テレワークゆり物語 (150) 文化庁の京都移転に目指してほしいテレワーク
「省庁こそ分散化しないと。集中は便利だけど危険。」
「いつか国の仕事をしたい」と、東京の霞が関に足を運び始めた2011年頃。
田舎者が迷ってやっと見つけたのが「霞が関中央省庁案内」という看板。
その地図をひと目見て、限られた地域にすべての中央省庁が集まっていることに、驚いた。東日本大震災が発生して間がないこともあり、
この地域に何かあったら、日本は機能しなくなるのではないのか
怖いと思った。
2023年3月27日、文化庁が京都に移転した。
国の省庁が地方へ全面的に移転するのははじめてとのこと。
東京への一極集中の是正や、地方創生が目的だ。
テレビのニュースでは、京都の新庁舎の様子が映し出されていた。
壁一面をスクリーンにすることで、リアルにオンライン会議ができる。
実物大の相手と、「そこにいる」感覚で会議ができる。
今後増えていく「ハイブリッド会議」において、とても大事な要素だ。
職員さんたちの準備が大変だったろうことは想像できるが(笑)、そのチャレンジに大拍手である。
一方で、新庁舎のワークスペースを見て、少し残念な気持ちになった。
あれ? これって普通のオフィス?
もしかして、テレワークなのは、東京との会議がメイン?
また、今回の移転は、全部署ではなく、13部署のうち政策課や文化資源活用課など、6つの部署とのこと。
もしかして、部署内の業務のコミュニケーションは、出社するのがメイン?
今回の移転で、390人もの職員さんが京都で業務をするとのこと。
彼らは、在宅勤務がしやすい環境になるのだろうか。
そして、さらに、おばさんの心配は進む。
もしかして、多くの職員さんは、京都に「転勤」させられている?
ここまできて、気が付いた。
だから、国の「地方創生テレワークの施策」が、地域への「サテライトオフィス移転」に偏っているのだ。
もちろん、企業や省庁が地方に「サテライトオフィス」を設置するのは、地域経済にも、良い影響をもたらす。
しかし、移転する地域は限られる。(文化庁は京都だから意味があった)
移転は企業の大きな決断と時間が必要である。(今回の準備期間は7年)
社員の勤務場所の意向はさまざまである。(京都とは限らない)
本気で、「地方創生」「デジタル田園都市」を目指すためには、「東京とのTV会議」は第一歩に過ぎない。
京都の文化庁移転は、本当に意味ある挑戦であり、日本を変える。
だからこそ「テレビ会議のテレワーク」だけで満足せずに、
京都の文化庁なら、職員はどこでもテレワークで働ける。
出勤は必要な日もあるが、京都だけでなく、大阪も、神戸も、奈良も、関西のどこでも暮らすことができる。
国家公務員になりたい、文化庁で働きたい若者が増える。
そんな文化庁を目指してほしい。
※冒頭は、私が見た看板に、「テレワーク推進を所管する4省」の場所を示してみた。歩いて30分で回ることができる。