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出世と人事評価の仕組み

 会社員をしている人であれば、人事評価は気になるものです。人事評価はどのような基準となっているのか、なぜあの人は出世が早いのか、疑問に持った時に読んでみるといいかもしれません。

 今回、読んだ本は、平康慶浩氏の「出世する人は人事評価を気にしない」です。人事評価の本当の意味と昇進の仕組み、会社員のキャリアの築き方を中心に描かれています。


 会社内で昇進する人はどのような人かと質問したとき必ず優秀な人という言葉が出てきます。優秀な人とは、どのような人なのでしょうか。通常は、仕事の早い人、仕事の正確な人などが思いつきます。これは、その通りで本書においても平康氏は、一般社員から課長までの昇進は人事評価結果が重視される「卒業基準」で昇進判断されると述べています。言い換えると、課長まではパーツとしての優秀さを求めていると平康氏は説いています。

 一方で部長以上の管理職になる時には別の基準が用いられます。それは「入学基準」です。ここでいう管理職とは部長以上のことで、課長への入学基準よりもさらに厳しい基準を使っています。部長の方が担当する職務が高度であると考えられているためと考えられているからです。上位ポストになればプラスアルファの基準を求められます。

 課長までは経営層に使われる側の立場で出世競争が行われ、ノウハウを獲得すれば、評価されやすく昇進しやすくなるとのことです。会社員であれば、自分の今の立場を把握した上で、組織の中でどのように振舞えばいいかを教えてくれています。課長とは、何らかの機能を担える優秀さを獲得したということであり、パーツとしての優秀さを獲得したということと説いています。
 経営層に昇進できる人は、使う側と使われる側の違い、要するに視点の高さの違いを理解できている人であると言えるそうです。課長から経営層への出世では大きな視点の変化が必要となると平康氏は述べています。

 そして課長になった時点で経営層を見据えている人は、課長までの出世基準が通用しないことに気付いているそうです。そのため自ずと人事評価を気にしないようになります。それはパーツとしての優秀さを測られる基準に沿って行動していても出世にはつながらないことを分かっているからだそうです。

 日本では職務主義が浸透してきたとはいえ、社内の年功序列を維持しており、組織の規律を守ろうとする傾向が強いのも現状です。実際に日系企業で勤務したことのある人であれば、わかると思いますが、組織の秩序を乱さないという方針は完全には消えていません。実際に私が勤務している会社でも、年功序列の風習は残っています。

 出世の仕組みに疑問を持っていた自分にとってこの書籍は非常にためになりました。組織の中での自分の役割、どのような役割が求められているかを改めて勉強できました。

 さらに社内だけでなく、社外でのキャリアの構築のヒントも与えてくれます。会社員として勤務してきた自分には積み上げてきたものがないと考えてしまいがちです。しかしこれまで行ってきた業務、それに伴うスキルなど自分自身の経験を棚卸しをすることで、自分の強みが見えてくることがわかりました。棚卸しをしていく中で他人と比較し、見劣りすることもありますが、どの世界にも上には上がいることを理解していれば気になりません。私も今後は、自分の経験をどのような場面で活かしていけるか、誰かに伝えることはできるかを考えていきたいです。

 個人としての価値を高められるように普段から仕事をしていきたいと思えました。例えば、どのように説明すればわかりやすいか、どのように資料を作ればわかりやすいか、どのように交渉すれば有利な条件を引き出せるか、新規営業を効率的に行うにはどのような工夫が必要か、など個人でも高めていけるスキルはたくさんあると思います。どのようなキャリアを重ねていくかはその人次第です。会社員をしながらでも、他の選択肢も作れるということを意識しておけば、変化の時代にも対応できる人材となっていけるのだと考えられます。



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