見出し画像

テレワークゆり物語 (74) 日本企業が「出社に戻ろう」とする理由

「コロナの感染リスクが低くなり、出社するように言われた。正直、戻るのはつらい。できることなら、在宅勤務がメインの会社に転職したい。」

ある企業の子育て中の女性社員から、こう相談された。業務自体は、パソコンとインターネットがあればできるし、会議への参加も、上司への連絡もできている。在宅勤務にも慣れたし、何より、通勤時間が無くなったことで、子どもや家族と向き合える時間ができたという。それなのに・・・。

新型コロナの感染リスクが低下するとともに、出社に戻る社員が増えているのは事実。働く人の本音が出るSNSでは、「#強制出社」「#上司ガチャ」といった言葉も出てきた。

しかし、私としては、一概に「ひどい上司だ」「ひどい会社」だと責めるつもりはない。

企業は、「業務を遂行し、生産性を高め、利益を得る」という、大きなミッションがある。コロナ禍でテレワークを実施して、そのミッションが遂行できず「戻る」のだとしたら、責められない。

そこで、視点を変えて「出社に戻る理由」を考えてみる。

  • 「テレワークでも、きっちり仕事ができている」と思っているのは、社員自身の個人業務についてではないだろうか

  • チーム全体を見るリーダーは、「テレワークだと、チームとしての業務効率が下がっている」と思っているのではないだろうか

  • 会社全体を見る経営層は、「テレワークだと会社全体の生産性が低下している」と判断しているのだはないだろうか

私が行きついた、多くの日本の会社が「出社に戻る」理由は、

チーム業務の生産性が低下するから。

もちろん、会社としての方針や、管理職のIT能力、リーダーの意識の問題もあるだろう。

「うちのリーダー、部下の顔を見ないと不安らしい」
「課長、自分がパソコン苦手だから、出社しろって言うんだ」
「会わないとイノベーションが起こらないって、社長がこだわっている」

出社すると、上司が「やっぱり対面だと仕事がスムーズに進むよな。」と言うかもしれない。しかし、この事実を「出社できて、よかったね」で終わらせてはいけない。
その会社の、その部署の働き方は、元に戻ってしまう。
同様の災害があれば、改善されなかった「テレワーク」で、再度我慢の日々が続く。また、部下の転職の可能性も高まるだろう。

リーダーがパソコン苦手とか、対面にこだわる等は、個人の資質・意識であり、大元の理由は、やはり「チーム業務の効率低下」ではないだろうか。
だとしたら、文句を言うのではなく、今の「テレワーク」を改善して、個人の意識も変えていく覚悟が必要だ

テレワークだと「顔が見えないので不安」という上司によくよく話を聞くと、オンライン会議はカメラをオフにするルールだという。変えようよ、ルール。
パソコンが苦手にリーダーは、チャットを使ってと言われても、どう使っていいかわからないらしい。使えるまで教えてあげようよ、ツール。
会わないとイノベーションが起こらないという社長に、バーチャルオフィスを見せたら、意識が変わった。教えてあげようよ、最先端。

しかし、実は、今のテレワークの課題改善だけでは、不十分だ。これは長年テレワークの課題に向き合ってきた、自分だから自信をもって言おう。

テレワークはもちろん、日本の生産性向上の要は、

チーム業務の「ホウレンソウ」のデジタル化である。

「ホウレンソウ」の適切なデジタル化については、あらためて。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?