のごとし。悪くない。悪くないのだが。
それで、本人の中で答え合わせが済んでしまったのである。
自由研究、終わり!
・・・いやいやダメだよ、と。
きちんと図鑑や信頼できるWEBサイトでも調べなきゃ。

だが、言い方に気をつけないと、保護者をディスることになる。
が、保護者に教えてもらったらゴール、では困る。

本人は、
「気になったことについて、もう分かった。これ以上することはない」
と言わんばかりだ。
「せめて、教えてもらったことが正しいか観察しよう」
と言っても、なぜ分かっていることを確かめなければならないのか、が理解できない。
これはもちろん、私の言い方が悪いのだ。

答え合わせ、答え探しではなく、自分自身で観察したり考えたりするプロセスが大事だろうに、その大事さが全然伝わらなかった。
小学生なんてそんなもん、と割り切っていいものか悩んだ。まあ悩んだところで伝わらない事実は変わらないのだが・・・。

③まとめる

インターネットで見つけた先行研究をチェックした結果、スケッチブックにまとめるのがよさそう、ということに。
A君に「おうちの人に頼んでスケッチブックを手に入れてもらってね」と言ったところ、すぐに持ってきてくれた。
・・・表紙に「sketch book」と書かれたコピー用紙の紙束を。
あああちょっと厚紙の紙がよかった、参考画像を送るべきだった、と思いつつも、買い直してもらうわけにもいかず、コピー用紙で強行突破することにした。

最終的に、得意なイラストや丁寧に描いた文字(漢字もたくさん!)で仕上げた自由研究は、ちゃんと見栄えがした。
ほんの数ヵ月前まで小1の漢字も覚束なかった子が、ここまでやり遂げたことは、本人にとっても保護者にとっても喜ばしいことだったのではないだろうか(誰も何も言わなかったが)。

反省、将来の私へ

結局、自由研究とは何なのか、分からないまま終わった。
子どもが自分の興味・関心を多少なりとも深めることができれば、まずまず及第点、ということで良かったのだろうか?
ただ、科学的思考力・表現力の観点からは芳しいものではなかった、かもしれない。

ただ、事情も分からず丸投げされた一ボランティアにしては、かなり奮闘した方だろう、と(誰も褒めてくれないので)自画自賛しておきたい。

また、保護者はかなり協力的だったことは付け加えておきたい。
私の語学力が足りないせいで要請が伝わらなかったのは本当に申し訳なかった。

反省点
学習に入る前に手順と意図をしっかりと伝える
入手してほしいものは画像付きで説明する
→何に使うのかなど、意図も併せて伝える

インターネットにそれらしい答え(しかしフェイクも多い)が転がっている昨今、自分の目で確かめる=観察する、という力は大切だと思う。
科学的思考力・表現力も学力を伸ばす上で大事な力だ。

でも、
小学校の夏休みの自由研究でそこまで考えて取り組んでいる家庭が果たしてどのくらいあるのか?
ほとんどないのではないか?
と思わなくもない。あとは普段の学校の授業にお任せするしかない。

結局、私が手伝ったことは間違っていなかっただろうか・・・と折に触れて考えている。
改めて書き出してみると、自由研究の手伝いが難しいと感じた原因は、「外国につながる子ども」ではなく「小学生」にある、ということに気づいた。
でも、A君が非日本語母語話者だからこそ、余計に難しかった部分は少なからずあるのも事実。
・・・フィードバックがほしい。
ぐるぐるひとりで考えても詮無いのは分かっている。

と、ぼやいてしまったが、自由研究自体は私も楽しんで手伝えた。
もし来年以降も機会があれば、ひとまず最新版の学習指導要領の確認から入りたいと思う。

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