台風19号【栃木】「浸水想定域外」で起きた悲劇 ハザードマップ見直しへ (10月18日 Nスタ)
栃木県・足利市では川の氾濫で避難所に向かう途中の車が流され85歳の女性が死亡しましたが、 現場周辺は市が浸水想定区域に指定していなかったことが分かりました。
台風19号により各地の河川で起きた氾濫。
ハザードマップで浸水区域と想定されていない場所でも浸水が起き、犠牲者が出ていたことがわかりました。
10月12日の夜、栃木県・足利市で自宅から避難所に向かう車が映した道路の様子。時刻は午後8時40分ごろ。進行方向の右側から水が流れ込み水かさがどんどん増していきます。
乗っていた島田さん夫婦はなんとか脱出しました。
そばにあるワゴン車も同じように避難しようとして流された車です。
乗っていたのは山本紀子さん。
濁流に車ごと流され、救助を待つ中で低体温症で命を落としました。
足利市は12日午後8時45分に避難勧告を出しましたが、山本さんをはじめ、住民たちが指定された避難所に向かうには川をまたぐなど冠水エリアを通る必要があり、複数の車が流されたのです。
「ここだったら富田中・富田小とみんなで合言葉のようにしてきましたし、ちゃんとそういう看板みたいなのもあちこちにあったので疑うことはなかったですね。」
中嶋稔さんは妻と3歳の長男を乗せて車で避難をしていましたが立ち往生。
偶然そばに1メートルほどかさ上げされていた住宅があり、そこに逃げ込み難を逃れました。
避難者を受け入れた酒田秀夫さんは・・・
旗川の氾濫により広い範囲で浸水被害に見舞われた足利市寺岡町。足利市はこの地域を浸水想定区域に指定していなかったことを明かしました。
足利市によりますと市のハザードマップは渡良瀬川の氾濫を想定したもので旗川の氾濫を想定したものは作成に向けて調査中だったということです。
避難所に向かう途中に失われた命。
足利市は避難所の位置やハザードマップについて検証し見直していきたいとしています。
取材後記
TBS社会部 秋田悠然 記者
「このあたりはハザードマップで浸水が想定されてない。何も被害は想定されてなかったと思うよ」
取材のきっかけは寺岡町に住む男性の一言でした。旗川と出流(いづる)川という2つの川に挟まれたこの地域が浸水想定されてないはずがないと思いながら、足利市のハザードマップを見てみると、浸水危険区域として青く塗られてるはずの寺岡町が真っ白になっていました。
台風19号では多くの地域でハザードマップの正確さが再確認されましたが、そんなハザードマップでも100%は網羅できてないのだということが取材を通して見えてきました。
ハザードマップが防災情報として広く国民から信頼されるようになってきている今だからこそ、今後はより一層の精度の向上を期待したいです。
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