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B'zはなぜアンチが多いのか?

アーティストに限りませんが、有名になって売れれば売れるほど、それに伴って気に食わないと感じるいわゆる「アンチ」の数も増えます。B'zは日本を代表するアーティストとして数多くのファンを抱える一方、聞く人によって非常に好みが分かれる存在であるようにも思います。小学生の頃からずっとファンである私が、あえて「なぜB'zが嫌われてしまうのか」を考えてみたいと思います。


そもそもB'zの音楽のジャンルとは?

B'zが嫌われる理由として真っ先に思いつくのはいわゆる「パクリ」問題でしょう。確かにそれは大きな理由の1つかもしれませんが、今回はそれとは別の視点で考えてみたいと思います。

結論を先にいうと、B'zを気に食わないと思っている人がいる理由、言い換えるとB'zの音楽が嫌われる要因は、おそらくB'zの音楽の「中途半端さ」にあると私は思っています。どういうことか順に説明します。

まず、そもそもB'zの音楽はかなりユニークです。彼らに影響を与えた音楽は洋楽だといいますが、実際に彼らは自身はそういった音楽からスタートしていません。

2019年にメンバーを一新してしまったものの、2010年代はバックバンドのメンバーは割と固定的で「バックバンドも全員含めてB'z」のような様相を呈し、体制や音楽性も「バンド」っぽいものでした。ですが、もともと彼らはメンバー2人からなるユニットです。

これについて彼らがいうには、バンドのようなサウンドにこだわらず幅広い音楽性を実現するために2人したとのことです。実際にデビューアルバムからしばらくは打ち込みの楽曲も多く、バンドサウンドの楽曲主体とはなっていません。

1990年代のB'zの全盛期の音楽を見ても、生演奏のサウンドでは出せない表現が非常に多く現れています。4~5人のメンバーで演奏するのハードロックバンドとはほど遠い音楽です。

そのような傾向も含め、B’zの音楽は純粋なロックというよりむしろJ-Popに近い音楽なのです。

日本人に最適化された「歌謡曲的ハードロック」

しかし、B'zの特殊なところは、そのようなPopミュージックを作りつつも、やはり洋楽のハードロックだとかその辺に影響を受けているためなのか、随所にテクニカルな要素や「ロック」のサウンドを強くにじみ出しています。象徴的なのは、かなりの腕前を誇る松本さんのギターアレンジでしょう。

それらを総合するとB'zの音楽は、J-Popや歌謡曲のようなメロディの親しみやすさをベースにしながらも、少し洋楽に影響を受けた技巧的なアレンジやロックの切れ味を加えた、「日本人向け歌謡曲的ハードロック」なのです。

実際にB’zはあまり海外で活動していないし、海外でそこまで売れていないのも、B'zの音楽は全世界で普遍的な価値があるものでなく、非常に日本人向けポップソングとして最適化されすぎているからだと感じています。

B'zの音楽は、本人たちは真面目にやってるのかもしれませんが、歌詞的にも音楽的にもほどよくダサい曲がたくさんあります。私の友人にもB'zファンはいるのですが、そういうファンの間でもネタにしてしまうレベルです。

一見するとこれはマイナス要素に見えますが、このほどよいダサさが、一般人が敬遠してしまうロックの神聖さを中和し、B'zの音楽を敷居の低いものにしているのです。

B'zの音楽は良い意味で折衷的、悪い意味で中途半端

上記で私が名付けた「日本人向け歌謡曲的ハードロック」という要素は、まさにB’zが売れる要因でもあり、批判される要因だと私は解釈しています。

つまり、演奏技巧に優れ、高い音楽性を持った洋楽のロックをまったく知らない一般人から見るとB'zは、「音楽が親しみやすい(※洋楽がオマージュになっていることをしらない)、かっこいい!」という感想を抱きます。

もし、B'zが本家本元の洋楽風な音楽に走り、演奏やアレンジの技巧に突っ走ってしまえば、こうした層(技巧などどうでもよくなんとなく「なんか良さげなJ-Popを聞きたい」と思っている層)は決して取り込むことはできず、ここまで売れることは絶対にできなかったでしょう。

一方で、本家本元の洋楽に精通している人だったり、高度な技巧や音楽性をを好む人、洋楽を崇拝し邦楽を下に見る人、自称音楽通、音楽に高尚性を求める人がB'zを聞くとどうなるか。

中途半端な洋楽かぶれの音楽がこんなに売れてるのは気に食わないし、なぜ売れているのかわからない

と、感じるわけです。

この記事の最初のテーマに行き着きますが、B'zが嫌われる理由はまさにこれだと思います。

B'zを不快に思うもう1つの理由

もちろん、B'zの音楽は「音楽に無知」な人をだますような音楽では決してありません。音楽的に優れたところは多く、実際に音楽関係者だってアマチュアミュージシャンでもB'zを聞き、評価している人はたくさんいます。しかし、それでもなぜ批判されてしまうのでしょうか。

その大きな理由は「B'zが売れすぎてしまったから」です。売れている規模がわずかならばアンチは「まぁこんな音楽好きな人もいるよね」くらいで黙殺できるでしょう。

しかし、自分の嫌いだと思っているものへの人気の規模が大きくなってしまえば「気に食わない」と思うのは自然です。「ここまで売れるのは過大評価だ!」と感じてしまい、許せないのです。

実際にファンである私の視点からも「よくこの曲こんなに売れたな」と思う曲はたくさんあります(もちろんその曲がダメと言っているわけではありませんが、売上枚数ほどの曲か、ということ)。一定以上の人気を獲得しているため、「CD出せばとりあえず売れる」という現象が起こるのです。SNSでインフルエンサーと対してフォロワー数が大して多くない一般人が同じことを呟いても、前者は大バズしても一般人はそうならないのと同じことですが、こうした現象がB'zアンチをさらに不快にさせるのです。

B'zアンチのもう1つの理由として、一部の楽曲を洋楽をモチーフにしたりするという、「パクリ行為」(※これをパクリと呼ぶのかはここでは議論しませんが、アンチの言葉を借りて)もあります。ただこれについては、B'zの価値を全く無にする批判材料としては不十分です。理由は単純で、パクリじゃない曲にたくさんの名曲があるからです。(数百曲ある楽曲すべてがパクリなら、文句なしに批判されるでしょう)

結論

結論をいうと、B’zの音楽は、少し「洋楽気取り」なところもあるけど、コアな音楽好きではない層に大ウケしてしまったせいで、コアな音楽好きからは「面白くない」と感じるようになった、というのが私の推察です。

あと、上記には書きませんでしたが、もう1点、B’zの音楽を好まない層があるとしたら、それは「よりポップソングが好きな層」ではないかと思います。つまりMr.Childrenやスピッツなど、バンドでありながらいわゆる「ザ・バンド」みたいなゴリゴリのバンドサウンドを求めていない層。

J-Popを中心に聞く人たちで、ただロックバンドのサウンドは好きじゃないという感じの層です。B'zの音楽はロック風味なので、そういう人たちにとってはB'zは少し灰汁のある音楽だと感じると思います。

私はB'zのファンなので、もちろんB'zの楽曲は好きですが、そんなファンの視点から、今回B'zが嫌われてしまう理由を考察してみました。

#Bz   #音楽 #JPOP

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