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台風19号【群馬】富岡3人死亡土砂崩れは想定外の場所で (10月23日 JNNニュース)

群馬県・富岡市では土砂崩れで3人が死亡しましたが、この現場は「土砂災害警戒区域」に指定されていない住民も行政もノーマークの場所でした。自治体は新たな対応を迫られています。

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群馬県富岡市内匠地区。辺りが暗くなろうとしていた10月12日の午後4時半頃、土砂崩れが起きました。

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土砂は住宅6軒を巻き込み3人の命を奪いました。


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山のそばに2人で暮らしていた田村勉さんと母親のあや子さん。

あや子さんは老人会を盛り上げるムードメーカー的な存在で、親子2人でよくドライブに出かけていたといいます。

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その2人は突然、土砂に飲み込まれ犠牲となりました。


勉さんの勤務先の社長は・・・

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土砂崩れが起きた現場は住民たちにとって意外な場所でした。

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記者が現場にいくと・・・

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安部純 記者:
「こちらが土砂崩れが起きた現場なんですが、斜面も緩やかで、どこにでもあるような裏山といった印象です」

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土砂崩れが起きた斜面は傾斜がおよそ20度と緩やかで「土砂災害警戒区域」には指定されていませんでした

こちらは現場近くの「土砂災害警戒区域」の斜面。県は法律に基づき30度以上の急傾斜地を「土砂災害警戒区域」に指定しています。

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しかし、市はこの地区が「土砂災害警戒区域」に指定されていないことや過去災害がなかったことなどから避難勧告を出せず、避難は住民の自主判断に頼らざるを得ませんでした。

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10月15日、土砂災害に詳しい群馬県の担当者や国土交通省の専門家が現場を視察しました。

専門家らによりますと、現場では台風19号の影響で、10月11日午前2時の降り始めからの総雨量がおよそ400ミリに達していました。大量の雨水が地中に浸透したため、岩盤の上にある火山灰などからできた関東ローム層が粘土化。水と共に滑って崩落したとみられるということです。

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緩やかな斜面であっても多量の雨が地中に染み込むと、土砂崩れが起きうることが浮き彫りとなりました。


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また、行政も市民の犠牲を防ぐことはできませんでした。

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“ノーマーク”だった場所で起きた土砂崩れ。

富岡市は今後、住民から地下水が湧き出る場所などを聞き取り、危険区域の洗い出しを進める方針です。


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取材後記
安部純 記者(OBS)

土砂崩れの現場を訪れ、まず驚いたのは、どこにでもあるような“裏山”だったことです。付近住民も「まさかあの山が…」と口をそろえるように証言しています。
台風19号が接近した10月12日、富岡市はこの地区に避難勧告を出していませんでした。その大きな原因の1つは “土砂崩れが起きた山が土砂災害警戒区域ではなかった”ことです。
土砂災害警戒区域は国が定めた土砂災害防止法に基づき、都道府県が30度以上の傾斜地を対象に指定することになっていますが、今回、土砂崩れが起きた山は傾斜角が20度程度でした。市もあの場所で土砂崩れが起きることは“想定外”だったはずです。
今回の災害を受け、市は早速、当時の対応が適切だったかどうかを検証する協議会を12月下旬に開くことを決めました。2020年5月までに結論を取りまとめる方針です。
富岡市の土砂崩れは「災害はどこで起きてもおかしくない」ことを証明した典型的な例です。住んでいる地域が土砂災害警戒区域や浸水想定区域に指定されていなくても、「ここは大丈夫」と思わず、早めに避難するなどの意識が重要です。


【放送されたVTRはこちら】