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あまり更新しません。主に趣味の音楽のこととか、たまに日常で感じたこととか。

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最近の記事

5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:セシル・シャミナード

セシル・シャミナード(Cécile Louise Stéphanie Chaminade, 1857-1944)はドビュッシーと年代が近い近代の作曲家であり、「女性として初めて音楽で生計を立てることに成功した作曲家」と言われています。クラシック音楽史の観点からは名前が言及されることは少なく、今ではサロン音楽家としてたまに名が挙がる程度の存在でしかありませんが、魅力的な作品も多く残しているので今回解説していきます。 シャミナードの生涯シャミナードは1857年にパリに生まれまし

    • セシル・シャミナード :「Elévation」(6つの無言歌 Op.76より)

      セシル・シャミナード(Cécile Louise Stéphanie Chaminade, 1857~1944年)はフランスの作曲家の中でも私が非常に好んでよく聞いている作曲家の1人です。クラシック音楽史の観点からは特に取り上げられることのない存在ですが、気軽に聞ける曲が多くて個人的にはおすすめです。今回は私の特に好きな作品である「Élévation」を紹介したいと思います。 実際の音源音源はYouTubeにアップされていますのでまず聞いてみたい方は以下のリンクからどうぞ。

      • 私の好きなドビュッシーピアノ作品ベスト10を発表する

        私は、クラシック音楽の作曲家の中で一番ドビュッシーが好きです。初めて聞いたのが、今から20年くらい前です。 クラシック音楽全般というよりも、私自身ピアノが好きだったこともあり、ピアノ作品ばかり聞いているのですが、じゃあ「ドビュッシーの中で好きな順に並べるとどうなるだろう?」と思ったとき、20年間一度も考えたことなかったので、今回初めて作ってみました。 このランキングの意図について今回作るランキングは、完全に「私が好きかどうか」。ただそれだけです。「音楽的に優れているか」「

        • 音楽用語解説:オスティナート

          オスティナート(伊: ostinato)とは、ある音型やモティーフを、まとまった楽節全体を通して続けて何度も繰り返す技法のことです。クラシック音楽において時代を通して広く使用例が見られるこの技法について、譜例を用いながら紹介したいと思います。 オスティナートは「しつこく繰り返す」ものオスティナートはすでに13世紀の音楽から使われた技法であり、バロック時代に入ってからも多く例が見られます。古典派やロマン派の音楽からはあまり現れなくなりましたが、近代音楽から再び使用が多く見られ

        5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:セシル・シャミナード

        • セシル・シャミナード :「Elévation」(6つの無言歌 Op.76より)

        • 私の好きなドビュッシーピアノ作品ベスト10を発表する

        • 音楽用語解説:オスティナート

          【雑記】私とピアノとドビュッシー

          不思議だなぁと思う。なぜ大してクラシック音楽に興味を持たなかった自分がドビュッシーを好きになったのか。このときドビュッシーの音楽と出会わなかったら、自分はクラシック音楽に今ほどのめり込むことはなかったかなと思ってる。 習わされているだけのピアノ私の両親は音大出身で、私自身も小さい頃からピアノを習わされた。いつからかは覚えていないが、多分保育園か小学校1年生くらいからだろうか。両親は音大出身とは言うものの、特に親に影響されることはなかった。 というのも、自宅でクラシック音楽

          【雑記】私とピアノとドビュッシー

          5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:シャルル・ケクラン

          シャルル・ケクラン(Charles Koechlin 1867-1950)は近現代のフランスに生まれ、ドビュッシーよりは5歳年上、ラヴェルよりは8歳若い作曲家です。今では西洋音楽史の中で言及されることはまれな存在ではありますが、フランスにおいて、その独創性と博学さが非常に評価されている作曲家です。その生涯や作風を解説します。 ケクランの生涯ケクランの音楽家としてのキャリアはかなり遅いものでした。ケクランは親の希望で軍人になることを目指していたものの、病気によりこれを断念する

          5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:シャルル・ケクラン

          5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:フランシス・プーランク

          フランシス・プーランク(Francis Poulenc 1899-1963)は、新古典主義的な作風をベースとした作品を多く残した作曲家またピアニストとして活動し、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルに次いでフランス音楽界の歌曲を豊かにした作曲家と評されています。そんな彼の生涯と作風を簡単に解説します。 プーランクの生涯プーランクは1899年パリの裕福な家庭に生まれました。パリ音楽院には通いませんでしたが、知り合いから和声などの個人レッスンを受けて音楽を学んでいきました。ピアノの

          5分でわかるフランスクラシック音楽の作曲家:フランシス・プーランク

          【雑記】ドビュッシーは好きだがラヴェルは苦手

          私は大学時代に人文科学科に所属していて、音楽学(Musicology)を最終的に専攻し、西洋のクラシック音楽に関する学問を少しかじっていました。この専攻を選んだのは、当時クラシック音楽に結構ハマっていたからです。 クラシック音楽、とはいいつつも私の聞いていたのはかなり限定的で、フランスの(主にピアノ)音楽でした。 基本的にクラシック音楽といえばその発展に大きく貢献してきたのはドイツの音楽家たちです。バッハしかり、モーツァルトしかりベートーヴェンしかり… 私はそうした音楽

          【雑記】ドビュッシーは好きだがラヴェルは苦手

          音楽用語解説:アポジャトゥーラ(前打音、倚音)

          「アポジャトゥーラ(伊:appoggiatura)」とは装飾音の一種であり、和名で「前打音」、「倚音(いおん)」と呼ばれ、辞書的には「旋律を構成する音の前につく装飾音」、和声学的には、「和音の交替点に現れる復元転位音」と書かれています。 時代としてはバロック時代の楽曲に頻繁に登場し、楽曲分析時にも言及することがしばしばあるので、今回簡単に解説してみたいと思います。 アポジャトゥーラの実際の譜例まず、上記の定義ではいまいちよくわからないので、早速譜例を使って説明していきます

          音楽用語解説:アポジャトゥーラ(前打音、倚音)

          クロード・ドビュッシー作曲「アラベスク第1番」の楽曲分析・解説

          フランス近代音楽の作曲家として有名なクロード・ドビュッシーの楽曲の中で、比較的聞きやすく人気が高い「アラベスク第1番」。この曲名は知らなくてもどこかで一度は聞いたことはあるという方もいるかもしれません。今回はこの楽曲の特徴や魅力を和声学の観点も含めて考察していきます。 ドビュッシーを代表するピアノ作品の1つ「アラベスク第1番」は1888年に作曲され、1891年に出版された「2つのアラベスク(仏原題:Deux Arabesques)」というピアノ作品の1曲目にあたるものです。

          クロード・ドビュッシー作曲「アラベスク第1番」の楽曲分析・解説

          デオダ・ド・セヴラックの音楽の魅力

          クラシック音楽史の中では重要な存在ではありませんが、フランスの作曲家の1人であるデオダ・ド・セヴラックのピアノ作品集を昔購入して聞いたので、その魅力について考察してみたいと思います。 デオダ・ド・セヴラックとは ジョセフ・マリ・デオダ・ド・セヴラック(Joseph Marie Déodat de Séverac 1872-1924)は19世紀後半から20世紀前半まで生きたフランスの作曲家です。 フランス近代音楽と聞いて多くのクラシック音楽ファンが思いつくのはクロード・ドビ

          デオダ・ド・セヴラックの音楽の魅力

          私が世界で一番好きな曲は「All At Once」

          私は今年34歳になるのですが、小学校の頃から(そんなに幅広くではありませんが)今に至るまで少なからず音楽は聞いてきました。「一番好きなアーティストはなんですか?」と言われると、そのときによってコロコロ変わるので、自分の中で唯一絶対のものはありませんでしたが、「今まで出会った曲の中で一番好きな曲はなんですか」と言われて挙げる答えは今まで一度も変わったことがありません。その曲は、今は亡きアメリカの歌姫、ホイットニー・ヒューストンの「All At Once」です。 All At

          私が世界で一番好きな曲は「All At Once」

          サン=サーンスのピアノ音楽の評価

          サン=サーンスといえばフランスロマン派の言わずとしれた偉大な作曲家です。非常に多岐にわたるジャンルで多くの作品を残しておりますが、ピアノ作品について言及されることは非常に稀です。ここではサン=サーンスのピアノ作品に対する私の見解をまとめてみたいと思います。 サン=サーンスとピアノの関係性サン=サーンスというと管弦楽曲の「動物の謝肉祭」をはじめ、管弦楽曲、交響曲、交響詩、ピアノ協奏曲など規模の大きい作品が非常に有名です。一方でピアノ作品はというと、代表作として有名な作品ははほ

          サン=サーンスのピアノ音楽の評価

          音楽用語解説:エンハーモニック転調

          エンハーモニック転調とは、異名同音を用いて行う転調の手法の1つです。ちなみに異名同音というのはド#とレ♭の関係のように、読み方は違うが同じ音のこと。エンハーモニック(enharmonic)は異名同音を表す英単語です。言葉の定義としてはそれだけですが、実際にどのように使われているのか譜例を使ってみていきましょう。 使用例1:ドビュッシー「ベルガマスク組曲 第4曲:パスピエ」 まず1つ目の譜例は私が好きなクロード・ドビュッシーの著名なピアノ組曲「ベルガマスク組曲」の第4曲目の「

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          B'zはなぜアンチが多いのか?

          アーティストに限りませんが、有名になって売れれば売れるほど、それに伴って気に食わないと感じるいわゆる「アンチ」の数も増えます。B'zは日本を代表するアーティストとして数多くのファンを抱える一方、聞く人によって非常に好みが分かれる存在であるようにも思います。小学生の頃からずっとファンである私が、あえて「なぜB'zが嫌われてしまうのか」を考えてみたいと思います。 そもそもB'zの音楽のジャンルとは?B'zが嫌われる理由として真っ先に思いつくのはいわゆる「パクリ」問題でしょう。確

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          エリック・サティ作曲「ジムノペディ第1番」楽曲分析

          フランス音楽史上、いやクラシック音楽史上もっともひねくれていて独創的な作曲家といっても過言でないエリック・サティ(1866-1925年)の中で、もっとも有名な曲の1つが「ジムノペディ第1番」です。おそらくご存じの方も多いでしょう。この非常に魅力的な楽曲を音楽学的な観点から分析していきたいと思います。 誰もが一度は聞いたことがある「ジムノペディ第1番」とは?「Gymnopédies(ジムノペディ)」は1888年にフランスの作曲家であるエリック・サティによって作曲されたピアノ作

          エリック・サティ作曲「ジムノペディ第1番」楽曲分析