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何光さんの話

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日記的な話ですが、何暗さんの話ではありません。 何光さんの話です。 虚実入り乱れています。
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#日本語

自分が霞んでつかめなくなる頃/文字は楔でありロープの瘤unlike仮名文字

毎月やってくる。
体調が悪いわけでも良いわけでもないときだ。1ヶ月の中で、自分の現在地をつかめない、という感覚に陥る時期がやってくる。

昼が来て夜が来る、というのは時間の移動であるとともに空間的移動(太陽の正面から太陽の死角への移動)である、
という話を聞き及んだことがあるが、空間と時間の把握はたしかに連続していると思う。

現在地がつかめない、と感じるとき、流れてゆく時間もわたしを避けてさらさ

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忘れられていたambivalence

生来、お風呂に入るのが得意ではない。高校生の頃は、お風呂の中でずっと和歌のことを考えていた。この歌はここがいい、あそこがいい。楽しかった。
しかしいつのまにか、お風呂場の空しさに耐えかねるようになった。自分と自分ひとりきりの空間が苦痛だった。入浴というメンテナンス作業を拒むことは、大変ささやかながら自己を損なうことである。わたしはこの自己毀損を、社会生活をギリギリ営めるラインで続けた。

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言葉と恋の話

長年好きだった人がいたけれど、突然ふっきれた。

付き合ったのは期間にしておよそ1年弱。その後、2年ほど片思いをした。

相性が悪いのは重々わかっていた。しかしそれは一番上のぼたんをかけ違えたシャツはその下をどう頑張ってもうまく着られないというような話であって、その一番上のぼたんを最初にかけ違えたというそれだけのために、諦めないといけないなんてのはあんまりひどい。

だってかの人は、わたしが知って

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